カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『自由研究には向かない殺人』ホリー・ジャクソン 創元推理文庫

2022-09-18 22:48:28 | 洋物
 2021年度「ミツテリが読みたい」第1位。「このミス」「週刊文春」第2位という作品。イギリス人の作家でこの作品がデビュー作という。これはまた大したものです。主人公のビップ。彼女はリトル・キルトン・グラマースクールの最上級生。日本流で言えば高校3年生って所で、ケンブリッジ大で英文学を勉強することを目指している。イギリスの大学受験というのが分かって(といっても日本と違うということがよく分かるということだが)面白い。ナイジェリア人の義父と父親違いの弟、そして母との三人暮らし。グラマースクールの課題に自由研究というのがあるようで、その課題に選んだのが近所で5年前に起こった殺人事件。女子高生が行方不明になる。その恋人だった高校生が殺人犯ではと疑われた末に自殺し、死体無き殺人事件となる。チャーミングな女子高生が被害者となり、インド系の加害者、そしてその家族は大変なことに。ビップには加害者とされたサル・シンが罪を犯したとは思えない。ビップは調査を始める。自由研究として。そんな感じで始まる調査は、過去のネットを調べたり、サルの弟にインタビューしたり、なかなか大変で手がこんでいる。流石にケンブリッジを目指すだけの頭脳のある子のようで。学校生活、イギリスのティーンエージャーの生活なども見えてきて面白い。そして本の作りも含めて実に面白く、高評価もなるほど。☆☆☆☆☆。続編もあるようですので、楽しみに。

『満願』米澤穂信 新潮文庫

2022-09-15 19:10:31 | 和物
2014-15年、「このミス」「週刊文春ミス10」「ミスが読みたい」で3冠に輝いたという作品。「夜警」「死人宿」「柘榴」「万灯」「関守」「満願」という6編から成る短編集。それぞれが一人称の主人公で幕が開く。そこで語られていく中で、秘密が見えてくる。後半一気に加速して、予想外の所に着地する。確かに、巧妙な展開。あの「氷菓」にも似た雰囲気があるが、いかにも総てが暗い。そこが好みの分かれる所で、3冠というまでの評価にはならなかった。☆☆☆ほ。

『殺し屋、続けてます。』石持浅海 文春文庫

2022-09-10 17:46:46 | 和物
 副業で殺し屋を営む経営コンサルタント。仲介は友人の公務員。さらに仲介の伊勢殿がおり、その先に依頼者がいる。そこに舞い込む依頼が来る。一話、一話、視点が変わる。さらに商売敵も登場する。依頼から読み取る。標的から読み取る。謎を解きながら、依頼をこなす。あるいはこなさない。そんな謎解きミステリー。ちょっと異色で時間あれば、という感じ。☆☆☆ほ。

『AIソロモン最後の挨拶』ジョン・マクラーレン 創元ノヴェルズ

2022-09-07 11:01:02 | 洋物
 再読シリーズ。それも1999年の出版です。人工知能《ソロモン》の開発を目指すヒルトン。仲間と三人で会社を興し、開発に目途が。資金調達のためにベンチャー支援の企業に持ち掛けたが、親会社の銀行からの横槍が入り、万事休す。会社だけはかろうじて存続させ、ヒルトンは借金のためにベンチャー支援企業のプログラミングの仕事に。そんな時に、ヒルトンに大事件が。ヒルトンの双子の弟コンラッド。ヒルトンが想いを抱いたリザ。ベンチャー支援企業のフレッド。いい奴がいて、ヒルトンの空手の師匠ヒロがまたいい奴で。ヒルトンが一発逆転のために立ち上がる。今ほどAIが現実でなかった頃の話だけれど、もうすぐこんな世界もあるのかなと思い読むと面白かった。☆☆☆☆。