カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『第三の銃弾』上・下 スティーヴン・ハンター 扶桑社ミステリー

2014-08-12 23:33:12 | 洋物
 久々に手にしたスティーブ・ハンターによるスナイパー、ボブ・リー・スワガー物である。『極大射程』から読んだが、『四十七人目の男』から三冊は読んでいなかった。さてこの作品、何とハンターがケネディ暗殺に挑んだものである。ある男が車にはねられた。この男は作家で、ケネディ暗殺事件が背後にある殺人ではと。そこにボブ・スワガーが登場する。そこで展開されるのは、銃器の専門家としてのケネディ暗殺に対する挑戦で、それがなかなか興味深い。登場人物にはスワガー・シリーズで登場済みの人物もおり、そこら辺りに詳しいともう少し楽しめるかも。ということで、☆☆☆☆としておこうか。

『ようこそ、わが家へ』池井戸潤 小学館文庫

2014-08-10 21:01:27 | 番外
 2005年から2006年にかけて連載されたという。『下町ロケット』より五年ほど前の作品ということか。主人公は銀行から中小企業のナカノ電子部品なる会社に総務部長として出向中。大学生の長男、高校生の長女、そして妻と横浜の港北ニュータウンの一戸建てに住む。ばりばりのというよりも、小心者の銀行マン。出世から外れて出向も仕方が無いかと本人も思う。帰りの駅で割り込みを男を注意したところから、物語は始まる。ストーカー、そして会社でのいくつかの事件。人間関係。人間関係は妻や子供たちの中でも複雑に。家を守ることができるのか。会社を守ることができるのか。複数の話が進行していくという次第。少々なぁという感もあり、☆☆☆。

『いつまでもショパン』中山七里 宝島社文庫

2014-08-05 22:25:46 | 和物
 久しぶりの岬洋介シリーズ。舞台はポーランド。ショパンの生まれた地で行われるショパン・コンクール。ポーランドの音楽一家に生まれた若きピアニスト、ヤン・ステファンを中心に物語が回る。今回はショパン、ショパン、ショパン。少々音楽部分が長すぎる気もするが、コンクールに二人の日本人、一人は盲目のピアニスト、いま一人が岬洋介。アフガニスタン問題からのテロが続くポーランドで、それがコンクールをも脅かす。日本のメンバーも顔を出す後半で何とか岬シリーズ気分も盛り上がり、☆☆☆ほ。

『しんがり 山一證券 最後の12人』清武英利 講談社

2014-08-03 19:03:45 | 番外
 元ジャイアンツ球団社長であの「清武の乱」でナベツネに反逆した清武英利の本。読売新聞で記者だっただけのことはある。週刊文春の書評で知り、読む。バブル崩壊の時に大手証券会社であった山一證券の倒産。この時に、しんがりを務め、その破綻の原因追及と清算事業をやり遂げた12人の物語。詳しい調査をもとに、ひとつの企業がいかに道を誤り、壊れていくか。そこで人はどう動くか。そうした中にあって、人間として生きる人間がいること。それらの人のその後と追う。読み応え満点。☆☆☆☆☆。


『下町ロケット』池井戸潤 小学館文庫

2014-08-03 18:59:22 | 番外
 ようやく直木賞受賞作品が文庫となった。日本の国産ロケットの打ち上げ。そこに研究員の佃がいた。軌道を外れていくロケット。舞台が変わり、中小企業のエンジンメーカーの社長となっている佃がいた。大企業からの突然の取引停止。資金繰りの悪化。倫理を無視し、順法なら何をしてもという大企業というハゲタカの襲来。さらにプライドの高い大企業との勝負と会社内での葛藤。これらが幾人もの登場人物によって繰り広げられていく。それぞれに明確な個性を与えられた登場人物がいい。単なる勧善懲悪ではなく、そこに人間臭さが見える。怒れてきたり、思わず応援したり、一緒に声をあげたくなる小説。☆☆☆☆。