近年、警察小説で評価の高い佐々木譲の「太平洋戦争秘話三部作」の第一弾。以前、第二弾の『エトロフ発緊急電』を読み、読みたいと思っていた。昭和63年(1988)の作。本当にあったか、と思わせるだけのものがある。日独伊三国同盟締結直後、零戦をベルリンに送ることに。安藤大尉、乾一等空曹がこれに挑む。国内で、インドで、このプロジェクトに挑む人々。20世紀の戦争と送れて来た空の騎士たち。読み応えのある一作で、佐々木譲の評価を決めた一冊というのもうなずける。☆☆☆☆。
加藤廣の「本能寺三部作」第二弾。主人公は秀吉である。今回は、秀吉、前野小右衛門、蜂須賀小六らを山の民とする。秀吉は藤原氏の末裔という。本能寺の変での秀吉の役割。誰もが歴史小説で知っているこの事件、そして秀吉のその後に新しい光が与えられてはいるが。前野家文書が使われているのかな。秀頼のネタはあるが、前作『信長の棺』ほどの驚きもなく、第三弾を読まずとも…、という出来か。☆☆☆。