カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ヴェネツィア殺人事件』ダナ・レオン 講談社文庫

2005-04-30 00:01:11 | 洋物
 ミステリー好きでアンテナ張ってるつもりでも、読み漏れってのがある。新刊が出て面白そうと手を伸ばす。そしたらそれがシリーズの二作目。おっ、読み漏れだとなる。今回はまさにそのパターン。誤解が無いように。読み漏れ発見は嬉しいことなのです。まず、読み漏れから読む。そしてそのシリーズを読む。当たれば鉱脈ですよね。
 さて、イタリア、ヴェネツィアの警視が主人公。手だしはフロスト風にも似た軽さ。それにしてもイタリアってさという気分も。昔、スペインで仕事をした人が、ラテン・ペースの仕事に苦労したそうな。その人が「今度はイタリアで仕事」とスペイン人に言ったらば、「イタリア人と仕事とは大変だ」と言われたそうな。イタリアは大変。
 イタリアの、というかヴェネツィアのことをよく描き、少々自虐的に描くなと思ったら、アメリカ生のイギリス人?らしい。殺人事件が錯綜とし、それが絡んでくるのだけれど、白黒だけでないのがイタリアカラーかも。☆☆☆ホ~☆☆☆☆ 早速、次の本も買ってこようっと。

『ロックンロール・ウイドー』C・ハイアセン 文春文庫

2005-04-28 00:09:07 | 洋物
 いやぁ、面白かった。一人称小説ってのは好きじゃない。普段は敬遠するんだけど、これは当たり。新聞記者のジャック、死亡欄担当。中年死亡記事記者のトラウマってのがあるのかね。この軽さ、元恋人の娘とか、ミュージシャンの妹とか、登場人物多彩。これはシリーズになってもしばらく楽しめそうだなと。☆☆☆☆ この人、『大魚の一撃』、『顔を返せ』、『珍獣動物園』『ストリップ・ティーズ』『トード島の騒動』の人とは知らなかった。読んだ本もある気がするが、このプログやる前ですっかり忘れていた次第。言ってみればこれも鉱脈かな。しばらく楽しめそう。

『死を招く料理店 トラットリア』ベルンハルト・ヤウマン 扶桑社ミステリー

2005-04-21 19:04:55 | 洋物
 ドイツ物っていうのはあまり読む機会が無かった。食わず嫌いの面もあり、いいイメージ無し。面白物が好きな方なので、「ドイツねぇ」ってのが読む前。「おっ、これ当たりじゃん」ていうのが読んでる最中。いい意味で予想を外してくれた。作者の世界と作者の書く作品の世界、両者が絡み合い進んでいく。イタリア人のキャラも大袈裟にしてあって面白い。どったん、ばったん、どったん、ばったん、と進み、「いい線いってるよ、これ」っていう気分。途中で訳者のあとがきを読むと、このローマを舞台として味覚を素材とした本は、世界の大都会、ウィーン・聴覚、メキシコ・シティ・視覚、シドニー・触覚、東京・嗅覚、といったシリーズの最後を飾るものの由。どうしてこういうシリーズの最後から訳すのかなぁ、とよくある不満。で、この本、結構面白いですが、作者自身が途中で困っている節もあり、伏線は少々からまり、消滅し、全体の完結観少々不足。終盤まで面白く読ませる、というタイプで出来がいい。完璧はそうありゃしませんからね。

『ボトムズ』ジョー・R・ランズデール ハヤカワ・ミステリ文庫

2005-04-13 00:01:31 | 洋物
『罪深き誘惑のマンボ』の人なんですね。随分違った感じ。どちらかというと、マッキャモンの『少年時代』というか、『遥か南へ』というか、そこからファンタジーを少々そぎ落とし、南部の香りをより強く、現実の味を少々。小説だけで知るアメリカですが、割りとこういうタイプは好きです。謎解きというより、その時代、その土地の香り、それを感ずるタイプの小説でした。ランズデールの幅広さに一票。

『酔いどれに悪人なし』ケン・ブルーウン ハヤカワ文庫

2005-04-07 22:33:53 | 洋物
「酒と本と探偵と…」と惹句にあるも…。考えてみれば僕は一人称小説はあまり好きじゃない。基本的には避ける。おまけに酒も飲まないし。それでも買ってみたけれど。小説の中身と関係ないけど、なんだかこの本、「底上げ」風が気になった。どうしてここでページかえる?どうしてこんなに余白つくる?探偵というけど、ナゾはあまり関係ない。人物にほれ込む?まあ、好き嫌いの分かれるところか、そこまでいくかどうかなというところか。大嫌いでもないけれど、なんだかねという感じかな。でもこのシリーズが何冊も出ているそうで、好きな人はううん、分かるぅっていうんだろうな。

『ナチス狩り』ハワード・ブラム 新潮文庫

2005-04-04 21:02:05 | 洋物
翻訳物の悲劇は翻訳にあり。『ナチス狩り』という題名、ひどいもんですね。"THE BRIGADE An Epic Story of Vengeance, Salvation, and World War Ⅱ"というのが原題。これは「ユダヤ旅団」の話であり、その中に復讐、救済そして第二次大戦の驚くような話という本のはず。
ということで、題名をつけた新潮社にダメを出したい。
内容はドキュメントですね。こんな歴史もあったのかという。三人の人物を柱にした話だが、読み物として考えると物足りない。ノンフィクションということで読めば読ませるというところ。
それにしても、この題名、内容にはわずかにカスルけれど、随分遠いな。書いた人が聞いたら、怒るよね、きっと。

『マッチスティック・メン』エリック・ガルシア ヴィレッジブックス

2005-04-02 22:51:35 | 洋物
 この本も二度読み。忘れっぽいってのはいいですね、同じ本でも二度楽しめる。
というくらいだから、この本は読めました。☆☆☆半。帯に(昔、コシマキと言ってたけど今でも言うのかしらん)ニコラス・ケイジ主演の映画の宣伝付き。この映画も観てもいいかなと思ったけれど、そいういやWOWWOWでやってたような。
 詐欺師の物語、詐欺師の物語。先月、ロスに行ったけど、ほとんど二点間を往復しただけなんで、この小説の世界はわかんなかったな…。まぁいいけど、あと三年位したらもう一遍読もう。きっと忘れているので。

『ドミノ』恩田睦 角川文庫

2005-04-01 03:56:16 | 和物
看板に偽りっていうのは付き物で、今回はカタカナではありません。
カタカナミステリーばかり買っていて、たまに和物を買うと値段の安さに驚きます。ま、それはそれとして。さて、この本。軽く、軽く流れる。すぅっと読んで、すぅっと読める。それでいて、時々前のページを探させてくれました。あれ、こんなところに伏線が。
これだけ沢山の人を 一ケ所と言っても東京駅という巨大な舞台にのっけて、こうからみああからみそうしてまたこうからみ、うまいものでした。個性の風船を適度にふくらまし、軽妙ですからね。
2001年版の文庫化版。