カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『飛べないカラス』木内一裕 講談社 LB

2023-01-21 15:10:48 | 和物
 これまた木内作品。主人公が出所するところから始まる。加納健太郎。元俳優。それが傷害致死で実刑を受けた。といっても、冤罪というべきか。出所した加納の元に脚本家で映画監督であった男から迎えが来る。そこで「会ったことの無い実の娘が幸福か」を調べてくれとの依頼を受ける。撮影現場での照明助手から役者となり、役毎に役になり切っていた男。実生活でもその場の「役」を演ずることで生きて来た男。依頼によって女性を探し出し、そこで別のものを見つけていくこととなる。ということで、木内作品らしい独特の人、人が登場するが、破天荒さはさほどであって、☆☆☆か。

『神様の贈り物』木内一裕 講談社 LB

2023-01-17 21:32:54 | 和物
 漫画家から作家、映画監督へと世界を広げた木内作品。今回の主人公は心を失った殺人マシーンのチャン・カンス。脳に出来た腫瘍が脳内の一部を圧迫することで心を失った主人公、彼が心を取り戻すのはという物語なのだけど、痛快、爆発的展開といった木内作品の部分は少なくて、少々物足りない。☆☆☆。

『七月の暗殺者』上・下 ゴードン・スティーヴンズ 創元推理文庫

2023-01-14 20:57:07 | 洋物
 再読シリーズ。あの『カーラのゲーム』の作者。ちなみに『カーラのゲーム』は1996年出版が日本では2000年。本書は1993年のものが2005年にと順番が逆です。今回は北アイルランドが舞台の中心。そしてイングランドへ。IRA暫定派の闘争がテーマとなる。これまたややこしい戦争・闘争が舞台となって、IRA暫定派と英国の様々な組織との闘いとなる。MI5、スペシャルブランチ、SASなどなど。主人公は女性二人というべきか。『カーラのゲーム』もそうだが、北アイルランドの状況というものが見えてくる。そんな時代があった。小説のできとしてはやや複雑になり過ぎて、『カーラのゲーム』までの高まりとはならないが、こうしたものを読む価値は充分にある。☆☆☆☆。