カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『伴連れ』安東能明 新潮文庫

2017-08-25 22:51:45 | 和物
 柴崎令司警部、警視庁総務部企画課係長から綾瀬署警務課長代理に、の第三作。警察手帳を紛失した女性刑事が登場。その女性刑事の成長物語の面もあり。☆☆☆ほ。警察物の中で、調査の本流ではない人物を主人公とするが、結局その人物が捜査をしているのももうひとつの感がある。

『深い疵』ネレ・ノイハウス 創元推理文庫

2017-08-22 21:20:07 | 洋物
 ドイツ・ミステリー。ホロコーストの生き残りで、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が殺された。刑事オリヴァーとビアはその事件を捜査する内に、次々と新しい事件が。被害者達には隠された秘密が。ドイツの貴族社会、第二次世界大戦が今に残したもの。様々な要素が絡み合っていく。という話で、ドイツというものを知ることにもなるのだが、ドイツ・ミステリーのファンになるとこまでは。☆☆☆。

『眺めのいい部屋売ります』ジル・シメント 小学館文庫

2017-08-20 12:18:19 | 番外
 NYイースト・ヴィレッジのエレベーターの無い5階建てマンションに住む老夫婦。画家のアレックスと元学校教師のルース。そして愛犬のドロシー。眺めのいい部屋を売って、老後に向けて過ごしいい部屋へと考える。明日が「オープン・ルーム」という日に、愛犬ドロシーの様子がおかしい。病院に連れていく二人だが、テロの可能性があるトンネル事故のせいでNYは大混乱。部屋を見にくる人々、そして自らも新しい部屋を探しに「オープン・ルーム」に出かけていく。そんな数日の物語。二人はかつてFBIによる監視を受けており、夫アレックスはその時の調書を装飾して作品としつつある。そんな物語。☆☆☆。


『白夜の爺スナイパー』デレク・B・ミラー 集英社文庫

2017-08-20 10:43:34 | 洋物
 主人公は82歳の元スナイパー。ユダヤ系アメリカ人、ただし作中ではユダヤ人でアメリカ人。それがノルウェーに住む。朝鮮戦争で狙撃手だった主人公、息子ソールはベトナムに散った。突然、コソボの難民の少年と逃避行をすることに。作者はユダヤ系アメリカ人で今はオスロに住む。「ミステリーの肉体に文学の頭脳を持つ作品」ということだが、少々しんどい。☆☆☆ほ。

『世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち』マイケル・ルイス 文春文庫

2017-08-19 14:54:40 | 番外
 映画『マネー・ショート』の原作。『マネー・ボール』に続く、世界同時金融危機の実相を描く。リーマン・ショックが何故起こったのか、そこにあった不可思議なマネーゲーム。その不可思議に気づいて、破綻に賭けていた男たちを軸に話は進む。かなり読みにくい本ではあるが、実に興味深い。☆☆☆☆ほ。

『やがて、警官は微睡る(ねむる)』日明 恩 双葉文庫

2017-08-17 23:04:53 | 和物
 警官シリーズの第三弾。横浜みなとみらいの新しく出来たホテルで事件が。そこに潮崎警視の元部下武本が巻き込まれる。壮大なスケールの犯罪組織。それがホテルを占拠する。当初の計画は次第にくるっていく。そこに神奈川県警に赴任中の潮崎がからんでくるのでありました。というが、今回は☆☆☆ほ、くらいかな。

『木暮荘物語』三浦しをん 祥伝社文庫

2017-08-15 22:38:09 | 番外
 古い古いアパート。そこに住む人々の物語。彼が来ている時に、昔の彼が帰ってきた。何も言わず出て行ったのに、それを不思議とも思わない彼が。それでもそのアパートに住み続けていた彼女。一階に住む老人は大家さん。隣に妻と娘夫妻がいるが、犬とともにアパートに住む。老人なのであるのだが。不思議な三角関係の彼女がアルバイトしているのは花屋。併設された喫茶店は無口な亭主が。その花屋の女主にもひとつの世界が。大家の老人と親しくなったのが、今時女子大生。一人暮らし。本命らしき彼、その他にも。今時彼女のなかに苦しみもある。彼女から降られた青年。彼女を一人残し、放浪の中で写真を撮ってきた。それでも彼女を思っていたのだが。その彼が花屋の常連客のところに転がり込むことに。不思議な人生が交錯しながら、古いアパートの木暮荘がある。☆☆☆。

『離れ折紙』黒川博行 文春文庫

2017-08-13 19:14:11 | 和物

 黒川博行の得意とする美術品シリーズ。美術品というか贋作というか。六話の物語。狂言回しは工芸研究者で学芸員という澤井。黒川ではあのコンビのシリーズが好きだが、美術品シリーズは少々…。西洋アンティーク、浮世絵、現代日本画、刀とさまざまな分野にわたるのはいいのだけれど、好みの問題。☆☆ほ。