風薫る道

Who never feels lonely at all under this endless sky...?

アンドレイ・ガヴリーロフ ピアノリサイタル @港南区民文化センター ひまわりの郷(11月23日)

2020-12-04 13:17:11 | クラシック音楽




仕事でラトビア宛に荷物を送ったのですが、11/10に発送して到着がなんと12/2だったのです、EMSなのに。その話を同僚にしたら、韓国宛もベルギー宛も似た状況だったそうで。本当に今は地球全体がコロナの影響下にあるのだなあ、と改めて実感したのでありました。

そんな中ではありますが、先週、アンドレイ・ガヴリーロフのリサイタルに行ってきました。
有名なピアニストとのことですが、私が彼を知ったのはつい最近のこと。ウィーンフィルの演奏会に来ていた人達の多くが東京や大阪で行われた彼のリサイタルの感想をSNSにあげていて、「次回は港南区民文化センターで行われます」と。港南区って、めっちゃ地元ですやん。電話をしてみるとまだチケットがあったので、行ってきました。客席数400席のこじんまりとしたホールで、この庶民的な町にこんな素敵なホールがあったとは
現在はスイス在住のガヴリーロフですが、先日のウィーンフィルとは異なり、正規ルートでのご入国。奥様が日本人のため配偶者ビザによる入国だそうで、今回は2週間の隔離期間を経て11/7名古屋→13福岡(with九響)→15東京→16大阪→23横浜→28東京(with都響)というツアーだったようです。

このピアニストの半生は、なかなか波乱万丈(といっても旧ソ連や東欧系ではそういう音楽家は少なくないけども)。
1974年18歳の時にチャイコフスキー国際コンクールで優勝し、同年ザルツブルク音楽祭でリヒテルの代役を務め一躍脚光を浴びたが、1979年突如ソヴィエト政府から国外での演奏活動を禁止され、それから5年間は国内拘禁状態に(ご本人曰く、イタリア共産党を称えるツアーをキャンセルしたからとか、闇の権力者の娘だった当時の奥様との離婚とか色々理由は推測できるが、真実は藪の中とのこと)。1984年ゴルバチョフのペレストロイカ政策により自由の身となり、次の?奥様とロンドンに移住。その後もご本人曰くKGBの暗殺の手が伸びたり伸びなかったりしながらも、カーネギーホールでリサイタルデビューを果たし、EMIやドイツ・グラモフォンと契約するなど、順調にキャリアを築いていく。かのように見えたが、1993年のある朝、その夜予定されていた女王臨席のブリュッセルでの演奏会を彼は突如キャンセル。本人曰く「なぜかはわからないけど、突然、自分は今夜の演奏会では弾けないと感じたんだ」。更にウィーンでのラジオ生放送中に演奏を中断するなど奇行が重なり、表舞台から姿を消す。彼が再び聴衆の前に姿を現したのは、2000年代初頭のこと。
という、なかなか特殊な経歴&キャラクターのピアニストのようです。
前置きが長くなりましたが、以下、リサイタルの感想を。

