原爆忌に。
夏の星空がきれいだ。南房総の夜空は広く、星がたくさん見える。湿度の高い海沿いだが、風がいつも吹くので、大気が濁らないのだろうか。
悲しみや憎しみのない世界、無憂郷があるなら、と想像するが、たぶんそれは哺乳類登場以前の太古の世界だろう。植物と原始的な生物が繁栄していた頃の地球、感情のない時代。
星空も、そんな世界だ。
ところが、不思議な話だが、私は母を施設に入れてから、慢性的な、不安や憂鬱感などがあらかた消えてしまい、ほとんど波立たない。
義務感責任感罪悪感、無力感、自己嫌悪や苛立ちなど、それまで抱えていたものが消え、まるで淡彩の風景画みたいな心象。
知命を過ぎたという年齢的な諦め、初老の自覚があるからかもしれない。
とにかく、人生の限られた時間を、迷いなく、気持ちよく、すこやかに過ごしたいと思っている。
油彩8号 調和の門。
神に感謝。