カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『骨音 池袋ウエストゲートパークⅢ』石田衣良 文芸春秋

2006-10-31 22:50:02 | 和物
「池袋ウエストゲートパーク」シリーズ三作目。「骨音」、「西一番街テイクアウト」、「キミドリの神様」、「西口ミッドサマー狂乱」の四作品。何だか凄みを増してきて、おどろおどろしさがきつくなったかな。とくに「骨音」これは凄まじい。少年達の世界から真島達が大人になっていくに従って、ちょっと怖くなるね。☆☆☆ほ

『少年計数機 池袋ウエストゲートパークⅡ』石田衣良 文春文庫

2006-10-26 01:20:33 | 和物
主人公は同じ真島誠。それにタカシなどなじみの連中。そこに各話ごとに様々な人物が登場する。ストリートを感じ、生きるマコトは「何かあるといつもお前はそこにいる」。面白いのはそれぞれが少しづつ成長していること。そこがサザエさんとは違う。一気読み。普通の正義が正義じゃないところがいい。池袋って街だったこともいい。☆☆☆☆☆

『池袋ウエストゲートパーク』石田衣良 文春文庫

2006-10-23 23:20:27 | 和物
 『アキハバラ@DEEP』を読んだらこいつが読みたくなった。四つの短編、「池袋ウエストゲートパーク」、「エキサイタブルボーイ」、「オアシスの恋人」、「サンシャイン通りの内戦(シヴィルウォー)」だ。これは面白い。工業高卒で池袋西口で母と果物屋をやるマコトを主人公に、同級生で池袋のGボーイズの王タカシ、池袋署少年課刑事吉岡などなど。マコトの語り(彼は後にコラムニストになるから彼の筆かな)で進む。街のガキたち、その中で生きることを楽しみ、ウエストゲートパークを中心に回っていく。トラブルシューターとしてのマコトが話の中心に回っていく。それぞれのキャラがうまく描かれ、様々な登場人物がその個性で動いていく。☆☆☆☆☆


『アキハバラ@DEEP』 石田衣良 文春文庫

2006-10-22 00:52:55 | 和物
 『池袋ウエストゲートパーク』の石田衣良、今まで読んだことがなかった。『アキハバラ@…』の評判が良さそうなので読んでみた。面白い。吃音のぺージ、不潔恐怖症で女性恐怖症のボックス、突発性癲癇で固まってしまうダイス。秋葉原のアキバらしい三人のオタク。この三人がWEB上でユイという女性によってさらなる仲間と巡り合う。コスプレ喫茶の格闘系美少女アキラ、アルビノのハッカーのイズム、引きこもり10年のダルマが加わり彼らを父たち、母と呼ぶ者の語りで物語は進む。ファッションは10年遅れながら、世界に誇るアキバを舞台に、何かをしようからそれぞれの特技をもった彼らが新しい検索エンジンの開発に挑んだ。そこに一人のIT長者がやってくる。悪玉だけど、キャラがある。さらに伏線として様々な登場人物がそれぞれの存在感とともに現れ、要所要所で顔を出す。とてもテンポ良く、読ませる、読ませる。何だか洋物ミステリーのような完成度と勝手に思っていたら、文庫の解説に似たようなことがあった。思うことは同じかも。☆☆☆☆☆。そしてとても映像的な作品なので、映画も面白いかも。尺の問題があるかもね。

『ナイト・フォール』上・下 ネルソン・デミル 講談社文庫

2006-10-19 18:52:48 | 洋物

 お待たせしました。ジョン・コーリーが帰ってきた。『プライムアイランド』『王者のゲーム』で大活躍の元NY市警刑事にしてFBIと組んだ連邦統合テロリスト対策特別機動隊の男です。TWA800便の事故というのは知らなかった。この飛行機が実はミサイルの攻撃によって撃墜されたものだが、その事実が隠蔽されている…。妻ケイトに連れられて追悼5周年に参加したところからコーリーはどっぷりとクソにつかる道に。相変わらずのコーリー節、意外な人物の登場、おなじみの元同僚ドム・ファネッリNY市警刑事も登場。(ただし、電話だけなのだ今回も)意外な展開、驚きの推理、見事な伏線、読ませる、読ませる。もう寝る時間…と思いながら読み進めてしまう面白さ。ただ、ただ、この結末はいかがなものか。これじゃ、今まで読んだのは何というべきか。実に面白く、流石にデミルと思わせながら、これはないんじゃないのという気がする。デミルには早く続編を書くか、思い直して改作をしてくれないか。☆☆☆(に☆☆も加えたいような、なんとも悩ましい)