【ショパン:夜想曲 第1番 Op.9-1 / 第8番 Op.27-2 / 第4番 Op.15-1 / 第20番(遺作)】
大阪や武蔵野で聴いた人達の感想は、後半のプロコフィエフは絶賛されていたけれど前半のショパンとリストについてはネガティブなものが殆どだったため、どんだけぶっとんだ演奏を聴かされるんだろう?と身構えておりましたが。
事前にyoutubeでは聴かず会場で初めて聴いたのですが、事前情報で身構え過ぎていたのと、ポゴレリッチでショパンの変則演奏には耐性がついていたこともあり、全く抵抗なく聴けました。というより私、このショパンの演奏、好きでした。
普通と違うのになぜか自然で色っぽくて、無垢さ、ポーランド的な哀愁や深みもあって、そのときのショパンの心の内面が伝わってくるように感じる演奏で、好きだな。
そしてガヴ氏は、ピアノの周りの空気の色が変化するタイプのピアニストだった。それぞれに良さがあるけれど、私は色が変わるタイプのピアニストが好きなので、ガヴリーロフの音色は好みでした。
twitterの感想は色んな意味でポゴレリッチと比べているものを多く見かけたけれど、私はどちらかというと音はヴィルサラーゼに近いように感じました。
買い物ついでにちょっと寄りました風な人達もいる庶民的な雰囲気の客席だったけど、4曲の間で拍手も起きず、このホールのお客さんはマナーがいいなあ。
ガヴ氏のホームページにはショパンに関する記事が沢山あるので、自分用覚書のためにリンクを貼っておきますね(めちゃ多いな…。後で整理します)。リンクからは演奏も聴けますよ。
ちなみにop.15-1で長調が戻ってくる部分については、こんな風に書かれてあります。※ロシア語→英語のgoogle翻訳→私による意訳
「ここで”明るいパート”が戻ってくる。なぜ引用符を用いたか?それはショパンだからだ。ここの長調の明るさは、全ての短調を合わせたよりも哀しいものだ。その悲痛は、音符の”間”で打ち明けられている。彼は笑い、楽しみ、…そして泣いている。それは幸せの涙ではなく、悲痛の涙だ。彼の内部世界を我々は離れた場所からのみ覗くことができる。彼は決してあなたをそこに入れようとはしない。それだけでなく、あなたは彼から見つからないようにしなければならない。もし彼があなたに気付いたら、彼はすぐに去ってしまうだろうから。Chopin: Nocturne F Major Op. 15 no.1
Chopin. Nocturnes
Frederic Chopin (English)
Chopin
Chopin and Schumann
Revolutionary Frédéric
Revolutionary frederic II
Revolutionary Frederic III
Let's clarify a little about Chopin
Nocturne
Chopin: Nocturne in b-flat minor Op. 9 No. 1
Chopin: Nocturne Op. 27 No. 2 in D-flat Major
Chopin: Nocturne Op. 15 No. 1 in F Major
Chopin: Nocturne Op. 15 No. 1 in F Major
Chopin: Nocturne No. 20 in C sharp Minor, Op. Posth.

【リスト: ピアノ・ソナタ ロ短調】
わたし、この曲を生で聴いたのは過去にポゴレリッチだけで、今回のガヴリーロフで二人目なんです。
この曲の一般的な演奏時間は30分前後なのに、ポゴレリッチは50分で、今回のガヴリーロフは22分。・・・この曲の普通の演奏を聴いたことがない私(楽しいからよき)。
ガヴ氏はこの曲についてもホームページで部分的に実に詳細に自身の解釈を書いています(あ、「解釈」という言葉はお嫌いと言っていたか。そう言う音楽家は多いですね)。「イエスの死による人類の救済」、「イヴによる性的誘惑」、「人間の堕落」、「失楽園」、「悪魔の哄笑」など。ご興味のある方は、下記リンクからどうぞ。
それを読んでから聴くと、そうとしか聴こえなくなるから面白い。あくまでガヴ氏の演奏で聴いた場合ですが。
ポゴさんの演奏はまた別。
そしてどちらのピアニストの演奏会でも、前半のロ短調ソナタの個性的すぎる演奏に耐えられず、休憩時間に帰宅する人達が一定数いたのであった。リストも吃驚なことでしょう。
ガヴリーロフの演奏は暗く重い音色でガツガツ弾くかと思ったら、弱音はしっかり歌わせて、その度にちゃんと空気の色が変わる。というのはロシアのピアニストに共通する特徴だけれど、この人の場合、その振り幅がかなり極端で、全体的なバランスも良いのか悪いのかわからないけど。でも、嫌いじゃないです。
ただ、私はポゴレリッチの演奏も好きなんですよね。youtubeでは半分近くのマイナス評価が付いていて、確かに色々めちゃくちゃだけれど。来年のポゴさんのショパン尽くしも物凄く楽しみにしているので、無事に開催されるといいな・・・。※追記:ポゴさんのリスト、全く同日の演奏ですがこっちの動画では高評価が多いですね。

Liszt Sonata B minor
Franz Liszt: Sonata for Piano in B Minor, S. 178: III. Allegro energico (fugato)
Liszt, Chopin and Schumann
Night thought. About the efficiency of Chopin and Liszt
“Franz Liszt, Music Aesthetic and Father Philosopher of Modern Performing World”. AG

(20分間の休憩)
ピアニストにぶっ叩かれまくって瀕死状態のピアノを時計を気にしながら休憩時間いっぱいいっぱいまで調律していた調律師さん、お疲れさまでございました。。。ピアノが衝撃で動かないように、音と同じくらいに脚を入念にチェックしておられた

【プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第8番「戦争ソナタ」】
調律してから音の響き、変わりましたよね・・・?前半よりも素朴な響きになったような。最初はこれはどうなのだろう?と思ったのだけれど、いいのかもしれない。ヴィルサラーゼのときもそうだったけど、プロコフィエフって華美に響かないピアノで聴いた方が凄みが増す気がします。
このソナタについてもガヴリーロフは動画で詳細に解説していて、それを観てから聴くと、まさにそういう音楽に聴こえるし、ちゃんと全体像も構築されているのであった。沈鬱な音色、息もつかせぬ追い込み、圧倒されました。
なんだかこの曲に限らずガヴリーロフの演奏って、正しいとか正しくないとか良いとか悪いとかを超えて、曲の本質をついているように感じさせる妙な説得力のようなものがありますね。ポゴさんにもそういうところがあるけれど。
最後の音の弾き終わりと同時に立つのはマツーエフと同じだなあ。一ヶ月の間にそういうピアニストを2回も見るとは。

In 1994, I saw Gavrilov again when he came to Toronto to give a concert at the Weston Recital Hall at the Ford Centre.
That night, he revealed his true colours, his Russian soul, in his rendition of Prokofiev's Sonata #8.
"When I play the Prokofiev," he told me the evening before, "listen and you will hear -- it's the whole terrifying tapestry of Russia. All the horror of the revolution and the war, Stalingrad . . . all the suffocation of countless spirits since. But there is also the Russia we loved."
How a Soviet-era pianist preserved his Russian soul (The Globe and Mail, MAY 4, 2000)

Andrei Gavrilov talks and plays Prokofiev part 1
Andrei Gavrilov talks and plays Prokofiev part 2
Andrei Gavrilov talks and plays Prokofiev part 3

【ラフマニノフ:幻想的小品集より第1番エレジー Op.3-1(アンコール)】
私、この曲を知らなかったんです。ガヴ氏が今回の日本ツアーでこの曲をアンコールで弾いたのは、この日だけで。
誰の曲だろう、現代に近い曲で、センチメンタルな哀愁があって、民俗ぽさもあって、明らかに西欧の作曲家ではなくて、プロコフィエフでもない。誰だ・・・?と思いつかずにいたら、ラフマニノフだった(この作曲家の存在を忘れていた)。おお、言われてみれば確かにめっちゃラフマニノフだ。ガヴリーロフの音は、ロシアの作曲家の音楽とやはり合いますね。彼のホームページで、彼がこの曲を偶然録音することになったときのエピソードが紹介されています。以下、ロシア語からのgoogle翻訳。

This nostalgic play by the SVR is popular with the "peoples" of the world. He "hooked" something in the world soul with his youthful melancholy, which resonates in the souls of many, regardless of nationality. Interestingly, I recorded this piece by accident.

I had a contract with German TV for the recording of Scriabin and Prokofiev. I arrived in Baden Baden (there is the ZDF studio) and quickly recorded the “conversation about Prokofiev” (with the English composer Michael Berkeley) and Scriabin's works.
The directors were somewhat shocked by the speed of the matter and annoyed that the studio had been paid for the whole day, and everything was done.

They entered the studio, from which I was leaving and intended to go home to my Bad Camberg. They asked - "Andrey, please play something," like for the soul. " I remembered that often in Odintsovo, during the reconstruction of my house, I played Rachmaninov's “Elegy” to the workers. They drank vodka and cried touched, saying - “Vladimir, if these bitches still touch you, we will cut them up with axes” (I often ran to Lubyanka to meet with the KGB chiefs before traveling after “imprisonment”).

I sat down at the piano and played this piece. So she stayed "recorded".

Rachmaninov: Elegie in E flat minor Op 3 No 1
Preparing Sergei Vasilievich's concert for April 22 in Zurich
About two wonderful Russians who died on the same day

【プロコフィエフ:4つの小品より 悪魔的暗示 Op.4-4(アンコール)】
この曲を演奏する前に、沢山の拍手に応えてガヴ氏、「Bravo!」。これは、コロナでブラヴォー禁止だから客の代わりに自分で言ってみたのかしら(笑)。
今年はヴィルサラーゼ、マツーエフ、そしてガヴリーロフとプロコフィエフを聴いてきたけど、ロシアのピアニストが弾くプロコフィエフっていいですよね。無機質になりすぎずちゃんと音楽に聴こえて、ロシア的な凄みと皮肉をしっかり感じさせて。こういう系の演奏でプロコフィエフを聴いておくと、無機質系の演奏も良い意味で楽しめるようになる気がする。上にリンクを貼ったプロコフィエフについての動画で弾かれているロミジュリもよい演奏。
Sergei Prokofiev: Suggestion Diabolique, Op. 4, No. 4
Prokofiev: Suggestion Diabolique op. 4 no. 4

