『確証』で登場した警視庁捜査三課萩尾と相棒秋穂。ドロ警の二人が出会った事件は「ダケ松」の異名を持つ窃盗犯の手口。そこから国宝曜変天目を巡る事件へと発展する。前作でキャラクターが立ち始めていて高評価を付けたので期待していた。しかしですね、今野ファンとしてはどうしても納得がいかない。あまりにも荒いです。プロットも、そしてその筋というのも出来上がっていません。どうしちゃったのだろう、今野さん。☆☆。
『そしてミランダを殺す』のスワンソンの作。ロンドンに住むケイトは、ボストンに住むいとこコービンと住まいを交換し、ボストンのデザインスクールに通うことに。このケイト、過去の事件がトラウマとなり、いろんなことを恐れる。コービンの住まいはドアマンがいるという高級マンション。そこで殺人事件が起こる。幾人かの登場人物に視点を移し、複数の視点によって物語が進む。これがまたはらはらどきどき、ああ、そうなのか。やられたなって感じで、実に驚きの展開。☆☆☆☆ほ。
デビュー作が短編集。最初の長編というから深緑野分という人、驚きです。この作品と次の長編で直木賞候補。驚きです。何が驚きといって、舞台は1944年のノルマンディ。そこに降下作戦をする部隊にしてコックのティムが主人公。読んでいて、全く違和感が無い。しかもと言っては何ですが、女性なのです。落下傘部隊員にして特技兵としてはコック。アメリカの田舎町からヨーロッパに渡ってきたティム。同僚達とともに戦いながら、時に謎解きに。ミステリーという範疇を越えている。それぞれの人物がとても、とても、しっかりと描かれていて。まいった。☆☆☆☆☆。