カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ゴールデンスランバー』伊坂幸太郎 新潮文庫

2011-04-30 13:47:56 | 和物
 『陽気なギャング…』シリーズで初めて伊坂幸太郎を知った者からすると、その系譜に近い作品に思う。映画の宣伝を前に見たが、主人公を堺雅人にしたというのは、実によく合っているような。舞台は仙台。近未来というのであろうか。町中にはイギリスにあるようなセキュリティポッドなるシステムが衆人を監視する。その町で総理大臣がラジコン爆弾で暗殺される。その犯人はあらかじめ決められていた…。主人公青柳雅春は元宅配ドライバー。強盗に入られたアイドルを助け、派手にマスコミに追いかけられた経験を持つ。大学時代は青少年食文化研究会に加わり、同期に森田森吾、樋口春子、後輩のカズがいた。ファーストフード店でああだ、こうだと話すだけの研究会。数年ぶりの森田に呼び出された青柳、驚くべき話を告げられ、そこから一気に話は展開。首相暗殺犯として仙台中を逃げ回ることになる。青柳と樋口、付き合っていた二人は青柳が板チョコを丁寧に二つに割って、大きい方を樋口に渡したのをきっかけで別れた。沢山の筋が絡み合い、時々、前のページを確認しながら読み進む。面白いのだ。犯人にされそう、警察は殺人をも辞さず青柳を追い詰めていく。その中で青柳が残したメッセージ「俺は犯人じゃない 青柳雅春」そこに加えられた一文。「だと思った」。いいんだな、これが。登場人物がとてもいい。正義って何?正しいのはどっち?不思議な感覚は『陽気な…』にもつながるか。☆☆☆☆☆。映画も観てみようかな。

『フィッシュストーリー』伊坂幸太郎 新潮文庫

2011-04-29 22:47:08 | 和物
 映画になったのは見ていない。久々の伊坂幸太郎。最初に読んだのが『陽気なギャング…』だった。これは短編集。ノンシリーズの短編集ということ。中に表題作の『フィッシュストーリー』もある。これ、どう映画にしたのだろうと思いつつ読んだ。後の解説で、伊坂作品には登場人物がリンクしているとあったが、黒澤という探偵兼空き巣氏に『陽気なギャング』の彼を感じたりした。『フィッシュストーリー』、時間を超越しながら、不思議な連鎖。☆☆☆☆。