カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『犯罪心理捜査官セバスチャン 少女』上・下 M・ヨート & H・ローセンフェルト 創元推理文庫

2019-05-11 15:15:39 | 洋物
 犯罪心理捜査官セバスチャンの第4作。スウェーデンの国家刑事警察の殺人捜査特別班とそこに加わる心理学者の警察省察。田舎町での一家皆殺し。そこに目撃者の少女がいた。すべてを見ていたその少女を探し、そして助ける。セバスチャンの悪癖は相変わらずであったが、セバスチャンはその少女を救うために動く内に、自身の過去と向き合う。セバスチャンの悪癖は相変わらず。そこに新たな世界が生まれる。その一方で殺人捜査特別班はさらに事態は複雑に。優秀な分析官のウルスラは復帰できず、チームリーダーのトルケルは想いの中に沈み。快活な青年だったビリーは新たな深みの中に。本筋の事件ではあったお驚く展開もあり。その一方で、警察小説というか人間ドロドロは深化していく。少々重い。☆☆☆ほ。

『殺人鬼にまつわる備忘録』小林泰三 幻冬舎文庫

2019-05-09 11:23:35 | 和物
 この作家初めて読んだ。主人公は前向性健忘症。寝ると、あるいは時間が経つと、すべて忘れてしまう。ある時点以降のことは。日常生活ができない訳ではないが、ある時点から後のことは全く憶えていられない。それがミステリーの主人公であるから厄介である。二吉はノートに記載する。憶えておくべきことすべて。目覚めて、ノートがあるのに気が付き、(この時点で二吉は自分の症状もそのノートの備忘録の存在も憶えていない。)記憶を再構成し、しかもそれはノートに記された部分だけ、で生活が始まる。問題は、二吉がその状態で殺人鬼と対決しているということだ。何度も記憶が途切れ、それでも物語は進んでいく。読者にも備忘録に記載されていない部分は分からないのだな、これが。ということで物語は進み、終わるのだが、撒き切れていない伏線の回収とでも言うのだろうか、この本だけでは完結しないのだ。これ、誰???小林作品を読み尽くすしかないのか。☆☆☆ほ。

『嘘ですけど、なにか?』木内一裕 講談社文庫

2019-05-05 21:21:33 | 和物
 漫画家にして、映画監督にして、小説家の木内一裕。今回の主人公は水嶋亜希32歳独身。美形の感じ。文芸誌の編集者。というが仕事は作家とのトラブル処理。ここで亜希は敏腕を発揮。瞬間的な判断で嘘をつく。偶然出会ったエリートとその気になるが、その男待田は別のタイプの嘘つき人間。一夜明けて目覚めた所で事態は一気に加速する。そこから登場人物のキャラが立っていて、それぞれがそれらしく立ち回り、そのまま映像の世界ですね。面白くて一気読み。ちなみに巻末の解説は是非お読み下さい。気づいてなかった事実に気付かされます。驚いた。木内、恐るべし。☆☆☆☆。

『陽気なギャングは三つ数えろ』伊坂幸太郎 祥伝社文庫

2019-05-03 18:34:26 | 和物
 陽気なギャングシリーズの三作目。ちょっと間が空いたけど。思えばこのシリーズで伊坂幸太郎を読み始めた。相変わらず響野は無駄口を叩き続け、成瀬は冷静で頭は高速回転。久遠は動物への偏愛を見せ続け、雪子のナビ内蔵ドライブマシンも健在。とは言え、銀行強盗にも時代の波が訪れてきている。銀行強盗で始まるのだが、怪しい人物との関わりが問題を大きくしていくのはいつものこと。相変わらずその展開は意表をつき、思わぬ所での伏線回収に、改めて伏線の場を何度も探す。「あの女性」名前が無いのだが、伊坂作品のどこかに出てくるかと考えた人も多いんじゃないかな。☆☆☆☆ほ。