柴崎令司警部、警視庁総務部企画課係長から綾瀬署警務課長代理に、の第三作。警察手帳を紛失した女性刑事が登場。その女性刑事の成長物語の面もあり。☆☆☆ほ。警察物の中で、調査の本流ではない人物を主人公とするが、結局その人物が捜査をしているのももうひとつの感がある。
柴崎令司警部、警視庁総務部企画課係長から綾瀬署警務課長代理に、の第二作。綾瀬署の新署長は同世代のキャリア女性。その新署長の元で、本来ならば捜査を行わない柴崎が事件と向いあうシリーズ。☆☆☆ほ。
ドイツ・ミステリー。ホロコーストの生き残りで、アメリカ大統領顧問をつとめた著名なユダヤ人が殺された。刑事オリヴァーとビアはその事件を捜査する内に、次々と新しい事件が。被害者達には隠された秘密が。ドイツの貴族社会、第二次世界大戦が今に残したもの。様々な要素が絡み合っていく。という話で、ドイツというものを知ることにもなるのだが、ドイツ・ミステリーのファンになるとこまでは。☆☆☆。
警視庁総務部企画課係長で警部の柴崎令司を主人公とする警察小説。巡査の自殺を巡る標題作など7件。綾瀬署警務課長代理に左遷され、所轄での事件の中に。副所長の助川、義父で元警官など脇役多彩。主人公は完全なる正義の味方ではないところも一興。☆☆☆ほ。
NYイースト・ヴィレッジのエレベーターの無い5階建てマンションに住む老夫婦。画家のアレックスと元学校教師のルース。そして愛犬のドロシー。眺めのいい部屋を売って、老後に向けて過ごしいい部屋へと考える。明日が「オープン・ルーム」という日に、愛犬ドロシーの様子がおかしい。病院に連れていく二人だが、テロの可能性があるトンネル事故のせいでNYは大混乱。部屋を見にくる人々、そして自らも新しい部屋を探しに「オープン・ルーム」に出かけていく。そんな数日の物語。二人はかつてFBIによる監視を受けており、夫アレックスはその時の調書を装飾して作品としつつある。そんな物語。☆☆☆。
主人公は82歳の元スナイパー。ユダヤ系アメリカ人、ただし作中ではユダヤ人でアメリカ人。それがノルウェーに住む。朝鮮戦争で狙撃手だった主人公、息子ソールはベトナムに散った。突然、コソボの難民の少年と逃避行をすることに。作者はユダヤ系アメリカ人で今はオスロに住む。「ミステリーの肉体に文学の頭脳を持つ作品」ということだが、少々しんどい。☆☆☆ほ。
映画『マネー・ショート』の原作。『マネー・ボール』に続く、世界同時金融危機の実相を描く。リーマン・ショックが何故起こったのか、そこにあった不可思議なマネーゲーム。その不可思議に気づいて、破綻に賭けていた男たちを軸に話は進む。かなり読みにくい本ではあるが、実に興味深い。☆☆☆☆ほ。
警官シリーズの第三弾。横浜みなとみらいの新しく出来たホテルで事件が。そこに潮崎警視の元部下武本が巻き込まれる。壮大なスケールの犯罪組織。それがホテルを占拠する。当初の計画は次第にくるっていく。そこに神奈川県警に赴任中の潮崎がからんでくるのでありました。というが、今回は☆☆☆ほ、くらいかな。
古い古いアパート。そこに住む人々の物語。彼が来ている時に、昔の彼が帰ってきた。何も言わず出て行ったのに、それを不思議とも思わない彼が。それでもそのアパートに住み続けていた彼女。一階に住む老人は大家さん。隣に妻と娘夫妻がいるが、犬とともにアパートに住む。老人なのであるのだが。不思議な三角関係の彼女がアルバイトしているのは花屋。併設された喫茶店は無口な亭主が。その花屋の女主にもひとつの世界が。大家の老人と親しくなったのが、今時女子大生。一人暮らし。本命らしき彼、その他にも。今時彼女のなかに苦しみもある。彼女から降られた青年。彼女を一人残し、放浪の中で写真を撮ってきた。それでも彼女を思っていたのだが。その彼が花屋の常連客のところに転がり込むことに。不思議な人生が交錯しながら、古いアパートの木暮荘がある。☆☆☆。
黒川博行の得意とする美術品シリーズ。美術品というか贋作というか。六話の物語。狂言回しは工芸研究者で学芸員という澤井。黒川ではあのコンビのシリーズが好きだが、美術品シリーズは少々…。西洋アンティーク、浮世絵、現代日本画、刀とさまざまな分野にわたるのはいいのだけれど、好みの問題。☆☆ほ。