多田と行天のまほろシリーズ第三弾。ドラマ化されて便利屋の多田を瑛太、居候の行天を松田龍平がやっている。原作物のドラマ、映画は原作読んでいるとなんだか感が多い。例えば東直己の『探偵はバーにいる』。ここで探偵の友人が、原作での対等の関係が崩されていて、そりゃないよって感じのように。瑛太、龍平の多田・行天コンビは実にいいのですよ。というか、私にはぴったりに思える。だからこの本を読みながら、映像は瑛太・龍平コンビなのだ。この本では、多田の所には相変わらず行天がいるのだけれど、行天の背景というのが少しずつ見えてくる。多田もだけれど、多田も行天を理解しながら、驚きながら、信じながら。そしてこの本というのは町田に行ってアポロンに行ってみたくなる。ううむ、何とも楽しいのだ、この青春小説というのが。☆☆☆☆☆。
第十五回「このミステリーがすごい!」大賞で大賞を逃し優秀賞となったという作品。柏木氏は愛媛県庁の職員という。警察の中でも謎の公安の活動が今回の舞台。神奈川県警警備部外事課、これが神奈川県警の公安。その警部補来栖惟臣が主人公である。単独捜査、おとり捜査も辞さず、やりたい放題。そこからクルス機関との異名をとる。北朝鮮によるテロとの情報がいくつかから流れてくる。アメリカ大使館、中国、韓国さまざまなルートからさまざまな情報。そうした中から公安というものの動きが見えてくる。ストーリーもなかなかで、奇抜な登場人物、意外な展開と楽しませてくれる。驚きをまた期待して、☆☆☆☆ほ。
『死神の精度』で登場の死神調査員の千葉が登場の長編。子供を殺された山野辺夫婦。犯人の本城は25人に1人という良心を持たない人間。そこに調査員千葉がからむことで物語が回っていく。この独特の個性がたまらない。それでいて結構重いのだけれど、うまいなぁ、伊坂さんは。途中ぐっと来るし。☆☆☆☆ほ。
半沢シリーズ第4作。東京中央銀行本店の第二営業部の半沢。本来審査部の所管であった帝国航空の仕事が回ってくる。その指示は頭取からとも。行内の派閥争いの中で、帝国航空に対して債権放棄を迫られる。国土交通相の私的タスクフォースに対して果敢に挑む半沢。宿敵黒崎も登場し、国家をも相手としながら、戦う。爽快。☆☆☆☆。
警視庁人事一課監察係黒滝誠治が主人公。ドッグ・メーカーの名は、黒滝が対象に首輪をつけて「犬」のように飼いならすところから。組織対策課でエースとして鳴らした黒滝はエスを殺されたことから部下を痛めつけ、交番勤務に。さら襲われて大怪我を負う。それを監察係に呼び入れたのが相馬という女性キャリア。これに白幡部長が後ろ盾。警視庁の赤坂署の不正、監察係の刑事が殺されている。その闇を探る。人を陥れ、目的のためには踏み越えていく。武道ではなく、刑事らしからぬ汚い戦い。息詰まる攻防が続く。なかなか面白い。かなり厳しいが救いもあり、☆☆☆☆ほ。
ニューヨーク市警の刑事マロリーのシリーズ第9作。マロリーが失踪する。アパートには死体。ルート66。アメリカ大陸を横断するこのルートに謎の死体。そして謎のキャラバン。マロリーは父の手紙に従って走る。不思議なワーゲンに乗って。ニューヨークからはライカーが追う。チャールズが追う。間抜けなFBI達。マロリー・シリーズならではの展開がルート66の中で広がって、実に☆☆☆☆ほ。
主人公は死神。調査部に属し、対象を死とすることに可か見送りかを審査する。人間界に送り込まれ、一週間審査をする。審査の後に、対象に死が訪れる場合はそれを見とる。その死神を主人公とする六つの物語。独特の伊坂物語、死神はCDショップで視聴する、というか音楽を聴くことがとにかく大好き。その姿は審査の都度、最適の姿があてがわれるらしい。そこで対象とも不思議な会話を探す。死というもの、人はどう生きるのか、短編は最後にいくつかの話が集約されてくるのも伊坂ワールド。☆☆☆☆ほ
もぐらシリーズ第六作。影野と紗由美は野辺医院に。そこに一人の男がもぐらを訪ねてくる。元研究者、会社に成果を奪われ追い出された。その会社には怪しい弁理士が背後にあった。このシリーズ、登場人物が人間として育たない。どうしてそう言うの、という突っ込み満載。それでばたばたと人が死んでいく。☆☆。
もぐらシリーズ第五作。紗由美の療養で静岡県のホスピタル。その一方で、医学界を舞台とした大事件が起きていた。平穏から一転、ということで。☆☆ほ
もぐらシリーズ第四作。ネットを使った犯罪。依頼されたストーカー案件は、ネットの闇の中で大変な事態に。その悪に立ち向かうのだけれど、またまた身近な人物にも被害がということで。☆☆ほ