再読シリーズ。原題は『THE HOTEL DETECTIVE』ホテル探偵というところ。この邦題はダメだ。サンディエゴの名門ホテルが舞台。副総支配人アム・コールフィールドが主人公。カリフォルニア育ちのアム、生粋のカリフォルニア人。総支配人で嫌みなケンドリックを始めとして、様々なホテルマン達が登場する。フロント、コンシェルジュ、シェフ、ベルボーイetc. すべてが個性的で生きいきとしていいのです。様々な客がやってきて、沢山のトラブルが。自殺者が出る、巨大なブラが盗難にあう、〈殺人・傷害ウィークエンド〉にやってくるのは173名で125室を予約した「ボブ・ジョンソンの会」。そこに二人の男女の殺人事件が。保安部長が辞めてしまったために兼任となったアムと、見習いのシャムロン。ホテルの様々なエピソード、何十年も住み続けている画家、時折現れる幽霊などなど。人物の描き方が面白く、様々な出来事が見事に収斂していくところといい、☆☆☆☆。ちなみに原作は1994年。日本企業が海外不動産を盛んに買収した時代。続編『The Fat Innkeeper』があるが、集英社はこの本を翻訳していない。(違う本を翻訳しているようだけど。)ああ、モッタイナイ。
デンマークの警察ミステリイ、カール・マーク警部補の特捜部Qシリーズ第三作。北欧ミステリの頂点「ガラスの鍵」賞を受賞ということだそうで。相変らず快調。主人公のカールの家には、元の部下ハーディが連れてこられている。アシスタントの謎のシリア人アサドに関する事実が少しずつ明らかになるようで、ますます謎が深まり、同じくアシスタントのローセは突然出てこなくなり双子の姉ユアサが登場。事件は新興宗教の家族の中に起こる。一本のボトルがスコットランドに流れ着き、そこで何年かした後にカールの所へ。書かれたメッセージから誘拐事件と分かったが…。スピード感ある映画向きシーンなどもあり、はたまた本筋とは別のカールとその周辺の世界が次第に見えてきて、これまた面白い。第四作もドイツで翻訳されるというし、早く日本でも翻訳して欲しいもの。☆☆☆☆ほ。
デンマークの警察ミステリイ、カール・マーク警部補の特捜部Qシリーズ第二作。今回はデンマークの(そして欧州の)寄宿学校に通う上流階級のワル達の物語。カールとアサドのコンビ。アサドの不思議さが、時々こぼれてくる。謎はまだ謎。そこに新たにローセという女性のアシスタントが登場。文句は多いが、仕事は早そう。この三人の不思議なコンビで事件にあたる。今回もカールの視点、キミーという女性の視点と移り変わりながら物語は進む。セレブというものは、ヨーロッパのセレブというものはこういうものかと何となく思う。カールに恋の予感も、その一方で頭がかなり薄くなっていることも判明したが、☆☆☆☆ほ。
全欧ベストセラーというデンマークの警察ミステリイ。主人公カール・マークはコペンハーゲン警察の殺人捜査課の刑事。ある事件で部下二人とともに銃撃され、一人が死亡。相棒は全身不随の状態に。PTSDに陥っていたが新設された特捜部Qの責任者となる。助手として付けられたのがシリア人のアサド。不思議な人物で、捜査能力を持ち、デンマークの運転免許を持たないのに公用車をぶっとばす。物語は2002年と2007年とを行き来しながら進む。デンマークの少壮女性政治家の誘拐。女性の監禁。交互に話が進む中で、マークの背景も明らかに。事実上離婚、その妻の連れ子と暮らしながら、借家人に食事の世話も受け、警察の女性秘書の一人にはひかれ、一人には困りはて、アサドも謎の多い人物で、それでいて人間的魅力も。デンマークが社会変革を進めていた時代が舞台となり、これも興味深い。難点は人名が憶えにくいところか。それでも鉱脈なり。☆☆☆☆ほ。
元警視庁組織対策部の影野竜司を主人公とするもぐらシリーズ第一作。もぐらの登場と、それまでの物語が描かれる。事件は渋谷で始まる。覚醒剤がらみの三つ巴。そこにトラブルシューターのもぐらが登場。トラブル解決で乗り出したものが、意外な展開に。かなりのオーバーアクション系。いかにも荒い。いかにも×2かなぁ。☆☆☆。二作目どうしようかなぁ。