カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『青少年のための小説入門』久保寺健彦 集英社 LB

2021-06-13 10:48:30 | 番外
 編集者から一通のハガキを渡される。出版社気付で小説家に送られたそのハガキは汚い文字が書かれていた。そこから始まる物語。中学生の一真は不良の転校生とその仲間からばあさんの駄菓子屋での万引きを強要される。店を出ようとした所で「万引きしてますよ」とはやし立てられる。そこが登との出会い。ディスレクシア、発達性読み書き障害。脳が文字を認識できないことから読み書きができなくなる。そして不良の親分の登さんと、一真との二人旅が始まった。登のために一真が小説を朗読する。登さんは字が読めないのに、内容を捉えることができる。そうした二人が小説を書こうとする。小説を研究し、物語を書く。沢山の本が登場し、小説の面白さが分析され、とんでも青年の登と真面目(だった)中学生一真、一真は高校生に。「インチキじゃない」小説を書こうとし、壁にぶち当たり、苦しくなったりする。本が早く終わってくれたらと思ったり、どうなるっちゃうんだとハラハラしたりで楽しめた。お薦めしたい。☆☆☆☆ほ。


『穴掘り』本城雅人 双葉社 LB

2021-06-10 21:18:31 | 和物
 サンケイスポーツ記者出身の作家本城雅人の2019年の作品。警視庁捜査一課一係で遺体無き殺人事件を専門とする信楽を中心とした6編の短編からなる。部屋長と呼ばれる信楽は行方不明届から「端緒」を見つけ、そこから事件へと導きだす。「穴堀り」は遺体発掘も意味する。部下となる森内、同僚であった香田、新聞社の警視庁キャップ金谷など、幾人かの視点で信楽が関わる事件が語られていく。☆☆☆☆。かな。

『監禁面接』ピエール・ルメートル 文春文庫

2021-06-06 14:25:57 | 洋物
 実に面白い。第一部 そのまえ 第二部 そのとき 第三部 そのあと という三部構成となり、第一部と第三部は失業4年目で求職活動中のアラン・デランブルが、第二部を凄腕のダヴィッド・フォンタナが語り手となる。パリに住み200人規模のコスチュームジュエリーの製造販売会社で人事部長を務めていたアラン。会社がベルギーの会社に買収され失職。再就職を求め、そのランクを下げながら、早朝からの配送業務のバイト中。そこで突然切れてしまう、ああ、大変。愛する妻、二人の娘、一人は英語教師で気に入らない婿がいる。一人は弁護士。失業以外は幸せ、それでもアパルトマンのローンがまだ残り、失業直前に取り掛かったリフォームは中断している。連敗続きの就職活動だったが、面接試験の知らせ。それが「監禁面接」。登場人物がいいのです。アラン、大丈夫か。おいおい、いいのか、いいのか。ハラハラです。怒涛の展開、意表をつくどんでん返し。最後、ああ、彼は…となるのだけれど、とても面白い。ルメートルの中でも一番好きです。☆☆☆☆☆。