2022年直木賞受賞作。ミステリー作家として知っていた。歴史小説?というのも意外な感じがした。実にしっかりとした歴史小説であり、そしてミステリーの短編がいくつも含まれ、そして人間を描いた。主人公は荒木村重。摂津に生まれ、池田家を下克上、そして信長から摂津一国を任されることとなる。その村重が、信長軍による丹波、播磨攻めの最中に、本願寺、毛利と連携し謀反。物語はその拠点有岡城で始まる。謎とも言われる村重の謀反。そしてそこに黒田官兵衛(当時は小寺)が説得のための使者として訪れ、土牢に幽閉されたことは知られている。そこから紡ぎ出された物語。謀反ということ、有岡城は初の総構えという巨大な構造で堅固を誇る。そこを守る家臣達は荒木家代々の家臣というのではない。いくつかの謎、それらは有岡城の崩壊の予兆なのか。その謎を共に語る相手は官兵衛しかいないという現実。実に面白く、また村重の有岡城脱出まで見えていて感服。☆☆☆☆ほ。
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