カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『確証』今野敏 双葉文庫

2018-04-29 11:04:38 | 和物
 警視庁捜査3課(盗犯専門)に属する萩尾秀一を主人公とする警察小説。相棒は若い武田秋穂。盗犯の犯人は職人が多い。それと対峙する刑事も独特の職人肌となる。渋谷で強盗事件が発生、その翌日、またも渋谷で宝飾店に窃盗事件。萩尾は渋谷署と捜査に入る。被害は最高額のネックレスのみ。それも指紋認証を破っての犯行。そこに萩尾は強盗事件との関連を感じる。萩尾のSに窃盗のプロがいた。元町工場の経営者にして技術者。工場がつぶれ、かつての町工場の技術を活かしてプロの窃盗犯、その後、下半身不随となって引退した男。捜査の中で、別の強盗事件が起こる。そこでは殺人も行われていた。強盗事件、窃盗事件、強盗殺人事件。その中に関わりを感じていた萩尾は殺人事件の捜査本部に吸い上げられた。エリート集団の捜査一課、そこに三課から加わり、自身のプロ意識で動く。それぞれのキャラクターが生き生きしていて、面白い。☆☆☆☆。


『龍時 03-04』野沢尚 文春文庫

2018-04-28 19:42:36 | 番外
 志野リュウジのサッカー小説第三作。今回はアテネオリンピックが舞台となる。オリンピック代表に選ばれたリュウジ。監督の平義は「教授」の異名を持つ。規律を重んじることを重視し、自由はどこに。監督との関係が描かれる。対戦を通して、サッカーとは、日本代表とは、監督と選手とは、さまざまな問題が浮かび上がる。父親がなかなかいい役割を果たしています。わくわくして、読み進む。試合途中は息をするのを忘れていた。いやあ、面白い。実に面白い。この先、リュウジはどうなるのだろう…、と思っていたら、野沢尚氏は2004年に亡くなられてました。残念、無念。☆☆☆☆☆。

『龍時 02-03』野沢尚 文春文庫

2018-04-26 21:34:29 | 番外
 志野リュウジを主人公とするサッカー小説第二作。不思議なことに第一作が『龍時 01-02』、第三作が『龍時 03-04』と数字がかぶっていく。スペインに渡ったリュウジはアランフェスのアトランティコからレンタルで一部で首位争いを演じているセビリアのベティスにレンタルされている。控え組に入るか入らないかというあたり。それでも「チノ」と呼ばれるのを「リュウ」と呼ばせてやろうと自分を磨く。舞台となった時代がレアルにジダン、ロベカル、ロナウド、イエロのいた時代、日韓W杯が終わった所で、ドイツW杯前のジーコジャパンの時代。選手達のプレーまで見えてくる。スペインのサッカーの空気、セビリアでのセビージャとベティスのダービーの緊張、サンティアゴ・ベル・ナウの雰囲気。どれもが実によく描かれていて伝わってくる。そしてフラメンコを学ぶ女性の出現。日本とは、日本人とは。セビージャに在籍する韓国人パクもいい味を。☆☆☆☆☆。

『ミレニアム4 蜘蛛の巣を払う女』上・下 ダヴィド・ラーゲルクランツ ハヤカワ文庫

2018-04-24 23:15:34 | 洋物
 スティーグ・ラーソンに代わって、スウェーデンのジャーナリスト、ダヴィド・ラーゲルクランツが引き継いだ『ミレニアム』の第4弾。ラーソンの残した200頁からではなく、独自の展開。最初はやや疑りの目気分で詠んでいた。ラーソンならもっと乾いた感じで展開するよねって具合に。それでも引き込まれていきました。ミカエルは時代遅れと言われるようになり、雑誌ミレニアムは大手出版社の傘下に入っていたが、そこから圧力を受け始める。そんな時に、人工知能研究の権威がサヴァン症候群の息子を育てるためにスウェーデンに帰国、そこから物語は大きく展開していく。リスベットの双子の妹、そしてその二人の間にあるものが語られていく。リスベットの背景が描かれ、それが物語の展開を大きくさせていき、実に面白い。このシリーズまだまだ続く。と思っていたら、単行本でⅤが出ていた。☆☆☆☆☆。

