カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『握る男』原 宏一 角川文庫

2017-12-31 22:08:42 | 和物
 刑務所の受刑囚である金子。何をして受刑となったか分からないが、同房の者の週刊誌である人物の自殺を知る。そこから追憶、昭和56年の初夏、両国の鮨店を舞台に物語は始まる。金子は高校卒業後、最初の職を辞した後、鮨職人の道を選んだ。そこに中卒の少年が後輩の小僧としてやってきた。ゲソというあだ名がついたその男は、天性の鮨職人の腕と、不思議な才覚と、非凡な発想で動き出す。ゲソに追い抜かれ、いつしかナンバーツーの道を歩む金子。ゲソのその行動、「10%理論」、次々とあっと言わせる展開に、こちらもぐいぐい引き込まれる。原という作家はこんな作家であったのか、実に面白く、昭和から平成の時代史でもあって、☆☆☆☆。

『テミスの剣(つるぎ)』中山七里 文春文庫

2017-12-31 18:18:24 | 和物
 主人公は埼玉県警の渡瀬。鳴海という埼玉県警の名物刑事。鳴海と組んだ若き渡瀬。そこに裁判官高円寺静が登場する。中山モノは登場人物がからんで面白い。殺人事件、その捜査。取り調べ。鳴海が退職、渡瀬が絡んだ新しい事件から物語は大きく展開する。裁判とは、死刑とは、捜査とは、etc。伏線が見事に回収されて、やりますね。面白いです。彼はこういう人物だったのかと思いつつ、楽しめます。大きな中山モノ。☆☆☆☆ほ。

『追憶の夜想曲(ノクターン)』中山七里 講談社文庫

2017-12-30 21:15:14 | 和物
 『贖罪の奏鳴曲』の御子柴礼司が帰ってきた。「解説」の冒頭がまさにこの本。異様な経歴を持つ御子柴弁護士。強欲な弁護士でありながら、今回、何故か一人の女性の弁護を脅し取るように引き受ける。その相手を務めたのが岬恭平検事。あの岬の父である。有罪確実、そして金も無い夫殺しの妻を何故助ける。御子柴はその女の過去に入り込んでいく。途中で、「分かった」のではあるが、この本の引っ張り具合はなかなか。終盤の展開も驚きで、また登場人物が他の小説に登場するものも面白く、中山作品として☆☆☆☆ほ。

『どこかでベートーヴェン』中山七里 宝島社文庫

2017-12-29 19:36:30 | 和物
 岬洋介シリーズの0作。高校時代の岬である。加茂北高校という新設校、開校二年目のその音楽科に転入した岬洋介。同級生鷹村によって岬が語られる。初めて弾いたピアノの圧倒的な破壊力。田舎の普通科に入れない人間の受け皿ともなっている音楽科の生徒をおしつぶしていく集中豪雨が起こり、岬は救助を求めて一人外へ。そこに殺人事件が。高校時代の岬、あの障害もここに。謎は解かれ、そして岬という人間がいかに生まれたかもあって、面白い。☆☆☆☆。

『どこかでベートーヴェン』中山七里 宝島社文庫

2017-12-29 19:36:30 | 和物
 岬洋介シリーズの0作。高校時代の岬である。加茂北高校という新設校、開校二年目のその音楽科に転入した岬洋介。同級生鷹村によって岬が語られる。初めて弾いたピアノの圧倒的な破壊力。田舎の普通科に入れない人間の受け皿ともなっている音楽科の生徒をおしつぶしていく集中豪雨が起こり、岬は救助を求めて一人外へ。そこに殺人事件が。高校時代の岬、あの障害もここに。謎は解かれ、そして岬という人間がいかに生まれたかもあって、面白い。☆☆☆☆。


『ロード & ゴー』日明恩 双葉文庫

2017-12-21 23:12:24 | 和物
 日明恩の消防署シリーズ。鎮火報などからのスピンオフ。主役は救急隊員である。救急車の機関員は生田。大山と組んでいた消防車の機関員から救急車に転じていた。隊長の筒井、若い救急救命士の森、その三人のチームが出動し、大事件に巻き込まれる。その中で、救急の実態、問題点が明らかになりながら、チームは果敢に挑んでいく。消防魂の協力が泣かせる。ところどころにじーんと来るのだ。生田もいいね。奥さんも。☆☆☆☆ほ。

『トッカン the 3rd おばけなんてないさ』高殿 円 早川書房

2017-12-19 22:49:42 | 和物
 東京国税局京橋地区税務署のトッカン鏡と徴収官鈴宮深樹のシリーズ第3作。鏡と鈴宮。栃木へ。鏡の故郷、栃木で餃子。新たな登場人物も増えて、にぎやかに。少々重い部分と、キャラの妙な軽さと、やや調子のいいストーリー展開あるものの、読んでて楽しいので☆☆☆☆。

『トッカン vs 勤労商工会』高殿 円 ハヤカワ文庫JA

2017-12-17 14:36:02 | 和物
 東京国税局京橋地区税務署のトッカン鏡と徴収官鈴宮深樹のシリーズ第2作。
 鈴宮も四年目を迎え、一人の仕事も。そんな中、鏡の担当の食堂の主人が自殺。そこを勤労商工の弁護士が攻める。その弁護士、鏡の同級生二人、後輩徴収官の春路、女力の高い錨など新たな登場人物もたくさん登場。ということで、☆☆☆☆。


『トッカン 特別国税徴収官』高殿 円 ハヤカワ文庫JA

2017-12-16 21:10:23 | 和物
 東京国税局京橋地区税務署に所属の徴収官鈴宮深樹、そしてその上司特別国税徴収官の鏡雅愛のシリーズ第1作。税金滞納者からの取り立てを行う徴収官。トッカンはその中の特別な存在。新米女性とできるけど少々変わり者というコンビ。五話のエピソードが展開する中で、新米徴収官の成長物語なのだけど、それぞれに背景を持っており、伏線が回収されていくのもなかなかのもので、結構いいのだ。☆☆☆☆ほ。

『眠る狼』グレン・エリック・ハミルトン 講談社文庫

2017-12-06 23:52:52 | 洋物
 米陸軍レンジャー部隊のバン・ショウは、疎遠にしていた祖父からのゲイル語で書かれた手紙で故郷へ帰る。そこから物語が始まる。祖父が襲われる。過去と現在を行き来しながら、バンとその祖父の物語が進む。裏稼業の祖父、そこから飛び出し軍隊に入ったバン。そこに祖父の襲われた謎が。祖父の仲間、バンの旧友、過去の逸話から次第に謎が見えてくる。ということ。☆☆☆ほ。