市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

蜜のごとき熱を溜めたるふるさとの晩夏のひかり葡萄になりぬ

2021-08-27 21:29:00 | Weblog

 暑い。

 海辺の風吹く町から戻ると、日がなほとんど大気が動かない甲府盆地の残暑の濃さが身体にこたえる。が、のらくらしているゆとりはないので、手の及ぶ限りの整理片付けをしている。
 寂しがり屋の母は、昔からゴミや汚れも財産、友達という感じで、きちんと片付けられた空間が苦手な性格なので、すっかり整理してしまわないようにしているが、私はもともと、雑然やゴタゴタが嫌いで、万事簡潔にさっぱりしたい質なので、もしも甲府に戻ったなら、きっと私の掃除した家内の有様は、母の目には気に入らないかもしれない。
 冷房なしで汗みずくで一日中働いているから、たいして食欲もなく、夕方近所のスーパーに買い出しに行くと、冷えた果物のみずみずしさに目を見張る。ことに山梨県名産の黄緑色のシャインマスカットは美しい。気軽に口に入れるには、ちょっとイイお値段だが、つやつやした果実の粒は、まさにエメラルドか翡翠のように張り詰め、輝いて見える。
 油照りの熱に肩で息をしながら、この濃い晩夏が、秋の実りのうまみとなるのかと思う。

 夕方には少しカーテンが動いて風がくる。が、それも数時間で止まり、今夜もまた密封された熱帯夜だ。

 クーラーは苦手だから、毎夜扇風機で過ごしている。加えて今夜は氷枕をした。

 


 油彩、待降節。

 真夏だが、クリスマスシーズンを想像してアタマを冷やす(氷マクラ

 良い日だった。感謝。






 
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