カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『私が彼を殺した』東野圭吾 講談社文庫

2011-07-31 15:26:32 | 和物
 加賀恭一郎シリーズ5件目。「最大の挑戦状」ということだ。練馬署の刑事。神林貴弘、妹の美和子、その結婚相手で作家の穂高誠、その友人で穂高企画の駿河直之。そして詩人美和子の担当編集者雪笹香。神林兄、駿河、雪笹のプロローグで進行する。プロローグの中だけで登場する加賀。結婚式の直前、穂高の家に女が現れる。次第に明らかにされていく事実。兄妹、駿河、雪笹、それぞれにそれぞれの思いが。結婚式の日、ヴァージンロードで突然倒れる穂高。犯人は…。読み終わっても、果たして犯人は。袋綴じ解説でようやく手がかりを得て、なるほどそういうことか。☆☆☆☆。

『悪意』東野圭吾 講談社文庫

2011-07-20 16:12:07 | 和物
 加賀恭一郎シリーズ、警視庁なのか、所轄か…。人気作家が殺された。その幼馴染である児童文学作家野々口は加賀の中学教師時代の同僚。日高の事件を野々口の手記で語りが始まる。そこに加賀の手記。そして野々口の手記。交互に繰り返される手記によって、事実が次第に明らかになっていく。このやりとりの間に、加賀の教師時代も語られる。不思議な展開の推理小説。推理小説の中に推理小説があるような。流石に上手いのだと感心。☆☆☆☆。

『サニーサイドエッグ』萩原 浩 創元推理文庫

2011-07-19 17:26:36 | 和物
 『ハードボイルドエッグ』の続編ということになる。主人公はペット探偵最上俊平。解説にもあったが、探偵が本職(?)の最上、仮の姿のペット探偵で随分腕を上げていた。ハードボイルドが大好きなペット探偵には、Jという名で、ランチに冷やし中華を出すジャズバーのオーナーの友人がいる。そのJから紹介の茜という不思議な相棒を得て、ロシアンブルーの捜索に。猫好きの人、最上の猫話、なかなか面白いです。前半まったりとしていたが、後半引き込まれていきました。少々厄介な部分もあったが、面白い。第三作を読んでみたくなる出来でした。☆☆☆☆。


『新参者』東野圭吾 講談社

2011-07-18 21:42:42 | 和物
 この作品、先にテレビで観た。なかなか面白かったが、あのドラマはほとんど原作のままみたい。それだけ本の出来がいいということ。街を描きたかったというようなことを著者が言っていたような(確かじゃないが)、街の気分が伝わってくる。加賀は日本橋警察署の新参者。街の様子を知るために歩いていく。そこにいろいろな人がいて、そこにいろいろなドラマがあって、人間を見ながら、ひとつひとつつぶしていく。そうしていく内に事件が追い詰められていく。その一方で、被害者を中心とした人間の営みが明らかになっていく。これは面白かった。☆☆☆☆。


『ベルリン・コンスピラシー』マイケル・バー=ゾウハー ハヤカワ文庫

2011-07-12 20:25:34 | 洋物
 懐かしのマイケル・バー=ゾウハー。72歳です。ホテルで目覚めたアメリカの実業家、彼はベルリンにいた。ロンドンのホテルで寝た筈なのに。ユダヤ系の主人公はかつてナチス狩りを。ドイツではナチ復活の動きが。この陰謀に息子が挑む。国際的な陰謀がそこに…。ということです。それなりに面白い。こうきたか、という意外性もあり、ただ、やはり緊張感はかつてのもののようにはいかないか。☆☆☆ほ。


『霧のソレア』緒川 怜 光文社文庫

2011-07-11 19:33:42 | 和物
 怜と書いて「さとし」だそうな。初めて読んだ。「興奮と迫真の航空パニック小説!」が帯の宣伝文句。プロローグはロサンゼルス国際空港を飛び立とうとする日本の旅客機の操縦席から。主人公は女性副操縦士高城玲子。直ぐに場面は2時間前のロス空港。登場するのはアメリカ人の女性。次に…。と次々と場面が切り替わり、日本のミステリーに珍しく、カタカナミステリーみたいにカーアクションに銃撃、アメリカの国務長官やCIA長官が登場し…。飛行機のこと、しっかりしていて、航空ミステリーっぽい、洋物みたいに複雑な線が込み入って面白い。されど、あまりに場面の切り替えが早くて多く、それぞれの人間がよく分からずに、結構面白いのだが、場面を半分にしたらもっと面白かろうにと。☆☆☆ほ。

『ラティーノ・ラティーノ 南米取材放浪記』 垣根涼介 幻冬舎文庫

2011-07-10 22:33:00 | 番外
 垣根涼介の小説には海外が舞台のものも多い。その取材の記録。『ワイルド・スワン』というスケールの大きな小説もこうした取材がもとになったのかと。取材の行程に沿っての話。南米を飛び回り、その土地、その土地の空気が伝わってきた。垣根ファンは読むべし、かな。☆☆☆☆。