カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『七月の暗殺者』ゴードン・スティーブンス 上・下 創元推理文庫

2006-05-31 23:20:05 | 洋物
 待ってました『カーラのゲーム』に続く第二弾。原作の発表は本作の方が早いらしい。しかしこの本、2005年11月の発売、それをカタカナ・ミステリー好きでありながら気がついていなかったとは不覚、実に不覚。IRA物で女性が活躍。しかしこの女性達がいいのだ。色恋役の登場ではなく、本格である。そして読ませる、読ませる。ハラハラ、ドキドキ。種が明かされたプロット、隠されたプロットと次々で、楽しい。それぞれの脇役陣がいい個性を持っているが、意外にあっさり舞台から消されたりするところが初期の作品ということなのだろうか。☆☆☆☆☆。早くあと未訳の二作を、そしてノンフィクションも含めて出して下さい。そしてもうちょっと宣伝しといてくれると、読みそこなうこともないと思うのだけれど。

『森の死神』ブリジット・オベール ハヤカワ・ミステリ文庫

2006-05-25 18:53:06 | 洋物
 『鉄の薔薇』に続いてのオベール登場。主人公が何と、目が見えず、言葉も話せない。こうした人物が主人公というのは珍しい。オベールの作品としては翻訳第二作。残念ながら、第一作の『マーチ博士の四人の息子』は本屋でお目にかかることもなく、未読。さてこの本、座椅子探偵というジャンルになるのだろうか、それも目が見えず、会話がほとんど(コミュニケーション能力は皆無ではないところがミソ)できず。そのせいでいろいろな情報を得るというあたり、作者の只者でないところ。少々難解な部分が終盤にあったが、続いてオベール物を探して読みたい。装丁もちょっと気にいった。☆☆☆☆。

『鉄の薔薇』ブリジット・オベール ハヤカワ・ミステリ文庫

2006-05-22 22:13:58 | 洋物
 一人称小説というのは好みではない。この作者の本も読んだことが無かった。新作が出ていて、それまでの作はと見たら「最高傑作」とされたこの本があった。
 主人公の強盗、その妻。両者がお互いお素性を隠してといった展開は最近の映画にあった『Mr. & Mrs. スミス』みたい。これがなかなか面白い展開となる。以外な事実が次から次へ。読み手をうまく引きずり回す。この作者なかなかのもの。訳文のせいか、一風古風な感じだが、この作者のシリーズは鉱脈。☆☆☆☆。

『ブルー・ブラッド』ディヴィッド・ハンドラー 講談社文庫

2006-05-11 21:04:57 | 洋物
 『ブルー・ブラッド』青色の血というのは日本だったら蛸の血だけど、これは上流階級のことだそうな。"THE COLD BLUE BLOOD"というのが現題。ハンドラーという人、ゴーストライターのホーギー物を書いた(『フィッツジェラルドをめざした男』とか、これ読んだな、確か)人だそうで、その新シリーズ。主人公は30代の映画評論家、愛妻を亡くしたばかり、同じ頃のバツイチ、黒人の女性警部補。ニューヨーク近郊の金持ちの島を舞台に殺人事件。全体として、主人公達の作り方がいいですね。キャラクターとしてなかなか。ミッチ(映画評論家)が妻を亡くした痛手から少々安易に立ち直っているようにも思うけれど、小道具みたいな猫などが作品に和らぎをくれます。シリーズ既に5作あるようで、続き読みたい。☆☆☆☆ほ

『核弾頭ヴォーテックス』上・下 ラリー・ボンド 文春文庫

2006-05-01 23:57:47 | 洋物
 ラリー・ボンドの二作目。これも久々再読シリーズです。今回は南アフリカが舞台。独裁政権が誕生によって、戦争へ。原題は"VORTEX"しかしどうしてこの題名なのかなと。前作の方がのびのびしてました。いくつもの物語が並行して進んでいくというのは同じ。それでもキャラクターの良さは前作か。想定に無理が多すぎ、さらにこの題名は全体をうまく現わさないな。ということで、読むのも間延びしてしまったという次第。☆☆☆がいいところ。残念。