カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『百番目の男』ジャック・カーリィ 文春文庫

2005-07-31 17:51:52 | 洋物
 好みの話で恐縮ですが、一人称小説っていうのはあまり好きではない。この本は、視点が入れ替わるが主体は一人称、でも許そう、面白かった。伏線というよりも種蒔きの方がピンとくる。種の蒔き方がうまい。時々、あれ、そうだっけ、と前のページを探したこと数度。やるね、と感心した。不思議なのは、カーソンとハリーのシリーズ物の第二作を読んでいるような気になるということ。「前の事件」というのが結構きいているので。ところがこれが処女作だというからえらいものだ。カーソンが結構いやったらしく、ハリーにもう少し厚みが欲しいけれど、そこまで望むのは酷でしょう。今後にも期待。☆☆☆☆ほ。

『反撃』リー・チャイルド 講談社文庫

2005-07-27 23:33:18 | 洋物
 これまた、また読んでみよパターンです。『キリング・フロアー』の作者によるリーチャー物の第二作。前作は一人称だったのが、今回は三人称で登場です。頭を使いたくない、読むんだったら爽快になるものがいい。そんな時にはスーパーヒーロー物っていいですよね。驚くのはこの作家がイギリス人ということ。アメリカって感じなのにな。アメリカ人が読んだらどう思うのだろうかと興味津々。アメリカのディープな部分というのはイギリス人もひきつけられるみたい。それと不意をつくような外し方がちょっと面白かった。ありかよって感じ。スーパーマンとしてのリーチャーが今後どうなるのかなと楽しみでもあるね。☆☆☆☆

『鉄槌』ポール・リンゼイ 講談社文庫

2005-07-24 23:16:09 | 洋物
 久々のポール・リンゼイの新作。ただし前作の『覇者(上)(下)』と同様に残念ながらデヴリン捜査官シリーズではありません。『覇者』があまり面白くなくて、今度はどうかなっていう気分で読み始めたが、なかなか快調。手放せなくなった。キャラがいい。主人公のジャックがいい。ロイ・K・ソーンFBIシカゴ支局長がまたいいのだ。相方となるベン・オールトンが少々重い。ジャックは疲れてしまったデヴリンって感じがないでもない。途中でおいおい、どうなっちゃうんだってことに。大変な事態、大変な事件。本の半分いかない内に事件が解決してしまったら、そこからまたスタート。学園ドラマの教頭先生役、副支局長のバルトリってのも登場したけれど、どうも出てきたキャラが活かしきれなくなってきましたね。それと、どうやっておしまいに持っていくかと思ったら、当たり前の世界になってしまったのは残念。☆5つ気分でスタートしたけれど、大まけの☆☆☆☆。

『デジタルの秘法』キャサリン・ネヴィル 文春文庫

2005-07-22 00:21:47 | 洋物
 再読シリーズ。キャサリン・ネヴィルという人は『8』という本で有名らしい。残念ながら未読。この本は面白いですね。過去が狂言回しとして登場、そして現代が続く。一人称小説というのはあまり好きではないが、これは許せる。主人公の銀行ウーマン、友達のお母さんという白系ロシア貴族という人がいい味を出し、脇が話を豊かにする役割ですね。再読でも☆☆☆ほ。

『殺人者の陳列棚』D・ブレストン & L・チャイルド 二見文庫

2005-07-17 08:44:51 | 洋物
 L・チャイルドの『ユートピア』の解説を読んで、探したあげくにようやく購入。早速読んだ。共著は何冊かあるらしいが、その中でこれならと選んだのだけれど、少々、期待外れ。好みと外れるという意味で。少々、飛び過ぎているのもあるけれど、これはないよな、というような展開もあって、完成度に不満が残った。☆☆☆ぐらいで、二人の本はこれにてって感じかな。

『グレイヴディッガー』高野和明 講談社文庫

2005-07-11 00:18:35 | 和物
 前作の『13階段』をしのぐ、という文字が帯に躍ってますね。確かに、テンポのいい展開(ページターナーっていうのはこういうのだなという感じのテンポです)、迫力、それでいて登場人物のキャラがそれぞれいいですね。八神、いいですね。おかしみがあるのがこの小説の魅力。それでいて、一人一人の人物が無駄じゃない。すべてが後々でからんでくるし、線が延びてくる。解説を読んだら、作者が実際にロケハンをしたという話がありました。確かに、地図を見ながら読むというのはおっしゃるとおり、面白いかも。西村健のテンポを思い出したが、こちらの方が地に足がついている感じですね。気に入りの一作。☆☆☆☆☆。

『13階段』高野和明 講談社文庫

2005-07-08 23:44:25 | 和物
 '01年に江戸川乱歩賞なんだそうですね。二冊目の文庫が出ているのを見て、読んでみようって思った。映画があったそうだけど、脚本なども手がけた筆者はあまり気に入っていないとか。読んでみると、いいですね。結構大変なテーマですが、後味が悪くない。人がちゃんとしているんですね。真面目です。そしてあっと驚く展開が待っている。テンポもいい。最初がこれだとしたら大したもの。ということで、早速二作目の文庫も買ってしまった。☆☆☆☆ホ

『ユートピア』リンカーン・チャイルド 文春文庫

2005-07-07 20:56:13 | 洋物
 今回は読み返し版です。リンカーン・チャイルドという人、ダグラス・プレストとの共著がいくつもあり、最初の単著がこの作品とか。なかなかです。登場人物の作りこみがいいです。キャラがそれぞれに生きている。シーンが変わり、視点が変わり、進んでいきます。そして迫っていく時間。テーマパークである「ユートピア」もよく考えられてますね。伏線がしっかりと生きていて、面白い。久々に読み返した作品ですが、☆☆☆☆ホ なのです。この人、他の作品はないのかな。

『白骨』G・M・フォード 新潮文庫

2005-07-03 00:15:41 | 洋物
 「フランク・コーソ」シリーズ三作目。ノンフィクション作家のコーソ、ドァティと今回は仲良しに戻っていた。コーソが珍しく、ミスったらしくて逃げ回るところから始まった。中にコネタも混じるが、なかなか壮大な歴史ドラマが隠されていた。ところどころのカットシーンが後でしっかり効いてきて、なかなかやるじゃないですかという感じも。古典的とも言える身分テクニックもあるけれど、この小説の後に続くものを感じさせてちょっとぞくっとさせるのがいいかも。☆☆☆ホ。シリーズ今のところ三作までで、ちょっと待ちになっちゃいました。