『ミレニアム 3-眠れる女と狂卓の騎士-』スティーグ・ラーソン

2018-04-22 22:06:22 | 洋物
 再読シリーズ。スティーグ・ラーソンによるスウェーデン・ミステリー三部作の第三作。病院に入院したままのリスベット。すぐそこにザラチェンコ。そこに公安の中の「班」を守ろうとする者達が。ミカエルはその「班」を追う。スウェーデン憲政史上かつてない闇に立ち向かう。国家ミステリー、法廷ミステリーいろんな要素が並行して進み、張り巡らされてきた伏線がしっかりと生きていく見事な展開。「しっかりしろよ!」という突っ込み所もあるけれど、そんなこと抜きにして眠らせてくれない名作。☆☆☆☆☆。

作者のスティーグ・ラーソンは、第4部の原稿200ページをパソコンに残したまま、逝去。第四部は作者を代えて出版されている。果たしてどこまで迫れるか。


『ミレニアム 2-火と戯れる女-』スティーグ・ラーソン

2018-04-07 14:08:15 | 洋物
 再読シリーズ。スティーグ・ラーソンによるスウェーデン・ミステリー三部作の第二作。『ミレニアム』に掲載すべく少女買春についての調査を進めていたダグとその恋人が殺される。同じ時に、リスベットの後見人ビュルマンも殺された。リスベットはその犯人として警察から追われることに。ミカエル、アマルスキーはそれぞれにリスベットの無罪を信じて調査に。そんな中、ザラチェンコという謎の人物、金髪の巨人が現れ、リスベットはさらに窮地に。実に面白い。展開の中で、リスベットの過去が次第に明らかになる。ストックホルム、イェーボリと舞台は広がり、ぐいぐい読ませる。☆☆☆☆☆


『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』上・下 スティーグ・ラーソン ハヤカワ文庫

2018-04-05 21:13:18 | 洋物
 再読シリーズ。ミレニアム4が出たので、それ読む前に、再読。スウェーデン・ミステリーというのは馴染みが少ないのだけれど、これには驚いた。3部作、出版の時点で作者死亡。何とも劇的なのだ。主人公はミカエル・ブルムクヴィスト。おお、どう発音するのやら。もう一人の主人公がリスベット・サランデル。こちらはまだ覚えやすい。その内容はというと、実に劇的。伏線が張り巡らされ、それが回収されていき、予想外の展開、また展開。そして登場人物がそれぞれに魅力的なのである。いやぁまいった。久々にしっかり海外モノミステリーにひたる。☆☆☆☆☆。


『首折り男のための協奏曲』伊坂幸太郎 新潮文庫

2018-04-03 23:24:15 | 和物
 2008年4月に『首折り男の周辺』が発表され、2013年2月までに発表の7編からなる短編集。首折り男、それに間違われる男。隣の老夫婦。物語を越えて、それぞれが絡み合っていく。不思議なる伊坂ワールドで、独特の思考には、ああ伊坂ワールドと。とまあ、不思議気分の中で読める。☆☆☆☆。


『ぼくは明日、昨日のきみとデートする』

2018-04-01 11:01:32 | 番外
監督:三木孝浩 原作:七月隆文 映画を観た。主演は福士蒼汰と小松菜奈。時空がよじれる世界は最初なかなか分りにくいが、小説の世界では結構面白い分野である。映画という短い時間でそれを見る側に伝えるのはなかなか難しい。それでも、青春映画なんて今更見られないよ、と思っていたら、これがなかなかいいのだ。終わったと思ったところから、さらにもうひとつ、じんと来るね。今更ながらに青春映画の面白さを教えてくれたので、☆☆☆☆。小松菜奈はいいね。