カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『連続殺人鬼カエル男』中山七里 宝島社文庫

2012-07-26 23:12:32 | 和物
 『さよなら、ドビュッシー』の中山七里。この二冊が『このミス大賞』の最終選考でしのぎを削ったと。『さよなら…』とは全く違うサイコサスペンス。視点を変えながら、ヒントを与えながら進んでいくのだけれど、確かに驚きが。作者の言うとおり、最後まで、おお、と言わせてくれた。なるほど。☆☆☆☆ほ。

『野蛮なやつら』 ドン・ウィズロウ 角川文庫

2012-07-22 18:06:16 | 洋物
 ドン・ウィズロウは不思議な作家。主人公はベンとチョンという二人の若者と、そしてOという女性。三角関係ではなく、三者関係の三人。舞台は南カリフォルニア。メキシコとの国境も近い。ベンの両親はユダヤ人の精神分析医。チョンの父は元浜の遊び人でマリファナの密輸で投獄されたことも。チョンはシールズとしてアフガンに行った元戦士。ベンとチョンでマリファナの販売を大々的に。そこにメキシコのバハ・カルテルが乗り込んできて、というお話。独特の文体はこの作品でのものとか。少々くたびれて、☆☆ほ。

『尋問請負人』マーク・アレン・スミス ハヤカワ文庫

2012-07-20 21:45:13 | 洋物
 「全米絶賛!」という文字が帯に躍る。尋問のプロフェッショナルという珍しい設定の主人公ガイガー。いまひとりの尋問専門家ダルトンの残酷な手段とは異なる手法をとる。その主人公が子供の尋問を請け負うことに。そこから舞台が一気に展開。設定の妙はあったものの、物語の展開、そのはずみ感には物足りないものが。☆☆ほ。

『トワイライト』重松 清 文春文庫

2012-07-18 23:26:20 | 番外
 1976年、多摩のニュータウン。長山西小学校の6年3組はタイムカプセルを埋めた。団地ブームの真っ只中で生まれた新しい町の新しい学校。それが廃校になるという。ということで、予定より早く、同窓生が集まりタイムカプセルを開けることに。のび太というあだ名の克也はかつての天才少年。IT企業からリストラ寸前。ジャイアンの徹夫はしずかちゃんの真理子と結婚したが離婚寸前。タイムカプセルを提案した担任の白石先生は…。20世紀から21世紀へ。未来と思っていた21世紀が現実となったらば、総てが夢から現実へと落ちていくような。少々物悲しい。☆☆☆☆。

『義八郎商店街』東 直己 双葉文庫

2012-07-16 22:06:43 | 和物
 北関東かな、の商店街。今は桜台などという地名だが、昔の地名から義八郎商店街。武闘派商店街とも。という商店街を舞台とした物語。北海道じゃないのだ。老人を中心とした商店街の主たち。公園に住み着く義八郎というホームレスの男。一種のSFだけれども、「俺」シリーズファンにとっては、読後に疲れが。☆☆。

『七百万ドルの災難』ジェイムズ・マグヌスン 扶桑社ミステリー

2012-07-05 23:09:37 | 洋物
 再読シリーズ。英文学の大学助教授。妻と子供二人。終身在職権までもう少しだけれど、お金が無い。家猫を探して空き家に入り込み、700万ドルを見つけてしまう。自分の物としてしまったのはいいが、どうしていいのか、不安はいっぱい。教え子の登場、不思議な老婆、どんどんと追い詰められていく、というお話ですが、☆☆でした。

『若き逃亡者』ジョン・ギルストラップ 新潮文庫

2012-07-03 22:38:51 | 洋物
 再読シリーズ。少年拘置所に収容された12歳の少年ネイサン・ベイリーが、少年保護監督官を殺して逃走した。ブラドック郡警察警部補のマイケルズらが追う。12歳の少年はラジオに電話をし、正当防衛の殺人を主張する。上院議員を目指す検察官は「死刑を」と言い出す。ラジオのトーク番組の司会者ビッチは少年を支持。この事件の裏にあるものは。そしてその展開は。いかにもアメリカである。南部の田舎の保安官もまた、選挙によって選ばれる政治社会。はらはらどきどきの展開で、☆☆☆ほ。

『少年と悪魔と離婚』リチャード・フリード 文春文庫

2012-07-01 16:56:21 | 洋物
 再読シリーズ。いわゆる(なのかな)郊外族。湖畔の家は夫婦が次第に改築をして作り上げた家。10歳の少年ジャスティンは、突然起こった両親の離婚騒動に翻弄される。両親はともにジャスティンを愛するが、夫婦の間は遠く離れ、互いに家を自分のものとしようとする。そこでジャスティンは離婚裁判で悪魔の異名をとるペニーワースを訪れる。離婚という事件の中でいかに子供がないがしろにされているのかという所から、深く切り込んだお話ということになろうか。☆☆☆。