カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『鎮火報 Fire's Out』日明恩 講談社文庫

2010-03-27 22:37:20 | 和物
 再読シリーズ。「消防士」の第一弾。主人公は大山雄大。母一人、子一人。消防士だった父は非番の日にアル中の男を助けようとして死んだ。小さな頃に兄のように慕っていた仁藤も消防士。レスキューサイボーグと異名をとったこの男は救助の最中の事故の影響で現場を離れたが、今でも現場復帰を目指す。幼馴染の祐二は工務店で働く。もう一人の友人守は、ずっと年上のひきこもり。赤羽台の出張所には藤田のオヤジ、姑のようにうるさい富岡、暴走族上がりの生田のアニキ、自衛隊出身の星野といった面々がチームを組む。火事に出動、水をかけたら燃え上がるという不思議な火事。不法滞在外国人の摘発の現場、入国管理官、警察入り乱れ、事件が展開する。この小説は警官モノと同様に、消防士の世界をしっかりと描いている。これは日明の特徴。楽をするために消防士になった雄大の目から実にリアルに描いていく。警官モノよりも、救いがあるような、登場人物の類型化の度合いがほどよい感じで読み進む。続編が出ているが、早く文庫にならないかな。☆☆☆☆。


『そして、警官は奔る』日明恩 講談社文庫

2010-03-20 21:18:42 | 和物
 再読シリーズ。「警官」の第二弾。主人公はキチク武本。今回はその相棒に「冷血」和田。子供の監禁事件、そこから、不法滞在外国人、その子供。日本人との間に生れた無国籍の子供といった問題が武本、そして再び登場の潮崎の前に覆いかぶさってくる。警察とは、罪とは、法とは、いろんな問題がそこにある。最近和物を沢山読んだので、潮崎の話に登場する和物ミステリーもいくつか分かった。これは前回読んだ時には分からなかったけど。ただ、かなり重い問題を扱っているので、ちょっとしんどい。潮崎の軽さというのも、全体をまとめるところまで行かぬ感も。今回は和田がいい。それと、この本を映像にしたいと思わせる羽川のぞみ、この役は誰がやれるか。☆☆☆。

『検察捜査』中嶋博行 講談社文庫

2010-03-08 17:02:13 | 和物
 第40回江戸川乱歩賞受賞作という弁護士のデビュー作。検察官が減少を続け危機に。司法修習生から検事志望を獲得せよというプロジェクトも失敗に終わる。そんな中、大物弁護士が殺された。横浜地検の女性検事岩崎が捜査に当る。それを補佐するのが事務官で三つ年上の伊藤。検察、日弁連、警察。三つの力関係の中で、事件が進む。検察という組織の持つ問題点いろいろ分かって面白い。女性の検事、相棒といった部分はまだまだ感はあるが、そこそこ面白い。☆☆☆ほ。

『12番目のカード』上・下 ジェフェリー・ディーヴァー 文春文庫

2010-03-06 12:55:12 | 洋物
 リンカーン・ライムとアメリア・サックスのシリーズ、第6弾。学校のレポートのために、図書館でマイクロフィッシュを見ていた女子学生が襲われた。ライムのチームが乗り出した。今回は驚きの連続。意表をつかれ、まだ、こんなにページ残ってるのに!またまた意表をつかれ…。ロン・セリット刑事に試練が訪れ、ライムが筋トレを始めたりとの展開も。サックスとの間のどうのこうのというのは今回は薄れていて、その分、襲われるジェニーヴァがよく描かれている。アメリカの歴史も面白い。一読をお薦め。展開の面白さに時間を忘れる。☆☆☆☆ほ。