『交渉人』の五十嵐貴久の作品。Doubt 1 Doubt 2 Doubt 3 Sting 1 Sting 2 Fake 1 Fake 2 という章立て。映画『ステシング』を思い出し、ラグタイムが聞こえてくるような。芸大の入試の話で思い出す。芸大生から一次でほとんど点無しでも通った奴がいるという話。文部省から財務省へタクシーで行く、えっ、隣なのに…。まあ、そんなこと言っても仕方ない。カンニングのテクニックになるほど。騙しに入って、おいおい。それでも先が知りたくて。おお、どうする。いひょうー。といった感じ。結構、読めるということで、☆☆☆ほ。かな。
たちもりめぐみ という女性。本作で第25回メフィスト賞を受賞しデビューとか。無骨な刑事武本。茶道家元の家のお坊ちゃま警部補潮崎。これに刑事課長安住が支え役。極端に強調されたキャラがそれはそれで読ませてくれて、面白い。確かに安易な展開も多いが、
面白ければで読ませる。麻薬取締官宮田やその同僚の樋口、加藤といったキャラも立っていて、面白い。悪役までも典型的でありまして、面白がれたので、☆☆☆☆にしておこか。
面白ければで読ませる。麻薬取締官宮田やその同僚の樋口、加藤といったキャラも立っていて、面白い。悪役までも典型的でありまして、面白がれたので、☆☆☆☆にしておこか。
NY市警元刑事にして連邦統合テロリスト対策特別機動隊ATTFのジョン・コーリーが主人公のシリーズ。かつて9.11を予言したとも言われた作品に続くもので、9.11以降のアメリカを描く。妻で上司のケイト・メイフィールドとともに、同僚の殺人事件に挑む。コーリー節はますます冴え渡り、悪役もいよいよ大掛かり。ページターナー健在。☆☆☆☆☆にしときましょう。
沢木冬吾のデビュー作だろうか、新潮ミステリー倶楽部賞受賞。誘拐事件。離婚した妻との間の息子。私立探偵の久世は身代金渡しの役をまかされる。身代金を渡すことなく、息子は帰ってきたが、元妻と亭主が消えた。という物語。小学生の息子慶太、姪で登校拒否の大学生初実。いろいろな視点から事件は進む。実に面白い。登場人物もそれぞれにキャラクターが感じられ、面白い。ただ、人が使いきれなくなってしまう。途中から慶太までもが消えかけて…。それでも和製ハードボイルドは、はあどである。☆☆☆☆ほ。ちょっとおまけ。
この本、原題を"Prizzi's Family" と言い、1986年のもの。1982年に書かれた"Prizzi's Honor"『女と男の名誉』早川書房 の続編という。続編ながら設定は10年前とのこと。ブルックリンのマフィア、プリッツィズ・ファミリー。ゴッドファーザーとその息子で現在のボス。主人公はボスの顧問役の息子で、実戦部隊をつとめるチャーリー・パルタンナ。そこに謎の大柄美女、マーデル・ラ・トゥールとボスの娘メイローズ・プリッツィ。メイはチャーリーと一緒になることで、ファミリーを支配することを望む。ところがチャーリーはマーデルを演じる女に首ったけ。という話なのだが、なんともぬるいお話。第三話があるらしい。前作から読めばまだ良かったかも。☆☆。
『13階段』の高野の作品。自殺した四人が神から自殺志願者100人を救うように命ぜられる。自殺を思いとどまらせるために、あの手、この手の大作戦。というお話。何だか、くたびれた。☆☆。
佐々木譲の道警シリーズ第二作。『笑う警官』(本当の題は『うたう警官』こっちの方がいいのに)は面白かった。この道警に警察庁から監察官がやってくる。タイ人少女の人身売買。これがタイ本国で問題になり、国際問題に。外務省ルートで警察庁が重い腰をあげた。タイ人の事件、薄野のぼったくりバーでの墜落事件。いくつかの事件が闇に消える。監察官の藤川はうたった警官津久井とともに調査を進める。一方で、佐伯、新宮という『笑う警官』のコンビもぼったくりバー墜落事件にメスを入れる。小島を加えた監察チームは次第に謎を解き明かす。そこに佐伯、津久井の七年前の事件との結びつきが現れる。
多くの糸がからみあい、ひとつに結びついていく。展開は一気で、ちょっと速すぎる気がしないでもない。『警官の血』を早く読んでみたい。☆☆☆ほかな。
多くの糸がからみあい、ひとつに結びついていく。展開は一気で、ちょっと速すぎる気がしないでもない。『警官の血』を早く読んでみたい。☆☆☆ほかな。