【モーツァルト:幻想曲 ニ短調 K. 397(アンコール)】
この演奏も私は好きだったな。いわゆるモーツァルト的な音色ではないかもしれないけど、孤独な寂しさ(ガヴリーロフの解釈では、死についてのモーツァルトの思いが表現されているとのこと)、容赦ない運命の厳かさ、モーツァルト以外の誰かが補完したといわれている最後の10小節の長調の無垢な音色。ショパンのときと同じく、そのときのモーツァルトの内面が伝わってくるような、モーツァルト本人がそこで弾いているような、そんな錯覚を覚える演奏だった。そしてこの演奏でも、音によって変わる空気の色がいい。調律後の素朴な響きも、曲によく合っていました。終演後に廊下で女性達が「モーツァルトの時代のピアノの音だったね!」と嬉し気に話していました。
Mozart Fantasie D minor KV 397
Wolfgang Amadeus Mozart

演奏を終えたガヴリーロフは、投げキスもしてとってもご機嫌。他の演奏会でもいつもご機嫌だったそうなので、どうやらガヴ氏はご機嫌属性のピアニストのよう。
でも彼のホームページを読んでいると、決してそれだけの人ではないことがわかる。
彼はソヴィエトや現在のロシアの政治と文化の腐敗についてかなり多くのページを割いていて、繰り返し批判をしています。ただ、その批判の仕方がすこし気になる。(全部の記事を読んだわけではないので、またロシア語→英語のgoogle翻訳段階で違うニュアンスになっている可能性もあるので、私の理解が間違っていたらすみません。)
ガヴ氏の政治的意見から、プーチン支持を表明しているゲルギエフやマツーエフやネトレプコを批判するのは理解できる。
でも続けて”同じページ”で、彼が2011年に発表したリヒテルに関する文章(後に『Andrei, Fira and Pitch』として出版されています)に対して連名で抗議をした音楽家達の名前をあげるのは違うのではないか、と。それはアルゲリッチ、マイスキー、レオンスカヤ、ヴィルサラーゼ、エマールといった言わば錚々たる音楽家達で、彼らの声明もガヴリーロフに対して「世間から忘れ去られたピアニストが、自分の話題作りのために根も葉もない嘘を書いてリヒテルを利用したモラルに反する本である」というかなりキツイ言い方をしているのでガヴ氏の気持ちもわからなくはないけれど、それでもこういう風に彼らの名前をゲルギエフ達と並べて書くのはちょっと違う気がする。なぜならその2つの共通項は「自分にとっての敵」という部分だけなのだから(ガヴ氏はアルゲリッチ達を「反ガヴリーロフ同盟」と呼んでいる)。
さらに「現在のクラシック音楽界は腐敗した権威により意図的に作り上げられたものであり、そこで一流と言われている音楽家達も偽物である。若い音楽家達は皆、彼らの悪影響を受けている」とし、「真の音楽を理解していない人」としてアルゲリッチやゲルギエフなどの名前をあげています。「音楽」に関してはシフなども他の音楽家について言いたい放題言っているし、何が正しいという結論はないので好きに書けばいいわけだけど、なんとなくそこに個人的感情も混ざっているように感じてしまうのは気のせいだろうか・・・(違ったらゴメン、ガヴさん・・・)。

それでも。
良い演奏だったんだよなあ、ガヴリーロフの演奏。。。
世界には色々なピアニストがいるものだ。

ところで、ガヴリーロフのお母様はネイガウス門下のピアニストですが、お父様はウラディミール・ガヴリーロフという画家なのです。もう亡くなられていますが、ネットで見たら、沢山素晴らしい絵を描いていらっしゃる。特に人物が逞しく生き生きとしていて素敵です


The pianist who fell to earth (The Guardian Dec 21, 2006)
'Feel free': Gavrilov plays Chopin (The Guardian, Dec 21, 2006)
Andrei Gavrilov: Interview with Asteroid Publishing Company (Feb 27, 2017)
SPIEGEL conversation "Our cultural life has been devastated" (11/23/1987)
Andrei Gavrilov: “Playing the piano means sharing love” (Interlude,  September 3rd, 2017)
Renowned pianist comments on the current state of music education (The Cross-Eyed Pianist, JULY 28, 2015)

