市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

うつそみをなほしなやかな布と思ふ虹を抱いてひるがへる度に

2021-08-07 21:46:00 | Weblog

 江戸時代の文人、貝原益軒はなかなかユーモアのある人で、逸話が多い。彼の母堂もさばけた女性で、良い意味で息子と仲良しだったようだ。
 益軒はある時老母に尋ねた。年齢を重ねた女性に、ソノ欲望はいつまでありますか、とかなんとか。たぶんもっとうまい言葉使いだったに違いない。
 さて、やや薄くなった白髪をきれいな束髪に結った(とはどこにも書いていない)母堂は、無遠慮な息子の問いには答えず、ただ自分の側の火鉢の灰を、火箸でゆっくりと何度も掻いたそうだ(これはホント)。
 益軒は首を傾げて母の無言のジェスチュアを見ていたが、やがてはたと気づいた。
 つまり。
 灰になるまで(エロスは続くよ)と。当時は火葬だから、死んでもなお情念は残るというわけだ。

 罪のないようなあるような話だが、母堂の人柄が偲ばれて面白い。

 男性なら醜男でも富裕でさえあれば、簡単に美女も若い娘も寄ってくる。

 引き換え、女性はどうだろうか。

 夢を求めるのは老若男女を問わない。

 私自身はもう現実に夢を見るのはやめたが、詩歌や演奏、絵の中で見果てぬ夢を成就させている程度。至らない人格なのに、この仕事で、多大な幸せ感を神さまからいただいている。

 


 バテシバの水浴  油彩F8号。

 神に感謝。


 
コメント
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