カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『カストロ謀殺指令』上・下 デイヴィッド・L・ロビンズ 新潮文庫

2011-05-16 09:22:06 | 洋物
 ルーズベルトに続いて、今回の標的はカストロ。スロベニア系アメリカ人の歴史学者ラメットが再び登場。革命直後のキューバ、ケネディのアメリカがその行方にじれている。亡命キューバ人の侵攻計画が噂され、ラメットは歴史の転換期の証人となるべくハバナにいた。CIAのカレンダー、キューバ秘密警察のホアン。史実とフィクションが混ざり合いながら進むのは前回同様。これがなかなか読ませる。実在の人物ということで結果を知っているのだが、それでもその展開、今回はかなりバックが複雑さをはらみ、面白い。☆☆☆☆。

『鼠たちの戦争』上・下 デイヴィッド・L・ロビンズ 新潮文庫

2011-05-15 09:23:05 | 洋物
 順番が後先になってしまったが、デイヴィッド・L・ロビンズの日本初登場作品。舞台は第二次世界大戦のスターリングラード。アメリカでロシア人の両親のもとで生れたターニャは、祖母をアメリカに連れに来て、結局パルチザンに身を投じる。シベリアのタイガで狩猟をしていたワシーリイ・ザイツェフは海軍の事務兵から狙撃兵となり、才能を開花、「兎」の名で知られる。相棒は「熊」。二人は狙撃兵養成を行うことになる。膠着した戦線でスナイパーが活躍する。ドイツはドイツ国内で狙撃学校の校長を務めていたトルヴァルト大佐を「兎」と対決させるために差し向ける。その側にいることになったのが、情報隊に属するニッキ伍長。史実に基づきながら、そこにスーパースナイパーの対決を描き、さらに戦争の実態を抉り出していく。単なる対決物語でないことは、物語の終幕の長さで分かる。これは大したものだと思わせる作品。☆☆☆☆ほ。


『ルーズベルト暗殺計画』上・下 デイヴィッド・L・ロビンズ 新潮文庫

2011-05-15 09:21:28 | 洋物
 作者は『鼠たちの戦争』を書いた人。スロベニア系アメリカ人の歴史学者ラメット、彼は暗殺史について学ぶ。その一方で、工作員の指導にもあたっている。かつての教え子によって、ルーズベルト暗殺計画阻止のため、アメリカに連れ戻される。史実を追いながら、その中にフィクションを織り込んでいく。どこまでが史実で、どこからがフィクションか。その曖昧さの中に、サスペンスの凄みがやってくる。キャラクターがうまく描き出されて、ぐいぐい読ませる。☆☆☆☆。

『ゆげ福 博多探偵事件ファイル』西村 健 講談社文庫

2011-05-09 14:46:18 | 和物
 あの『ビンゴ』『突破』などで知られる西村健の短編集。舞台は博多。屋台のラーメン屋の両親を持つ弓削匠。親父さんのラーメン屋台「ゆげ福」の名が通り名となっている。友人にはゆず福同様ラーメン狂の福岡県警刑事宮本。WEBサイトでラーメン情報を共有するRDF。博多に起こる事件に挑みながら、親父失踪の謎が漂ってくる。しばらく続きそう。面白いのは福岡の食情報。赤のれん節ちゃんラーメンはうまかった。☆☆☆☆ほ。


『夜を守る』石田衣良 双葉文庫

2011-05-08 18:40:26 | 和物
 池袋から上野のアメ横を舞台へ。アメ横を守るガーディアンの四人の物語。アポロ、サモハン、ヤクショ、天才。公務員、フリーターのビデオ店員、古着屋の跡継ぎ、施設に入っている少々足りない男。彼等がアメ横の夜を守る。といっても戦うのではなく、巡回し、ゴミを拾い、自転車を片付ける。それでも事件が舞い込んでくる。どうしてもIWGPと較べてしまうのだけれど、アメ横のラーメン屋とお店は詳しくても、上野公園に近代美術館はちといただけない。期待が勝ち過ぎたので☆☆☆。

『警官の紋章』佐々木譲 ハルキ文庫

2011-05-01 21:49:15 | 和物
 『笑う警官』(本当はうたう警官なのに!)、『警察庁から来た男』に続く北海道警察シリーズ第三弾。洞爺湖サミット直前に、一人の地域課巡査が失踪する。かつての郡司事件の際に自殺し、事故死として処理された警部の息子。警官の子が警官となる。警官の紋章を額につけて。全国から警官動員の中、道警は面子をかけて失踪巡査の捜索に。津久井、小島、佐伯といった『笑う警官』で活躍した面々が捜索に、警備に、事件捜査にそれぞれにあたり、それが一気に収束していく。なかなか面白いのだが、最後の辺りで少々すっ飛ばしも。それでも警察小説としての重み、切れ味は流石である。☆☆☆☆。