Andreï Gavrilov, une âme russe au piano(Le Temps, May 29, 2013) ※仏語からgoogle翻訳
He hates the word "interpretation" and prefers the idea of ​​"transmission". "When I play Chopin, I have to become Chopin, and be the medium through which Chopin's voice and his soul come alive and embrace the audience in the hall." A speech tinged with mystical fervor that he does not deny. If Prokofiev is naturally one of his strings, he always comes back to Chopin. “Chopin and Mozart are the most elusive composers. Their music has a constantly changing nature; it is not inscribed in a monolithic form, as in Beethoven, Wagner, Prokofiev, Stravinsky. They are like elves: you think you have caught them, and here they are laughing in your face, turned over on their heads. "
・・・
From a more technical point of view, Gavrilov admires the dense counterpoint in Chopin. “99% of performers think it is about playing the melody and adding the accompaniment. At Chopin's, there are 3, 4, 6, 8, up to 12 voices simultaneously, and the difficulty is to get them all to sing together. " It is therefore understandable why Gavrilov evokes his exhaustion - "to the point of spitting blood"! - after playing two hours of Nocturnes . “Chopin gives you an extremely expensive check to repay. You pay for it with your life, your experience, your suffering. ” Will he live up to his demands? "If you come to my concert, I guarantee you a total experience, which may even induce a change of life." Alleluia!

ANDREI GAVRILOV. TALENT IN CONTRARY (Premiere, Oct 30 2017)
Andrei Gavrilov in conversation with Melanie Spanswick (DECEMBER 8, 2013)
“Isms” do not work In great music.
Avant-garde composers

Sergei Prokofiev (2017 Mar 11)
And the music is wonderful, fresh. The accuracy of wishes and instructions is exhausting during work. It is excruciatingly difficult to remember and implement everything. Dash over EVERY note. And this must be remembered. The meaning changes from each stroke. Completely digital composer. Digital serious classical and very classical pop music. Because the Americans like it so much. Pleasure without stress. The American dream.

But on stage there is nothing to do. Everything is played by itself absolutely without the participation of the heart. Physical and moral "rest". A very “profitable composer” for those who make their living with music. Chopin's one nocturne is more difficult to play than the whole of Prokofiev. It is not surprising that Shostakovich, who was "an open wound", did not understand a fig in his music and decided that Prokofiev began to discover new shores shortly before his death. And the “new shores” consisted only in the fact that the sky seemed like a sheepskin to our master of solitaire and he slightly began to filter the music with his heart (Sonata 8).

If you understand musical language, you can forget the verbal language. composers blurt out EVERYTHING about themselves in music. Down to the smallest detail!

If you understood the music – you understood life. (Oct 31, 2018)
Take Prokofiev in moderate doses as a life-making a of graphics in painting. Don’t forget he’s doing everything coldly and calculated. Don’t take him seriously. It’s a high-class entertainment. With a rare exception.

Date with Chopin: Andrei Gavrilov performs in Cairo (Nov 29, 2016)
Among those dangerous thoughts, Gavrilov sheds light on fundamentalism and authoritarianism sweeping many countries. He says that every fundamentalist power is and always will be against culture, because culture makes people free and free people are dangerous since they cannot be manipulated. “Culture gives you the food for thought and for your free spirit; every ingenious performance, or a piece of music – and especially music, as it goes straight to your heart – extends your spirit and opens many doors in your heart. People of culture are dangerous to anyone who seeks power,” he says.

Gavrilov left Russia over 30 years ago, he lived in Germany for over a decade, and since 2001 he has resided in Switzerland. He says however that his heart is always with Russia, a country which over past couple of decades went through many difficult political developments. “It’s weird that 30 years after ‘Gorbachev’s revolution’ we still have political dissidents as well as political prisoners. Everyone who is against the ruling people goes to jail. Now Putin is seeking power. They call him authoritarian, but of course he is totalitarian.

PIANIST ANDREY GAVRILOV: IN THE BEGINNING THERE WAS MUSIC, March 2, 2020 (schwingen.net)

Comment    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 『魚屋宗五郎』『太刀盗人』... | TOP | Ivo Pogorelich plays Chopin... »

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。