カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『特捜部Q 知りすぎたマルコ』ユッシ・エーズラ・オールスン

2014-12-31 21:22:32 | 洋物
 デンマーク・コペンハーゲン警察の特捜部Qシリーズ第5作。前作で負傷のアサドが回復しつつある。カール・マーク警部補は少々私生活に困難も。三人組が挑む謎が、デンマークの国際援助とそれに伴うさまざまな悪である。もう一方でイタリア系の少年マルコ。ヨーロッパをまたにかける大家族的な犯罪集団にいるが、そこから抜け出して自立を目指している。この二つが絡む中で大きな犯罪に巻き込まれるマルコ。追われるマルコ。「早くマルコを助けてあげて」という帯の文句が泣かせるね。一大活劇も繰り広げられ、アサドは本調子近く、次第に謎も明らかになっていく。☆☆☆☆。今回も面白い。

『白い国籍のスパイ』上・下 J.M.ジンメル 祥伝社ノン・ポシェット

2014-12-30 16:21:58 | 洋物
『白い国籍のスパイ』上・下 J.M.ジンメル 祥伝社ノン・ポシェット
 両親はドイツ・ハンブルク出身、ウィーン生まれ、イギリス育ち、ドイツ在住であったジンメルのスパイ小説。開高健の『最後の晩餐』で賞賛の本。出版は何と1960年。確かに、時代を感じさせる古めかしさ。でも面白いのです。時代は第二次世界大戦前。ドイツ人でイギリスで銀行家であったトーマス・リーヴェン。彼はパートナーに陥れられて、諜報機関で働くことに。ドイツ人でありながら、フランス、イギリス、ドイツなど、いくつもの国の諜報機関から誘われ、追われ。ナチとは一線を画しつつ、裏社会にも潜っていく。リーヴェンは料理も得意で、要所要所で料理を作る。その詳細なレシピ付きメニュがいいのですよ。作ってみたいと思わせる。料理ができないのに。いい男で、頭が良くて、それでいて、次から次へと落とし穴に落ち、そのストーリーはぐいぐいと引き込んでくれます。驚きの日付も(個人的に)出てきたりしましたが、実に面白い。続編は文庫になってなくて、大きい本を買いました。☆☆☆☆☆。

『星間商事株式会社社史編纂室』三浦しをん ちくま文庫

2014-12-06 21:12:52 | 番外
 『風が強く吹いている』が好きだ。最近、映画化が続く三浦しをんの作品。中規模の商事会社に勤める川田幸代。ボーイズラブの同人誌を作り、コミケで売ることにかなりの部分を注いでいる。会社では社史編纂室に回されて、怪しげな面々といい加減な仕事に嫌気がさしている。星間商事の歴史の中に、誰も語りたがらない秘密が…。社史の編纂の中にで、脅迫文まで舞い込むことに。といった感じで、昭和史の一部がそこで出てきたりするのです。編纂室の課長、同僚はそれぞれキャラもたつが、少々、物足りなさの残るものでした。☆☆☆。

『転迷 -隠蔽捜査4-』今野 敏 新潮文庫

2014-12-04 22:42:28 | 和物
 警察官僚のキャリア竜崎伸也を主人公とする隠蔽捜査シリーズ本編の第4弾。大森署署長の竜崎、隣の署で外務省の役人が殺される。大森署ではひき逃げ事件。その被害者が…。大森署では放火犯を追っており、そこへひき逃げ事件の帳場が立つ。放火犯追跡にはあの戸高が入れ込んでいる。ヤクの売人を追った件では厚労省の麻取からクレームが。警視庁刑事部長の伊丹は二つの本部の間に竜崎を使おうとする。相変わらずの原理原則、家庭においてもやはり原理を通しながら、それでも人間臭さは増している。あの野間崎も健在、さらに外務省、厚労省まで巻き込んで、竜崎の原則はまかり通るか。ということで、キャラクターそれぞれに健在で、面白い。☆☆☆☆。


『悪魔の参謀』上・下 マレー・スミス 文春文庫

2014-12-01 23:18:53 | 洋物
 再読シリーズ。文庫は1996年。原作は1993年のもの。イギリスの放送作家で、元特殊部隊将校(SASかな?)というマレー・スミスの処女作。アイルランドのダブリン、イギリスはロンドン、アメリカはニューヨーク。そしてコロンビアのボゴタ。そこには控訴審判事にしてIRA暫定派幹部、SIS南米局長にSAS大尉、NY市警殺人課刑事、メデジン・カルテルのボスらの物語が語られる。それぞれのキャラクターがとてもいい。描きこまれており、場面がどんどん変わりながら、それが一気に収束していく。本格スパイ物であり、読み応え充分。そこでそう来るのかよ、というのは次作に引き継がれていくようで、シリーズとしても◎。☆☆☆☆☆。