2009年の『このミス』で国内のトップをとった刑事・加賀恭一郎を主人公とする『新参者』。今回の『卒業』は加賀の初登場作品である。刊行は1986年というから四半世紀も前ということか。舞台は東京に2時間ほどの町。国立大学に通う加賀、沙都子、波香、祥子、若生、華江、藤堂。彼らは高校時代からの友人。それに高校時代の茶道部の顧問で今もつながる南沢先生。波香と祥子が暮らすアパートで祥子が死体となって発見された。そこから謎解きが始まる。茶の湯の雪月花の式が次の舞台となる。剣道で学生チャンピオンを目指す加賀。警察官の父との二人暮らし。彼が謎解きをつとめる。全体にやはり四半世紀前の世界であって、少々くたびれる。それでも、「加賀の第一作を読んだ」という意味はありそうかと。☆☆☆。
著者の処女作。気がつくとエレベーターに閉じ込められていた。男二人と女一人。気が着いた男の視点で話が進む。続いて視点が変わっていく。少しずつ明らかになっていく。その一方でとんでもない展開に。軽いと思ってたが、予想外の飛躍で面白い。しかし、少々乱暴な展開ではあるな。ま、それはそれで、続編も沢山出ているようで。☆☆☆ほ。
2009年の『このミス』でかなり高い評価が出ていた。ということで読んでみたが、相性が悪いんだろうな。イギリスの沼沢地方イーリーが部隊。そこの週刊新聞の記者ドライデン。氷の中から見つかった車と死体。大聖堂の修理工事で見つかった数十年前の死体。これがからみあって行く。ということだが、なんだか読み進むのにくたびれた。☆☆。
アメリカ・インディアナポリス警察のパウダー警部補を主人公とするルーインの三作目。リーロイ・パウダー警部補は相変らず失踪人課。前作登場のフリートウッド部長刑事に加えて2名の刑事が増えている。いろいろな事件が並行して起こる。事件というほどのことのないものも含めて。息子は刑務所から仮釈放で保護観察の身。父親失踪の子の面倒を観ながら、いきなり最初の女性というのが失踪人課を訪ねてくる。あまりに多くの筋が並行するので、名前を見てはこれは誰、と確認することも必要となるが、とがったオヤジぶりが好もしい。少々分かりにくさがあるが、それでもパウダーに免じて☆☆☆ほ。