カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『よい子はみんな天国へ』ジェシー・ハンター 創元推理文庫

2024-05-29 23:08:04 | 洋物
 再読シリーズ。2005年刊行。幼い男の子ばかりをさらうチョコレートマン。クリスマスを控えたある日、公園で母ローリーといた娘エミリーがさらわれた。どうして娘が。チョコレートマンを追う二人の刑事。恐怖におびえる母ローリー。一、二、三…六、七。数を数えずにはいられないチョコレートマン。犯人、被害者、警官、近所の人。マザーグースの歌、果たしてエミリーは…。前半の緊迫、されど終盤はちょっと。☆☆☆ほ。

『殺しへのライン』アンソニー・ホロヴィッツ 創元推理文庫

2024-05-26 20:21:27 | 洋物
 ホーソーン&ホロヴィッツ シリーズの第三作。『メインテーマは殺人』が刊行まであと3ヶ月。プロモーションとしてホロヴィッツとホーソーンはチャンネル諸島オルダニー島の文芸フェスに参加することに。そこには殺人事件が待っていた。ロンドン市警元刑事ホーソーンに振り回される作家ホロヴィッツ、このコンビの関係がさらに面白くなっていく。文芸フェスというのは時々小説で見るが日本ではあまり無い世界で興味深い。今回もまた好調。ホームズ&ワトソンを超える日は近い。☆☆☆☆ほ。

『オープン・セサミ』久保寺健彦 文藝春秋 LB

2024-05-25 18:43:26 | 番外
「20代、30代、40代、50代、60代、70代」。いいオトナたちが経験する6つの“初めて”。そこには新たな可能性が待っている、」と帯にあった。6つの短編から成る。人生の扉がその言葉で開かれたのか。ということだが、あまり面白くなかった。☆☆ほ。


『鯖』赤松利市 徳間書店 LB

2024-04-27 23:08:55 | 番外
 赤松という作家のことを知って、読んでみた。舞台は北海道の島。紀州雑賀崎を発祥とする一本釣り漁師船団、「海の雑賀衆」の物語。船頭の大鋸権座、膀胱が緩んでいる加羅門寅吉に精神が病んでいる鴉森留吉。無類の乱暴者の狗巻南風次に主人公の水軒新一。それぞれに異能の漁師、それぞれにどうしようもない者たち。一艘の船での一本釣り。その漁法は最高の魚を得る。されど時代の波の中でぎりぎりの漁が続く。迫力のある描写、人物像も個性に溢れる。そこへ外からの新しい風、大きな風を受けて海の雑賀衆が輝きを見せるかと…。途中からの展開の激しさにちょっと疲れて☆☆☆ほ。

『奇跡集』小野寺史宜 集英社 LB

2024-04-24 19:36:57 | 番外
 朝の通勤快速電車。そこに乗り合わせた7人の物語。それぞれが放つものは、竜であり、情、銃、今日、ニュー、業(ごう)、そして空(くう)。大学生、講義内試験を受ければ単位が取れる。なのにお腹で竜が暴れ始めた。快速電車は駅を飛ばして走る。次で降りれば単位は絶望。下車駅まで竜を飼いならせるか。突然、横の女性が座り込む…。同じ電車、同じ車両、同じ辺りに乗り合わせた7人。時に絡みながら、それぞれの人生がある。ということだが、もう少し、あと5人位でさらに絡めばという感あり。☆☆☆ほ。

『とにもかくにもごはん』小野寺史宜 講談社 LB

2024-04-21 22:10:58 | 番外
 こども食堂を舞台とした物語。開店前の4時半から終了の8時まで、10の物語から成る。「クロードこども食堂」を開いた松井波子。ボランティアの女子大生木戸、母に連れられてやってきた牧斗、最初は父に連れられて来て今は一人でやってくる千亜、ボランティア男子大学生鈴彦、牧斗の母貴紗、波子の息子航大、ボランティアで最年長石上、やってくる老人宮本、そして波子。それぞれの視点からの物語。読み進む中でそれぞれの世界が、そしてつながったり、別であったりした世界が描かれていく。☆☆☆☆☆かな。

