風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

ブラームスの子守歌

2020-04-23 22:39:42 | クラシック音楽

Céline Dion - Brahms' Lullaby (Official Audio)



Can you live without music?

(音楽なしで生きられますか?)

今日は岡江久美子さんがお亡くなりになりました。悲しいニュースが続きます。突然こんな風に別れを迎えて、ご家族はどれほど辛いことだろう…。
自分が罹るかもしれないことももちろん怖いけれど、こういう悲しい思いをしている人達が世界中に溢れているという状況がやりきれません…。

先日のNHKクラシック音楽館は、「いま届けたい音楽 〜音楽家からのメッセージ〜」でした。
ブロムさんはスイスのルツェルンのご自宅から出演され、メッセージをくださいました。
過去の演奏から「いま聴いてほしい音楽」としてブロムさんが選んだ一曲目は、ベートーヴェンの交響曲第7番の第1楽章(2018年)。
その演奏は私もサントリーホールで聴いていて、ブロムさんの指揮によるベートーヴェンの生き生きとした生命力は強く心に残っています。先日ピリスも「いま聴いてほしい音楽」としてベートーヴェンを選んでいましたね。ピリスの最後の来日のときに演奏されたのも、ブロムさんとのベートーヴェンのピアノ協奏曲でした。
そしてブロムさんが選んだ二曲目は、ブラームスの交響曲第2番の第1楽章(2013年)。というよりも、この中でも使われている子守歌のメロディー(Op.49-4)。ブラームスの音楽を知らないという人でも、この曲を知らない人はいないでしょう。youtubeにセリーヌ・ディオンが歌っているものがあったので、上に載せました。
以下は、Can you live without music?に続くブロムさんからのメッセージです。

どんな音楽でもいいのです。音楽がないと人間らしくいられません。幸い大編成の交響楽団がなくても、音楽で心を満たすことができます。私たちは自ら音楽を作ることができるからです。子どもに歌ってあげられます。家事をしたり在宅で仕事をしたりするときに音楽を口ずさむこともできます。歌うことを忘れないでくださいね。
(中略)
好きなメロディーを口笛で吹いたり、口ずさんだりしてください。ベートーベンでなくてもよいのです。好きなメロディーを口ずさむだけで気持ちが朗らかになります。お子さんが幼い頃、子守歌を歌ってあげませんでしたか?ご自身も小さい頃、親に歌ってもらったでしょう?私は今でも母の歌が忘れられません。
ブラームスはすばらしい子守歌を書きました。交響曲2番にもそれが使われています。第1楽章はまさに子守歌です。
自宅にいても心を音楽で満たしてください。
好きなメロディーを口ずさみ、お子さんがいる場合には一緒に歌ってみてください。
音楽を楽しんでください。
再びコンサートホールで演奏できるようになったら、これまで以上にみなさまの心に届く音楽を演奏したいと思っています。
音楽には癒やしの力があります。こんな時だからこそ音楽が必要なのです。
みなさまもどうぞご自愛ください。

(ヘルベルト・ブロムシュテット)

Omaggio a Palladio 2012. Schiff plays Brahms Intermezzo op.117 no.1

ブラームスによる子守歌つながりでもう一曲。
彼が晩年に書いた『3つのピアノ曲 Op.117』の第1曲の冒頭には、スコットランドの子守歌の歌詞の一節が載せられています。ただしこのOp.117は子守歌は子守歌でもブラームス自身が「わが苦悩の子守歌」と呼んだ作品で、冒頭の歌詞も「ある恵まれない母親の子守歌」という題の歌から引用されたもの。ブラームスらしい、辛く悲しいことの多い私達の人生と、それに対する優しい慈しみを感じさせてくれる音楽です。Op.49-4が子供への子守歌なら、こちらは大人への子守歌といえるかもしれません。
上は、先日の演奏会でも演奏されたシフによるOp.117-1の演奏。シフは以前のアンコールでもこの曲を弾いてくれました。後ろにいるのはカペラ・アンドレア・バルカの皆さんですね
ていうか会場がなんか物凄いんだけど・・・・・(動画の2:50あたりから全体像が映ります)。調べたら、イタリアのヴィチェンツァという街にあるオリンピコ劇場という建物だそうです。ルネサンス期の建築家アンドレーア・パッラーディオの設計により1580年から1585年に建てられた劇場で、カペラ・アンドレア・バルカはよくここで演奏会を開いているようですね。こんなところで聴いてみたいなあ。

Brahms - Intermezzo Op.117-1

こちらは、グールドによる同曲の演奏。
先日真夜中に作業をしながらヘッドホンで色んなピアニストによるこの曲の演奏をランダムに聴いていたのですが、「ああ、これはいい演奏だなあ」とうっとりとしていたら突然耳元でハミングが聞こえて「うぎゃー」と飛び上がるほど吃驚してふとタイトルを見たら、グールドによるこの演奏だったのでした。ああ、よかった(幽霊じゃなくて)。。。グールドさん、驚かさないでおくれよ。。。それはそうとグールドの間奏曲集、いいアルバムですね。1960年というと28歳のときの録音か。

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