カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『第45航空団』リチャード・ハーマン・ジュニア 新潮文庫

2010-01-31 18:03:11 | 洋物
『第45航空団』リチャード・ハーマン・ジュニア 新潮文庫
 何度目かの読了。R・ハーマン・Jrの第一作。アメリカ空軍第45戦術戦闘航空団の物語。エジプトのアレキサンドリア基地に駐屯の第45航空団。ジャックはそこの若手パイロット。彼を筆頭に、ショー大佐、ウォーターズ大佐、カニンガム大将、ドク・ランディスといった個性的な面々が登場する。これはジャックという若手パイロット、そして第45航空団、さらに指揮官としての大佐達の成長ドラマ。そこにイランとアラブとの抗争に、アメリカが、そして第45航空団が巻き込まれていく。非戦時の中の組織と育成、戦闘の中での激しさと人間ドラマ。これは組織論であり、人間ドラマとして読む。なんともかんとも、平和な日本で、どうせ命までという気分になりながら、何だかこいつら凄いよなと思いつつ、人の熱さにまいるのだよな。☆☆☆☆☆。最後はじーんときちゃってさ…。

『悪党たちは千里を走る』貫井徳郎 集英社文庫

2010-01-23 12:36:24 | 和物
 高杉と園部という先輩、後輩の詐欺師コンビ。これが三枝という美人詐欺師と出会う。彼女は東大卒。詐欺先で出会った彼らが犬の誘拐を企む。そこに何と飼い主の息子がやってきて、不思議な仲間に。皆で狂言誘拐を計画するが、あれよあれよの展開に。誘拐の中で金の受け渡しをどうするかは、この手の小説でも重要なポイント。これはほう、そう来たか。人質をどう返すかは、まだまだ。軽妙で、頭使わずすらすら読みには良かったです。それ以上でもそれ以下でもないけれど。☆☆☆。

『火天の城』山本兼一 文春文庫

2010-01-21 21:26:43 | 番外
 『利休にたずねよ』で直木賞をとった山本兼一の作品。最近、映画化されて話題になっている。新聞で、「小説では父と子との関係が大事だが、映画では娘…」とあった。確かに、信長、その周辺の人物として、宮大工の棟梁。番匠の岡部又右衛門が主人公。信長とともに成長する物語という部類に属す。安土城築城、その総棟梁となる又右衛門。息子には厳しく、両者の葛藤という物語もある。時代小説らしい面白さで読ませる。戦いはこの時代としてはあまり出てこない。城作りという部分で書き込まれている。素直に読めて面白いのだが、人間の葛藤とかいった部分は、そこそこかなと。☆☆☆。

『警官の血』上・下 佐々木譲 新潮文庫

2010-01-15 10:30:05 | 和物
 2010年、直木賞作家となった佐々木譲の作品。凄く評判になったのが、ようやく文庫に。思い出すのはスチュアート・ウッズの『警察署長』。代々の警官の物語。最初はウッズに勝てないかなと思ったが、清二の戦後の混乱期から民雄の60-70年代となってきて、迫力が増していく。上野界隈の描き方も面白く、確かにこれは面白い。ただ、とても暗いのだが。和也では、別の本では主役がはれそうなダーティ・ヒーローも登場。ところどころに警察の持つ問題、警察官僚と現場の問題も登場し、流石に、佐々木の警官シリーズ代表作。☆☆☆☆。

『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎 祥伝社文庫

2010-01-10 18:17:16 | 和物
 「伊坂幸太郎ブームは彼らが作った-あの4人組が帰って来た!」と帯にある。確かに。前作の評判を知って初めて読んだ。以来、伊坂幸太郎を何冊も読むことになった。今回、あいつらが帰ってきた。4人組の銀行強盗。高校の同級生、市役所で働く成瀬、彼は人格者。その同級生の響野は喫茶店のマスターでひたすら喋る。人間より動物大事で掏りの技をもつ久遠。抜群のドライブテクニックのバツイチ子持ちの雪子の4人。これに響野の妻祥子。彼らの日常が銀行強盗などとともに描かれていく。4章立て。リズムあってひたすら面白い。どうということはないのだが、ページターナーの称号を進呈したいです。☆☆☆☆ほ。ちなみに、NONブックス版で3年前に読んでいて、文庫をまた買ってしまった次第。