カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『修道女の薔薇』キャロル・オコンネル 創元推理文庫

2021-02-13 23:18:31 | 洋物
 NYPD重大犯罪課の刑事、キャシー・マロリーのシリーズで2016年に原作出版されており、これが現在の最新作となっている由。まさしくマロリーのシリーズです。相棒のライカー、上司のコフィー警部補。亡き里親ルイ・マーコヴィッツの遺産と言うべき彼のポーカー仲間はスロープ検視局長とラビのカプランが登場。修道女が殺される。甥の盲目の少年が誘拐される。市長の公邸に四人の死体。プロの殺し屋。放り出されるような気分になるのはマロリーのシリーズでは仕方がないことで、ライカーの気分で。そして今回もちょっとかわいそうな活躍のチャールズのように読み進め、ハラハラしましょう。続編は出ないのかな、そんかことはないよねで、☆☆☆☆ほ。

『メインテーマは殺人』アンソニー・ホロヴィッツ 創元推理文庫

2021-02-11 21:31:43 | 洋物
 『カササギ殺人事件』に続く長編。今回はご本人も登場。自らの葬儀を手配した老婦人が殺される。その事件を捜査するのが元刑事にして警察顧問?のホーソン。ホーソンからの依頼でホームズにとってのワトソン役を作者がすることになったのがホームズ物の『絹の家』を書いたというホロヴィッツ。第一章はその始まりなのだが、作中でホーソンからクレームが。話の中なのか、現実なのか、スピルバーグが出てきたりして面白い。小説の世界、ホロヴィッツの視点、自らも捜査に走りと、実に複雑なプロットとなるが、これが見事なのだ。面白い。ホーソンのことももっと知りたいので続編も読みたいと。☆☆☆☆。

『償いの雪が降る』アレン・エスケンス 創元推理文庫

2021-02-08 23:08:45 | 洋物
 主人公はジョー・タルバート、ミネソタ大学の学生。自閉症の弟と、彼への社会保障費をギャンブルと酒と男につぎ込む母がいる。ジョーは酒場の用心棒などをやりながら、大学を目指している。大学に通うということ、日本との違いがあるのですよね。母と弟を捨て、大学へ。そこでの英語の課題が伝記を書くこと。近くにある老人ホームの一人の老人がその対象に。そして彼は殺人犯で刑に服し、癌で余命わずかということで仮釈放になった人物であった。こんなシチュエーションで始まる物語。少女を暴行し殺害したというカール・アイヴァソン。その話を聞き、そして自らの話をし、調べていく内にカールの無実の可能性が見えてくる。一人称で語られるこの物語、登場人物がそれぞれの背景を持っている。そして突然、活劇が始まってとぐいぐいと読ませてくれる。ミネアポリス警察の刑事マックス・ルパートと大学教授で冤罪証明機関のポーディ・サンデン。彼らの主人公の本もあるようですね。☆☆☆☆ほ。

『琥珀の夢』小説 鳥井信治郎 上・下 伊集院静 集英社文庫

2021-02-06 21:28:05 | 番外
 週刊文春の相談が大好きで楽しみにしている。魅力的な人である、伊集院という人は。と言いながら、作品を読んだことが無かった。サントリーというのが「太陽=SUN」と「トリー=鳥井」とは知らなかった。別のがせねたを信じていた。信治郎という人物はとても魅力的。その父忠兵衛も、ちょっと過剰な母コマ、そして途方もなくいい人の兄喜蔵。家族が皆いい人なのだ。南地のしのさんも素敵だし、奥さんのクニもいい人だ。何だかみんないい人なのだ。息子たちも。信治郎と言う人の凄みが伝わってくる。でもこの人、人と死に別れる運命があったのかね。面白く読めたのだけれど、伊集院さんの作品については別の作品を読んでみることが必要かと。☆☆☆☆としとこうか。