市の星月夜日記

織江市の短歌、エッセイ

家族なきうちらの静寂(しじま)を欠落と呼べぬ残暑の汗さやかなり

2021-08-26 20:55:00 | Weblog

 残暑に。

 親子とは何だろう。5月末に母を施設に移してから、解放感からゆるゆると放心が始まり、ひと月ほどは、全くぼんやりしていた。

 7月半ばから気を取り直して、またバッハの無伴奏2番を始め、帰省の前に、全曲の音符を鳴らせる程度まで、レベルを上げた。

 今山梨に居て、あれこれと整理、断捨離、掃除草取りをこなしながら、この家を建てた母が、2度とここに住めないという、自立できない老病人であれば当たり前な現実に、繰り返し、悲しさを感じる。

 私はもっとクールに、母の姿や言動を見ていた筈なのに、いざ最晩年の帰去来に直面すると、あちらこちらに気持ちが揺れる。

 ともあれ、母は今、身体の痛みや病、足の不自由を丁寧にケアしてもらえる境遇にある、だからこれで良かったのだと思う。

 


 17、8年ほど前の私。アンデルセンの絵のない絵本をパフォーマンスしたもの。

 母は私の芝居を見たことがない。チェロは館山市オーケストラ演奏会の時に、1度だけ。
 つくづくそりの合わない親子だったが、母は私の人生のおしまいまで心配してくれる唯一の家族だ。

 深く感謝している。


 すべてに感謝。


 
 
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