『この本を盗む者は』深緑野分 角川文庫

2024-04-19 20:17:13 | 番外
 作者は『戦場のコックたち』も書いた人。アメリカ軍を舞台とした小説に全く違和感、日本人が書いている感が無くて驚いた。今回はファンタジーというべきか、とても変わった小説。大きな川に挟まれた菱形のような読長町、そこにある御倉家は全国でも知られた書物の蒐集家。その孫娘が主人公の御倉深冬。読書家で書物の蒐集家であった祖父は地下二階、地上二階の書庫を一般にも開放、その妻は本の盗難を契機に開放を止め、盗難防止に必死。息子あゆみは柔道場をやりながら妹のひるねとともに書物の管理をする。あゆみの娘深冬は本が嫌い。何故かそれが本の世界に引きずり込まれる。本が盗まれるたびに、読長の町がその本の世界となってしまう、「ブック・カース」。これは本を盗まれないための呪いとか。盗人がつかるまでそれは解けない。物語は進む。不思議なお話。☆☆☆ほ。

『クスノキの番人』東野圭吾 実業之日本社文庫

2024-04-11 23:18:03 | 和物
 系譜としては『ナミヤ雑貨店の奇蹟』。主人公の直井玲斗。シングルマザーに育てられたが母は病死。会社の不正を客に漏らしたことから馘になり、会社から機械を盗もうとして捕まった。助けてくれたのは会った記憶もない叔母。その叔母からクスノキの番人になれと言われて物語は始まる。神社にある大きなクスノキ。満月と新月近くの夜、クスノキの洞へ祈念のために訪れる人がいる。その世話をするのが番人の仕事、の一部。本当の仕事も、祈念のことも叔母は何も教えてはくれない。こちらの世界、そしてもうひとつの世界がつながるのは『ナミヤ…』と共通するものが。☆☆☆☆。

『特捜部Q -カールの罪状-』ユッシ・エーズラ・オールスン 早川ポケット・ミステリー

2024-04-09 22:44:40 | 洋物
 再読シリーズ。特捜部Qのカール・マーク警部補シリーズ第九弾。「シリーズ完結目前第9弾」という文字が帯に。特捜部Qも10冊で完結か。ううむ。さて、今回。デンマークでは2021年の出版。舞台はコロナ禍のデンマーク、アサドも戻り、カール、アサド、ローセにゴードンという特捜部Qスタッフ全員が揃った。課長に戻っているヤコブスンがかつて自身も関わった爆発事件を持ってやってくる。今回は警察署は工事中で特捜部Qは地下から他のチームと同じフロアに来ているが。1982年の事件。40年前の事件から、「塩」を鍵として浮かび上がる連続殺人。ローセは回復、ゴードンは成長中、アサドは家庭に大変さを抱えながら、そしてカールは子供も生まれ。捜査が進展していく中で、あの事件がカールに迫る。ステープル釘打ち事件。とんでもない逆境の中、特捜部Qの戦いはすさまじい。
早く読みたい。でも終わってしまうのは寂しい。☆☆☆☆☆。

『続横道世之介』吉田修一 中央公論社 LB

2024-04-07 21:27:53 | 番外
 『横道世之介』を読んだのは10年前、2013年のことだった。(ちなみに刊行は2009年)この本、今は『おかえり横道世之介』となっていて、『永遠と横道世之介』と続く。さて、『続…』である。世之介24歳を中心に物語は進む。大学以来の友人コロモン、パチンコ屋で出会った浜ちゃん。桜子と亮太。隼人もいる。留年をして大学を卒業、就職しそこないパチンコとバイトで暮らす。その中で出会う人、人。物語は時空を超えて、飛ぶ、飛ぶ。コロモンとアメリカを旅して、桜子と買い物に。自動車工場で働きながら、ヤンキーだらけの小岩、南米の娼婦がいる池袋。光司のもとで一緒にプロレスを見る隼人。何物でもない世之介、世之介には人に言ったこともないことを話してしまう人、人。最低の一年だから、これからは上。☆☆☆☆ほ。