カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士』上・下 スティーグ・ラーソン ハヤカワ文庫

2012-02-29 22:34:07 | 洋物
 前巻から続くリスベット・サランデルの物語。リスベットの過去が現在に繋がり、そこにスウェーデンの歴史の暗部も含めて明らかになっていく。病院に収容されたサランデル。ミカエルらが謎を解き明かし、その一方で、大きな力がそれを塞ごうとする。狂卓の回りにサランデルを救い、スウェーデンの闇を消そうとする人々が集まり、戦っていく。実に面白い。それにしてもサランデルはマロリーに似ている。ラーソンはミカエルに似た人物だったようだが、残念なことに亡くなってしまった。彼のPCには第4部の原稿があったといい、それを父・弟らと恋人との間で、権利争いになっているとか。早く読ませて欲しいものである。☆☆☆☆☆。

『ミレニアム2 火と戯れる女』上・下 スティーグ・ラーソン ハヤカワ文庫

2012-02-28 22:18:12 | 洋物
 リスベット・サランデルの巻。大金持ちとなり、旅に出て、胸を大きくし、そして帰ってきたサランデル。雑誌『ミレニアム』には新たな書き手が加わった。妻はスウェーデンの買春問題の研究者、夫はその方面を抉るジャーナリスト。彼らが殺される。容疑者となるサランデル。その謎を追うミカエル。サランデルの過去がここで明らかになっていく。これ、キャロル・オコンネルの小説の彼女マロリーに似ている。ほらほら思い出せないけど…。☆☆☆☆☆。

『ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女』上・下 スティーグ・ラーソン ハヤカワ文庫

2012-02-27 23:20:55 | 洋物
 鉱脈発見。スウェーデンの作家スティーグ・ラーソンであるミレニアム1~3の第一作。面白い。主人公は『ミレニアム』という経済情報雑誌の発行責任者・共同経営者・記者のミカエル。そしてドラゴンのタトゥーの女リスベット。共同経営者で愛人?のエリカとともに作る雑誌『ミレニアム』はスウェーデンの経済情報の深くえぐるリベラルな雑誌。ミカエルはスウェーデンの大物実業家ヴェンエルストレムの記事で裁判となり、あえて有罪を選ぶ。そこにかつての大経済グループ、ヴァンゲル家の会長から依頼が。ヴァンゲル家の歴史、そこにある少女失踪の謎を探る。スウェーデンの作家は国というものを強く意識した作風に特徴があるというが、これも確かに。国を視野に入れた大きなスケール、ヴァンゲル一家の壮大な物語、そこにある謎と謎解き、ミカエル、リスベットといった人物達の個性の魅力ある描き出し。実に面白い。☆☆☆☆☆。まさに鉱脈であるが、この作家、三部作を完成し、さらにそこからの展開まで考えていたというのに亡くなったとか。残念。

『久遠 刑事・鳴沢了』上・下堂場瞬一 中公文庫

2012-02-26 10:55:09 | 和物
 鳴沢了シリーズ第十作。西八王子署。前作で「狙われる」が現実に。夜明けに訪れたのは青山署の刑事。前日にあった情報屋、以前に登場の自称ジャーナリストの岩隈が殺されていた。さらに公安の刑事の事件にも。鳴沢の犯行を示す証拠が現れていく。相棒の藤田は別件の捜査で遠ざけられる。一人で突き破ろうともがきながら、かつての後輩、相棒たちが集まってくる。総集編。結末部分は何故か一気に進み、謎解き部分は消化不良。それでも鳴沢がいい奴になっていき、大団円って感じでシリーズがラストを迎えた。ご祝儀込みで☆☆☆☆。

『生、なお恐るべし』アーバン・ウェイト 新潮文庫

2012-02-10 23:12:29 | 洋物
 「どえらい小説だ。仮借なきテンポと流麗な語り。…」スティーヴン・キングと帯にあった。シアトル生れのウェイトのデビュー長編。主人公は54歳のハント。牧場で馬の飼育をしつつ麻薬の運び屋としてカナダとの国境を行き来する。若い頃に殺人で刑務所に。刑務所を出たての若者を連れて馬で山中へ麻薬の受け取りに。保安官補のドレイク。父は保安官であったが、麻薬の運び屋で服役中。道に止められていた車を見つけて山に入る。調理師という男グレイディ。狂気の男。ナイフセットを持ち歩き、自動小銃AR15、仕込みナイフを駆使する。そしてベトナム人。視点がころころ変わり、場面は加速度を増す。主人公と保安官補の内面が興味深い。題名がちょっとなですが、確かに「仮借なきテンポ」で後味は悪くない。☆☆☆☆

『ドラゴン・ティアーズ 池袋ウエストゲートパークⅠⅩ』石田衣良 文春文庫

2012-02-09 21:53:13 | 和物
 IWGPシリーズの第9作。マコトも随分大人になった筈だよなと思いつつ。「キャッチャー・オン・ザ・目白通り」、「家なき者のパレード」「出会い系サンタクロース」「ドラゴン・ティアーズ-龍涙」の四編。美容エステとキャッチセールスの悪徳業者を王様タカシと叩く話、ホームレス支援に乗り出す話、出会い系の常連の純情青年の依頼、そして池袋のチャイナタウン。時代が変わり、それにあわせて社会が変わり、マコトの首をつっこむ事件も変わっていく。何故か池袋にはまだチームが健在。☆☆☆ほ。

『偽装 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2012-02-07 22:48:39 | 和物
 鳴沢了シリーズ第九作。西八王子署。『秘匿』で一緒に組んだ捜査一課の藤田が八王子署に。暇な刑事課に子供が保護されたという連絡が。言葉が通じない不思議な少年が、病院から消えた。日系ブラジル人と分かった少年。群馬県の町で轢き逃げ事件が起きていた。随分、鳴沢が大人になりつつある。藤田という相棒、徐々に回りに人がいることに気がついていく。かつての同僚冴も姿を見せ、思わぬ展開の中、振り回されていく。☆☆☆☆。最後に予告編がついていた。

『秘匿 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2012-02-06 21:18:42 | 和物
 鳴沢了シリーズ第八作。『血烙』の研修先での大騒ぎで強制帰国となった鳴沢、西八王子署で無聊をかこつ。代議士の不審な死。刑事課は動こうとしない。一人動き出す鳴沢。田舎独特のしがらみの中、ほぐされ、かき回されていく。捜査一課から藤田が「相棒」として登場。今は刑事を辞めてしまったが、藤田登場は歓迎。一人で無い世界の方がいいよなぁ。☆☆☆☆

『血烙 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2012-02-05 13:22:54 | 和物
 鳴沢了シリーズ第七作。優美と勇樹を追うようにニューヨーク市警に一年間の研修に来ている鳴沢。勇樹が姿を消した。ニューヨーク、アトランタ、マイアミと必死に飛び回る。今回は、鳴沢のイヤさが倍増。終盤に向かって少しずつ改善するのが、やけにいい奴になったような気がした。前半を超えられたおかげで何とか楽しめた。☆☆☆ほ。

『讐雨 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2012-02-03 22:32:57 | 和物
 鳴沢了シリーズ第六作。東多摩署の刑事課に来た鳴沢。少女連続殺人犯の間島の裏付け捜査の最中に爆発事件に巻き込まれた。これが始り。爆破犯人は間島の釈放を要求。誰が、何のために。相棒はおばさん刑事の萩尾。警視庁の一課から石井警部補。過去に影を持った男。次第次第に解き明かされる闇。さらに大きな闇が…という感じ。優美と勇樹はアメリカへ。☆☆☆☆。