カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『悪の猿』J・D・パーカー ハーパーBooks

2019-10-28 21:48:21 | 洋物
 日光東照宮を飾る「見ざる 聞かざる 言わざる」の三匹の猿。それに加えて四番目の猿の四猿、これが連続殺人犯。シカゴ市警で長く「四番目の猿」を追いかけてきた刑事ポーター、その同僚達。被害者の体の一部を送りつけてくる四猿。交通事故で四猿が…。意表をつく展開。四猿を追うシカゴ市警、四猿の日記、交互に舞台が入れ替わり、その中でどんどんと展開が。付いて行くのも難しさ感じることもある大展開力。面白い。ハーパーBooksを見直した。☆☆☆☆ほ。

『危険な弁護士』上・下 ジョン グリシャム 新潮文庫

2019-10-26 22:16:27 | 洋物
 無頼派の弁護士セバスチャン・ラッドはレスビアンと分かった別居中の妻との間に息子が一人。事務所は車、元依頼人のパートナーと二人、人の嫌がる依頼を受ける。幼女二人の暴行殺人容疑の被疑者を弁護。アメリカの法制度の不思議、アメリカ社会の不思議が次々と。ちょっと変わった構成。息子とのエピソード、趣味が総合格闘技、そこから別の裁判があり、話が重層的に展開していく。☆☆☆☆。

『ヒッキーヒッキーシェイク』津原泰水 ハヤカワ文庫

2019-10-24 20:14:56 | 番外
 幻冬舎との一件で話題になった作品。文庫の腰巻(って言いましたよね、昔)が、挑発的で嬉しくて買ってみました。最近、本を読みながら、脳内ドラマ化することがあって、JJはユースケ・サンタマリアだよねって読んでました。この本、面白い。テンポが良い。人物がいい。でも時々、すっと飛んでくような感じもあるけれど。こういうの好きなんで、☆☆☆☆。

『ザ・プロフェッサー』ロバート・ペイリー 小学館文庫

2019-10-15 23:31:12 | 洋物
 ロバート・ペイリーのデビュー作。翻訳者吉野弘人氏の持ち込み企画での出版らしい。吉野さんに感謝。舞台はアメリカ・アラバマ州。アラバマ大のアメリカンフットボールチーム、1961年全米制覇のメンバー、ディフェンスエンドのトム・マクマートリー。法曹の道に進み、弁護士として評価を上げ始めた所を、アラバマ大のFBチームの伝説のコーチ、ポール・ベア・ブライアントに母校の法学部の教員の道へ引っ張られる。そこから○十年、法学部の教授にして、模擬裁判チームを三度全米一に引き上げという実績を残す。そこに突然足元が崩壊。膀胱癌に冒され、職を失う。ううむ、前話が長いが、若き教え子、若くない教え子、現役の教え子、個性的で大袈裟な悪人らしい悪人。入り乱れ、法廷物のハラハラ、ドキドキ。そして体育会系にはぐっとくる仲間たち。それにしてもアメリカの大学スポーツの連中はスポーツ馬鹿ではないのだよな。不思議。☆☆☆☆ほ。続編、期待。

『指名手配』ロバート・クレイス 創元推理文庫

2019-10-13 19:34:56 | 洋物
 第三弾、と銘打つが、警察犬マギーとスコットは出てこない。私立探偵エルヴィス・コール、そのパートナーのジョー・パイクの復活第二弾。母親から息子のことを依頼されたコール。息子が窃盗を働いていたことを知る。窃盗グループの三人の若者。それを追う怪しい一味はプロとしての凄みといかれ具合がなかなかのもの。視点が次々と変わりながら、事件は追っかけっこ。おいおい、追いつかれちゃうぞって。コールとパイクのつながりを古い所から知りたい気分。そういえば初登場の『モンキーズ・レインコート』(1989年新潮文庫)は読んだことがある。まだ残っているかも。続編を読んだ記憶は無いなぁ。コールの語り口、気に入ってきたので☆☆☆☆。

『継続捜査ゼミ』今野 敏 講談社文庫

2019-10-12 21:57:11 | 和物
 警視庁捜査一課のノンキャリア刑事から警察学校校長を経て、女子大教授となった小早川。警視庁ではレジェンド。その初めてのゼミで、未解決事件の継続捜査を行うことに。ゼミ生は五人の女子大生。老夫婦殺人事件の継続捜査を始めた。小早川は今野の描く警官の知的タイプ。「できた」人で、五人の個性あるゼミ生が謎に迫っていく。そこに目黒署の刑事や警視庁の継続捜査担当官も加わって。ううむ、軽いなぁ。☆☆☆。

『約束』ロバート・クレイス 創元推理文庫

2019-10-03 23:31:23 | 洋物
 マギーとスコット巡査の物語、続編。というと少々違うような。私立探偵エルヴィス・コール、そのパートナーのジョー・パイク。さらにその仲間ジョン・ストーンの物語に、マギーとスコットも、という感じ。もともと一人称小説はあまり、なので、コールの部分はもひとつなのだ。何人もの視点が移り変わっていく、そして物語は展開する。子供を失った母、その深い闇の中に救いはあるか。ジョンが大活躍。パイクは影の男で影なのです。それでも次の作品も読んでみようか。☆☆☆ほ。

『サブマリン』伊坂幸太郎 講談社文庫

2019-10-01 22:21:05 | 番外
 『チルドレン』に続く家裁調査官シリーズ。家裁調査官の武藤。先輩の陣内と担当の少年を鑑別所に移送する所から始まる。無免許で死亡事故を起こした少年棚岡佑真は、心を閉ざしている。事故の状況を探る内に、複数の少年事件が絡み合っていく。陣内のキャラ、『陽気な…』の響野に通ずる。普通人武藤からすれば、不思議人である陣内、これが実に面白い。会ってみたい気はする。『チルドレン』を読んでなければそちらから。読んでも忘れている人は再読してからがお薦め。当方、あらためて『チルドレン』を読もうと。ちなみに『サブマリン』の意味、ぼーとしてて分からないまま。☆☆☆☆ほ。
その後、『チルドレン』を再読。まだの人は是非先に、忘れている人は再読をお勧めしたい。是非。