『フェイク』楡 周平 角川文庫

2006-10-18 23:06:24 | 和物
 三流大学をようやく出て銀座のクラブのボーイとなった主人公。そのクラブに新しく登場した雇われママ。銀座クラブの裏が語られながら話は進む。ちょっとした詐欺、女の戦いと復讐。そこに登場する詐欺ゲーム。ということになるのかなと。軽く読ませてくれるが、薄い。人間が薄いし、筋立てが薄い。ということで、☆☆ほ。ちょっと辛いけど。


『悪魔の参謀』上・下 マレー・スミス 文春文庫

2006-10-15 17:51:09 | 洋物
 複層の物語。登場人物はSIS南米局長のデーヴィッド・ジャーディーン、ニューヨーク市警殺人課のエディ・ルーコウ、ダブリン控訴院判事・IRA政策顧問のユージン・ピアソン、さらにハリー・フォード、マルコム・ストロングといった人物がいる。それぞれの立場から物語が進む。一人の麻薬摂取で死んだ身元不明のジェイン・ドウが舞台の幕を開ける。人物の描き方が面白い。先にあげた以外の登場人物それぞれに、列伝ができそうなくらいに人が動いている。次々と変わるカメラアングル、事態が徐々に変化していく。実に読ませます。それにしても、マレーさんよ、もう少し温情があってもいいではないか。少々残酷に切り捨て過ぎやしませんかと思うのは日本人の感覚か。☆☆☆☆ほです。

『餌食』ジョン・サンドフォード 講談社文庫

2006-10-14 08:59:34 | 洋物
 再読シリーズ。2003年2月物。『ハッカーの報酬』の人です。この本は読んだことがある。面白かったと思う。ミネアポリス市警副本部長が主人公。『消された眼』 Eyes of Prey (1991) ルーカス・ダヴンポート警部補、『獲物の眼』1996 ハヤカワ・ミステリ文庫、『一瞬の死角』 Sudden Prey (1996) ルーカス・ダヴンポート警部補ハヤカワ・ミステリ文庫2000/2/29といった辺りが前作にあるらしい。なるほど。このダベンポートというのが味がある。今回は女殺し屋と女弁護士が登場。これらのキャラクターも立っている。意表をつく始まり、意外な展開、しつこい刑事と、言ってしまうとこうなるが、楽しめる。やはり主人公をうまく作ったら勝ち。☆☆☆☆ほ。

『弁護』D・W・バッファ 文春文庫

2006-10-09 09:18:05 | 洋物
 再読シリーズ。2000年11月のもの。リーガル・サスペンスである。刑事弁護士、それも極め付きの優秀さ。依頼人が有罪であろうと、無罪であろうと、判決は無罪を勝ち取る男。一人の判事。極めて優秀。聖人に近い人格者。彼からの依頼でどうしようもない悪党にして、妻の連れ子をレイプしたという男の弁護をすることに。その男の妻。美人。それでいて徹底的に壊れた女。結果は無罪。5年後、女が男を殺した容疑でつかまり、弁護を依頼され、断る。さらに5年。聖人である判事の家で女が殺された。弁護士は無罪を確信してその弁護をする。序盤は読むのが楽しくない。それが次第に引きずり込まれ、意外な展開に。言いたいけど言えない大展開。最初の感じとは多きく変わり、深い思いにとらわれることも良しとして、☆☆☆☆か。ただし、また読むとすれば、完全に忘れた頃にすべし。

『殺意なき謀殺』ジョゼフ・T・クレンプナー ハヤカワ文庫

2006-10-05 22:00:44 | 洋物
 再読シリーズ。いわゆるリーガル・サスペンス物。ニューヨークの刑事弁護士が主人公である。500頁を越える本だが、本筋意外のディーンの依頼された事件などの部分を除いたら100頁は削れるに違いない。といいながら、この横道が興味深く、また効いている。ニューヨーク市警察本部長が車で送られた帰り、家までのわずかな道を歩こうとする。たまたまそこにいたホームレスのジョーイ。まるで金を奪ってくれというようなもんだと見ているとその大男が突然倒れる。金を盗んだジョーイは目撃者に気がつき、パトカーの音に慌てて逃げる…。警察はジョーイを強盗と謀殺の容疑で逮捕、その官選弁護人となったのがディーンであった。さてその事件の真相は。これが実に意外な展開。また一匹狼の刑事弁護士の生態!?もよく分かり面白い。されにそこに伏線もあり、ディーンとジョーイ、それぞれの角度から話が進む。予想以上に面白く、☆☆☆☆ほ。です。著者紹介にShoot The Moon が近刊となっていたが、1997に出て、さらに Irreparable Damage(2002),Fogbound(2003) と出ているようで、これ是非訳して欲しいもの。