雪香の星月夜日記

山口雪香の歌がたり、ささやき、ひとりごと

山梨に帰りたしとつぶやきて車椅子に乗る母を見ぬ夏

2021-08-24 21:09:00 | Weblog

 まる一日、庭の草むしり。花壇の庭土が柔らかいので、手仕事でなんとか片付けられた。

 母が元気だった頃は、そう言えばよく草取りをしていたっけ、と思い出す。透析をしていても、気分の良い日には、きっと庭の手入れをした。

 今は、南房総市の施設に入り、腰の圧迫骨折の悪化で車椅子移動になってしまった母とは、コロナ禍のために面会出来ずに夏が終わる。
 しきりに山梨に、我が家に帰りたいと訴えていた母の思いが、こうしてひとりで実家の手入れをしていると、あらためて迫ってくる。
 できるなら、この家に帰してあげたいが、バリアフリーでない旧スタイルの住まいでは、一泊することさえ、もう難しいだろう。

 すっかり弱くなってしまった母を想像すると、自分の力の無さが心に痛い。その滅入りから、また自分を引き起こし、励ますようにして、今日はよく働いた。

 夏草の匂い、土の匂い、虫たちのざわめきなどに向かっていると、過ぎてゆく時間があたたかい。天気もほどよく曇りがちで助かった。

 ラジオからは甲子園の高校野球。連続する全ての瞬間が、純粋な若さとエネルギーのかたまりだ。人生を終えて老い衰えた母への愛惜と、未来ひろがる少年たちの激闘という両極を身巡りに激らせながら、晩夏の実家をきれいにしている。

 


 天使。油彩M4号。


 全てに感謝。


 
 
 
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