元憲兵隊指揮官のジャック・リーチャー。家も車も持たず、放浪の旅を続ける。マサチューセッツ州の大学の校門近くにいたリーチャー、学生が拉致される場面に遭遇する。犯人らを撃つが、そこで刑事も撃ってしまう。衝撃的なオープニング。複雑に絡み合うストーリー。そこに10年前のリーチャー自身が絡んだ事件が関わってくる。迫真の格闘シーンの連続。であるが、ちょっとしんどい。☆☆☆。ということになった。
主人公のオオバカナコ。借金苦からちょっとした「リスク」のあるバイトに応募する。その結果、ウェイトレスとしてダイナー「キャンティーン」に放り込まれることとなる。主人はボンベロ、そして相棒のブルドック菊千代。その作り出す味は絶妙。「キャンティーン」は会員制で、来店した客はボンベロがドアを開錠しなければ入ることも許されない。その会員は殺し屋ばかり。主人は元殺し屋、菊千代も猛犬、それまでのウェイトレス8人は皆、死んでいる。客が突然、切りつけてきたり、発砲、毒殺、殺しの妙技があちこちで炸裂。何だかとてつもない物語が展開。ぶっとんだ展開に時折描写もぶっ飛ばされた感もあるが、なんとも読まされていくのだよ。後編があってもいいかも。☆☆☆☆。
主人公は江藤瞬一、群馬県片品村、尾瀬湿原のある村に生まれた。両親は民宿を営んでいたが火事で焼死。じいちゃんに育てられる。高校を卒業し、「世界を見てこい」というじいちゃんの言葉で東京に出る。川の近く、荒川の流れる江東区に住む。堤防に上がると大きな川が流れている。大学に行くのでも、就職するのでもなく、コンビニでバイトをし、その後、引越し会社でバイトをする。そこのバイトの同僚の野崎、アパートの隣人の島崎親子、下の部屋の得三さん、いろいろな人との少しづつの関わり。そんな物語。「人を守れる人になれ」じいちゃんの言葉。そんな物語。☆☆☆☆。
ひりつく とはあまり見ない表現。主人公はジャズ・クラリネット奏者の下田保幸47歳。かつてデキシーランドジャズのバンドに属していたプロ、バンドは解散し今は音楽教室で教えることで暮らす。かつて有名シンガーのバックを務めた時代に買った家はセカンドハウスにするつもりだった東京郊外の畑の中の小さな家。醤油もかけない豆腐、カット野菜のキャベツ、食パンにちくわを挟んで食べる。週に一回、ファミレスのバイキングに朝からでかけ、夜の分まで食べ、食べ、飲み、新聞を読む。もうあまりクラリネットを吹くことは無くなった。かつて出ていたライブハウスからの電話。昔の恋人の子が警察に厄介になっているという。音矢という名前。ジャズメン、シンガー、ミュージシャン。高校時代のブラスバンド部の同級生。ファミレスの常連の女性と男性。いろいろな人が少しづつからみあってくる。途中、どうしてこうも物語が進まないとも思ったが、それでも音矢、あるいは朋子、そして佐久間留美。泣くこともある。大人が。それも悲しいのではなくて。☆☆☆☆。
『グレート・ギャッツビーを追え』ジョン・グリシャム 村上春樹 訳 中央公論社 LB
ジョン・グリシャムだけれども法廷物のスリラーではない。村上春樹翻訳ということで手にとった。”CAMINO ISLAND”というのが本来の題名。物語の舞台となる島の名前。主人公は女性作家。大学で英文学を教えていたが雇用打ち切りを告げられた。親の破産のために学資ローンを抱えている。1冊の長編小説はそれなりの評価を得るも、書店へのサイン会ツァーは寂しい想いとともに打ち切りに。短編集は売れることもなく、2冊目の長編の〆切を過ぎて三年になる。プリンストン大学が所蔵するフィッツジェラルドの自筆原稿が盗まれた。巧妙な手口による大胆不敵の犯罪はわずかなミスで露見する。それでも原稿は行方不明に。その捜査に主人公のマーサは巻き込まれることになる。アメリカのリゾート、そこで書店を経営するブルース・ゲーブル。稀覯本のコレクターでもある。アメリカの書店のシステム、稀覯本の世界、そして作家たちの世界を覗き見るようで面白い。村上さんも本屋で見つけて引き込まれた由。流石に原題では日本では売れないですね。☆☆☆ほ、くらいかな。
ジョン・グリシャムだけれども法廷物のスリラーではない。村上春樹翻訳ということで手にとった。”CAMINO ISLAND”というのが本来の題名。物語の舞台となる島の名前。主人公は女性作家。大学で英文学を教えていたが雇用打ち切りを告げられた。親の破産のために学資ローンを抱えている。1冊の長編小説はそれなりの評価を得るも、書店へのサイン会ツァーは寂しい想いとともに打ち切りに。短編集は売れることもなく、2冊目の長編の〆切を過ぎて三年になる。プリンストン大学が所蔵するフィッツジェラルドの自筆原稿が盗まれた。巧妙な手口による大胆不敵の犯罪はわずかなミスで露見する。それでも原稿は行方不明に。その捜査に主人公のマーサは巻き込まれることになる。アメリカのリゾート、そこで書店を経営するブルース・ゲーブル。稀覯本のコレクターでもある。アメリカの書店のシステム、稀覯本の世界、そして作家たちの世界を覗き見るようで面白い。村上さんも本屋で見つけて引き込まれた由。流石に原題では日本では売れないですね。☆☆☆ほ、くらいかな。