カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『メアリー - ケイト』ドゥエイン・スウィアンジンスキー ハヤカワ・ミステリ文庫

2009-08-29 17:19:43 | 洋物
 表記しにくい名を持つ著者の翻訳第一作。フィラデルフィアを舞台とするちょっと不思議な物語である。ちなみに、翻訳されていないがこの本の前作とも言うべき本があるようで、主人公の一人はその本の出来事を引きずっている。フィラデルフィア国際空港のバーが冒頭の舞台。傍らにいた美女が「あなたのドリンクに毒を盛ったわ。」と言うところから始まる。不思議なブロンドの美女。男はジャックといいジャーナリスト。離婚弁護士に呼び出されて明日が面会という身。美女は一緒にいてくれという。血液に流れている不思議な追跡素子なるもののために、人が10フィート以内にいないと死んでしまうと。三人目に登場するのが、国土安全保障省の下部組織CI-6に所属するというマイクル・コワルスキー。ゴルゴ13を思わせる、しかも落語家で言うところのフラがある人物。内容はカラーで見たら血の赤で染まるような物語なのだけれど、不思議な軽さがある。意表をついた展開でどんどん読ませる。☆☆☆☆ほ。

『埋葬 ミネアポリス警察署殺人課シリーズ』P・J・トレイシー 集英社文庫

2009-08-16 10:53:08 | 洋物
 シリーズ第四作。プロローグで不思議な女性が登場。続いてミネアポリス警察署殺人かのマゴッツィとジーノが一時の平和を楽しむ所から始まる。例年よりも遅い雪がミネソタにやってくる。雪だるま祭りの会場で、雪だるまの中から死体が。殺されたのは、二人の警官。その捜査にモンキーレンチのメンバーも協力。北部の田舎にビタールートという会社があり、そこは虐待された女達の自らを守る街であることが明らかに。時々あるのだが、日本で生きている我々には想像を超えた世界がアメリカにはあるようで。でも日本も次第に世界水準になっているようでもあるし。北部のダンダス郡の元英語教師にして新米保安官も登場し、かなり大変なテーマを展開してました。☆☆☆☆。やっぱり女性目線でないと出てこない発想かも。

『闇に浮かぶ牛 ミネアポリス警察署殺人課シリーズ』P・J・トレイシー 集英社文庫

2009-08-10 23:52:59 | 洋物
 シリーズ第三作。モンキーレンチのメンバーのグレースとアニー。これにFBIに出向中のシャロンという女性三人。ウィスコンシー州の町に殺人事件の捜査協力に向かうことに。寄り道をしようとしたところで車が故障。そこで事件に巻き込まれる。大いなる田舎、それがアメリカとなるとかくも凄まじい田舎となるのか。勿論携帯は通じない。無線も通じない。そんなエリアが巨大に広がる。そんな街に牛乳運搬タンクローリーが事故を起こし…。危機に陥った女性三人。これをモンキーレンチのハーラー、ロードスター。さらにミネアポリスのマゴッツィとジーノ。ウィスコンシーのハローランとボナーと役者が揃う。どこかで聞いたような話もあり、はらはらという面も。筋立ては甘さもあるが、フルキャストで楽しめる。犬のチャーリーも活躍します。☆☆☆ほ。

『リンカーン弁護士』上・下 マイクル・コナリー 講談社文庫

2009-08-09 18:46:28 | 洋物
 ハリー・ボッシュのシリーズのコナリーによる初のリーガルサスペンス。主人公はリンカーンに乗った刑事弁護士。何と4台もリンカーンを持っているらしい。元依頼人が契約運転手。リンカーンでロサンゼルス郡内の裁判所を飛び回る。事務所を持たず、運転手付の車とパソコンと携帯電話。元妻の一人が電話受付のマネージメント係。あとは優秀な調査員がひとり。イエローページに広告を載せる。普段は麻薬、売春などで捕まる依頼人を拾って歩く。暴行容疑で逮捕された不動産会社の息子。この依頼を受ければ、フランチャイズといって大きな金蔓に。一見冤罪から事件は二転三転。ボッシュのシリーズ、かつて読んでいたが、近作は読んでなかった。これ結構面白く、次作も出たらしい。☆☆☆☆ほ。


『ホステージ』上・下 ロバート・グレイス 講談社文庫

2009-08-05 00:32:06 | 洋物
 再読シリーズ。主人公は元ロスのSWATにして、交渉担当係。今は郊外の町、ブリスト・カミーノ警察署署長という男。ネゴシエーターとしての経験がトラウマとなり、田舎町に引っ込んだ。妻、娘とは別居。三人のチンピラが思いつきで食料雑貨屋を襲い、郊外の住宅に逃げ込み、父、姉、弟を人質に。その男がマフィアの会計士であったところから、マフィアが人質騒ぎに介入、主人公の妻と娘を人質に。主人公は二つの人質事件を背負うことになる。途中、たるんだが、後半にあっと言わせてくれたので、まあよしか。かつて『モンキース・レイコート』とかいう刑事モノが日本紹介の一作。読んだけど覚えてないが…。☆☆☆ほ。

『天使が震える夜明け』P・Jトレイシー ヴィレッジブックス

2009-08-01 19:44:00 | 洋物
 ミネアポリス警察署殺人課シリーズの第一作にして母娘合作というP・Jトレイシーのミステリー第一作。これは鉱脈である。ミネソタとウィスコンシンという二つの舞台で物語は始まる。ミネアポリスにはレオ・マゴッツィとジーノ・ロルセスという絶妙のコンビ。ウィスコンシンのキングスフォード郡にはハローランとボナー・カールソンというこれまた絶妙のコンビ。モンキーレンチという謎のソフト制作集団が殺人刑事ゲームを作る。そこにそれと同じ筋書きで殺人事件。一方では教会で老夫婦が殺される。その被害者が謎に満ちている。それぞれのキャラクターが実に面白く、物語も伏線をきかせながら展開する。意表をつく展開。そしてどこかほっとするキャラクター達。モンキーレンチの面々の謎が次第に明らかに。是非とも、こちらを見るべきで、さらに第三作を早く読ませて欲しいもの。☆☆☆☆☆。