ニューヨーク市警の刑事、キャシー・マロリーのシリーズ、久々の新作。ううむ、シリーズ第何作かが分からない。娼婦が吊るされた。口には髪が詰め込まれ。死んだと思われた娼婦はまだ息があった。そしてその娼婦はライカーのたれこみ屋であり、マロリーの恩人でもあった。そこに二十年前の事件もからんでくる。現場にあった一冊のウエスタン小説、それがマロリーの過去への扉となる。チャールズは例によって優秀な頭脳と、片思いの中にあり、読者とともにマロリーの過去へと進んでいく。謎解きというのは事件に対するものなのだが、このシリーズではマロリーの謎の方が大きな比重をもってくる。シリーズ読者にはたまらないところ。この作品は2002年のものとか。既に10作まであるという。解説の人ではないが、ずっと訳出を続けて欲しい。☆☆☆☆☆。
木内一裕の最初の小説。大富豪の少女が行方不明に。変質者によって乱暴され殺されていた。復讐に燃える大富豪は驚愕の手段に。日本中が犯人を追い求め、その命を狙う。報酬は10億円。九州から犯人を護送することとなったのはSPの銘刈と白岩。警視庁捜査一課の刑事らと博多に飛ぶ。日本中が狙う、警察官も例外ではなく、「どうしてこの男を守るのか」、その中で命をかけて守るものは…。設定の妙、こうきたかという感じで、解説にもあったけれど、そのまま映像化できそうなのは、漫画家出身ならではか。☆☆☆☆。