カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ボトルネック』米澤穂信 新潮文庫

2011-06-26 20:07:50 | 和物
 金沢に住む男子高校生、兄が死んだという知らせは友人の女子高生の死を東尋坊でいたんでいる最中に聞いた。父、母はばらばら、兄は事故で意識不明がとうとう死に。ばらばらの家族。東尋坊で友人の事故現場にいた時に、別の世界に飛ぶ。そこはパラレルワールドで、我が家に帰れば、自分はおらず、生まれなかった筈の姉がいた。そこでは友人は生きていた。何が同じで何が違っているのか…。というお話で、最初は面白かったけれど、まあ、ぼちぼち。☆☆☆。


『ノン・ストップ!』サイモン・カーニック 文春文庫

2011-06-26 20:07:01 | 洋物
 『殺す警官』、『覗く銃口』のS・カーニック。この二冊、2007年5月と6月に読んでいた。主人公はロンドン郊外に住むIT関係のセールスマン。妻は大学講師で二人の子供。家に突然学生時代の旧友から電話。襲われたと言う。助けを求める内に襲われたらしく、電話の向こうで主人公の住所を明かす友の声。そこから事件が一気に進む。一方、国家犯罪局の有能らしい警部。判事の自殺について確認中、新たに疑惑が生まれてくる。ノン・ストップという題名にふさわしく、どんどん展開する局面。登場人物もなかなかで、引っ張られるが。どうも、筋がこなしきれていないような。入れ込んだ伏線が処理できないような。前半の楽しさが後半の物足りなさを呼ぶ。☆☆☆ほ。


『微熱の街』鳴海 章 小学館文庫

2011-06-26 20:06:32 | 和物
 鳴海 章はかつて『狼の血』を読んでいるけど、忘れてしまった。冒頭は遺体の処理から始まった。パワーショベルで埋める。前に埋めた遺体にぶち当たり、大変なことに。そんな主人公だが暴力団の準幹部。関東の暴力団粋星会の若頭心得の下で若頭代理とやらをつとめる寺多政道、子分も無く、家族もなく。昔気質で背中には虎の彫モン。家に帰ると不思議な子供が、猫を差し出してくる。昔猫屋敷で一緒に暮らした女。その子の面倒を見ることに。夏にも腹巻をかかさず、そこにダイナマイトをはさむ老ヤクザ、抜群のスタイルでオカマ商売をする友、そして弟分のようなブラジル日系人。展開が少々ぶっ飛びがちであるが、引っ張り込んで読ませてしまう力技。よく考えると、よう分からん、が、それはそれ、時間を一気に流してくれた。☆☆☆ほ。

『奥会津三泣き 因習の殺意 みちのく麺食い記者・宮沢賢一郎』相場英雄 小学館文庫

2011-06-20 12:00:46 | 和物
 大新聞の経済記者であった宮沢賢一郎は東北支局に飛ばされ、今は福島の会津支局に。そこで大手ゼネコンの副社長が殺される。乗り込んできたのは、東京時代からの知り合いの本庁捜査二課のキャリア。単なる殺人とは違う何かを感じ、アシスタントとともに動き始める。これが予想以上に面白かった。会津という土地柄が重要な役割を果たしており、展開もおお、そう来たか、と。この本は講談社、双葉社、光文社、小学館の共同企画による「新・旅情ミステリー」とか、ちょっと拾い物した気分。☆☆☆☆。


『イレギュラー』三羽省吾 角川文庫

2011-06-19 11:58:50 | 番外
 三羽省吾はお気に入りの作家。久々の文庫本。2006年に単行本として発行のもの。大水害にあった蜷谷村の村民は栄山市の避難所で暮らす。蜷谷高校の野球部の面々は練習場もなく、もてあまし気味の日々。190センチ級のエースのコータ、太り気味のキャチャーのモウ。栄山市の私立K高校は甲子園に出場、春の選抜の二回戦で敗退。僅差の敗戦だったが、監督の結城、エースの狭間、キャッチャーの矢中は実力の壁を感じていた。元野球名門校を新しい指導で復活させた結城は、蜷谷高校に練習場を提供することに。野球を舞台とした正しい青春ドラマであり、背後には大災害とそこに生きる人々を描く。キャラクターがいいのだ。それとありきたりの野球ドラマにならないところがいい。それでいて、少々臭いのもいい。何とも爽快な(考えさせられる部分はあるが)気分にさせてくれる。こいつらの将来が見たいってか。☆☆☆☆ほ。
 東日本大震災があって注目も。