カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『その女アレックス』ピエール・ルメートル 文春文庫

2015-10-23 21:48:34 | 洋物
 カミーユ・ヴェルーヴェン。パリ警視庁犯罪捜査部班長の警部。画家であった母の喫煙癖のせいか、短躯。部下のルイ、アルマン。そして上司で長いつきあいのル・グエン。登場人物は個性的。アレックスという女性が誘拐される。閉じ込められ、果たしてその運命は…。という話だと思った。ところが、ところが。本当にこんな展開でいいのだろうか。どうなっちゃうの???という驚きの展開が続く。実に面白い。ありなんですね。この作品、大評判であったというのもうなずけます。是非、ヴェルーヴェンのシリーズの第一作を出して欲しいもの。これ第二作です。亡き妻の物語を是非。☆☆☆☆ほ。

『峠うどん物語』上・下 重松清 講談社文庫

2015-10-20 21:16:47 | 番外
 峠にあるうどん屋さんが舞台の物語。その向いが市営の斎場。祖父と祖母が営む。長男は中学の教師、やはり教師の妻に中学生の娘。彼女の語りで物語が進む。味にこだわる職人の祖父。おしゃべりだけど、祖父のことをとても大事にする祖母。いくつもの物語がつむがれていきます。祖父母、両親、娘の三世代、日本の現代史でもあるのです。ふむふむ。☆☆☆☆。

『あと少し、もう少し』瀬尾まいこ 新潮文庫

2015-10-18 20:07:53 | 番外
 帯に 「青春小説の傑作」などと、よくある表現は使いたくない。しかし、たしかに傑作と言うほかない作品だ。三浦しをん(作家) とあった。で、手にとった。中学生の駅伝小説。舞台は田舎の中学校。だんだん生徒も少なくなりつつある、全校生徒百数十人の学校。駅伝が盛んな県のようで、地区の大会に6位に入賞で県大会に進む。主人公の桝井日向(三年生)は焦っていた。駅伝メンバー6人。陸上部には3人しか選手がいない。あと3人を集め、県大会に出たい。18年連続県大会出場を途切れさせたくない。去年までの顧問の教師が転勤、新たな顧問は美術教師の上原。陸上のことはまるで知らない。1区から6区まで。走者を主人公とした短編小説の襷がつなげられていく。いいのだ、これが。不覚にも何度涙ぐんでしまったことか。☆☆☆☆☆。