風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

二月大歌舞伎 夜の部 @歌舞伎座(2月25日)

2016-02-28 21:28:48 | 歌舞伎



前楽に行ってまいりました


【ひらかな盛衰記 ~源太勘當~】
当初は籠釣瓶だけを幕見予定だったのですが、ふと配役表を見ると梅玉さん&秀太郎さんのお名前が。観―たーいーーー。
秀太郎さん曰く、
「ひらがな盛衰記・源太勘当」の延寿は2度目ですが、初演は随分前で、勘三郎さんの十八代目襲名興行のおりでした。悲劇ではありますが、それでいて楽しい義太夫狂言で、歌舞伎の面白さがいっぱいで、私は子供の頃からこの芝居が好きでした。源太は勿論、平次・千鳥・軍内・珍斉、そして延寿、幕開きの腰元まで総て「良いお役」です。(ブログ)
とのこと。
観てよかったです♪正直、籠釣瓶よりこちらの方がお芝居の満足感はあった・・かも・・・(^_^;) 先月今月とクラシック音楽ばかり聴いていたので、知らず義太夫狂言に飢えていたせいもあるかもですが。竹本は葵太夫さんだったのですね。
梅玉さん(源太)&秀太郎さん(延寿)の母息子がもうっ!大好きな役者さんお二人の、(私的には)レアな組み合わせの母息子!
特に秀太郎さんの延寿が、息子を想う母の情が滲み出ていながら凛としていて、こういうお役の秀太郎さんはほんと素敵。まだ2回目のお役なんですねー。
又五郎さん(平次)は、錦之助さんの急遽の代役とは思えない安定感。こういうお役がピッタリですね~。このお話、敵役はいても深刻になるわけではない、そんな大らかさが今の私にはひどく心地よく。歌舞伎って素晴らしい!
というわけで、上の写真は梅玉さんの源太。紅白の梅の優美な冠?がまた、リアルじゃなくていいわ~~~。美しい。。。リアルによらずリアルを描く。歌舞伎って素晴らしい!
ある意味ハッピーエンドととれなくもない、でも切ない幕切れは、梅玉さん&秀太郎さん&可愛らしい孝太郎さん(腰元千鳥)。好きな役者さんの勢揃い。
幸せでございました。。。。。。

ただ、、、秀太郎さん途中でちょっとコックリしてた


【籠釣瓶花街酔醒(かごつるべさとのえいざめ)】
ワタクシ、観始めてから思い出しました。
吉右衛門さん(次郎左衛門)て、、、このテの呆けた?演技のときには目が理性的に見えてしまうことが多いのであった・・・(私には)。今回もそうで。大好きな役者さんなのですけども・・・、でもでも、見染の場のジロザエモンの目、人生180度変わってしまうほど、魂吸い取られるほど八ッ橋に見惚れてるようには見えない~~~~(>_<) ただ、全く瞬きをされないのは、あいかわらずスゴいと思いました(吉右衛門さんの目ってどうなってるの~)。
そしておそらくこの場の一番の見どころである菊之助(八ッ橋)の笑み。あまりの時間のたっぷりさ(玉さまもこんなに時間かけてたけ?)と会場の静まり具合に窒息して吐きそうになった・・・。ワタクシ・・・、菊ちゃんお得意のこの緊張感で今まで感動できたのって、野崎村だけなのであるよ・・・・・。笑みは、想像していたよりも“魔”っぽい笑みでした(そしてそれはあまりワタクシの好みデハナカッタリ・・・)。
一方で大層好みだった又五郎さんの治六、そして艶やかな花魁二人(梅枝新悟)を楽しみながら見染の場は終了。
※3/5追記:
玉三郎さん映像を見直しました。玉さんも時間はかけているのだけれど、でもそれは物語の中では実は一瞬の出来事であり、次郎左衛門にはこんな風にスローモーションに見えたのだなぁというような、そんな笑みでした。菊ちゃんの方は「さぁ微笑みますよ。今微笑んでますよ。微笑みましたよ」というように演技の時間=物語の中の時間に見えてしまったので、意図的な魔っぽさがより強く感じられてしまった、ように思います。

立花屋見世先。歌六さん&魁春さんの立花屋夫婦がとってもステキ!遊廓の世界の表も裏も知る人間の強かさと情のバランスが(ワタクシ的には)理想的!

続いてのお楽しみは、菊五郎さんの栄之丞だったのですが(34年ぶりとのこと)、なんというか、ヒモというより親分に見えてしまった・・かも・・・(^_^;)。それと、体に塗る白粉?がお腹まで塗られておらず、肌蹴た胸元から地の肌色がだいぶ見えていたのが気になってしまった。。

そんなこんなで、割とあっという間に縁切りの場へ突入。

ここでは、八ッ橋にほけら~と見惚れてるだけではなくなるジロザエモン。ああ、ようやく「目は冷静じゃね・・?」じゃない吉右衛門さんがここに!(失礼御免)
菊ちゃんは、愛想尽かしの場面より、その後の部屋を去って戸を閉じた後に本心を見せるところにぐっときました。「遊廓の女の哀れさ」はあまり感じなかったけれど、ああ、あなたはサノジロのことを嫌ってたわけじゃなかったのだね・・・と。それまでが冷たい雰囲気だっただけに、本心を出せなかった彼女が哀れに感じられました。ここ、戸を挟んで内側にいる梅枝も雰囲気があってとてもよかった(黒の衣装似合う!)。梅枝の八ッ橋とかも観てみたいけど、、、きっと見られないのよね・・・。

で、色々書いちゃいましたが吉右衛門さんの次郎左衛門、ワタクシはとても好きなのです。ただの田舎者じゃなく、ちゃんと人のいいお金持ちに見えますし。純粋な心で恋をして、愛想尽かしをされて、そして四か月後に再び八ッ橋を訪れるまでの過程がとても自然に私には感じられたのです。ああ、この人八ッ橋殺しそうだなぁ~、と不自然でなく感じられた。
最後の惨殺も、刀の妖力のせいだけじゃなく、八ッ橋愛し憎しだけじゃなく、恥をかかせられたからだけでもなく、次郎左衛門が特異な性格だったわけでもなく、おそらく人間が誰しも持ちうるであろう心の闇のようなものがこの次郎左衛門からは感じられて、このストーリーがとても自然に納得できてしまう、そんな風に私には感じられたのです。(見染の場の演技はともかく)人間があれほど衝撃を受ける出会いをしてしまったら、良くも悪くも、その関係がただ平穏に終わるわけはないよねぇ、みたいな。そんな感じ。

今回の籠釣瓶、とっても良かった!と感じられたところとイマヒトツ?に感じられたところがうまく溶け合っていなくて、なんとなくバラバラな印象が残ってしまったのは残念ではあったけれど(素人の感想デス・・・)、脇の役者さん達の素晴らしさと、吉右衛門さんの次郎左衛門が私はかなり好きだワと思えたので、観られてよかったです。舞台も衣装もとても華やかで、このお話は生で観るとやっぱり愉しい
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