カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『縁』小野寺史宜 講談社 LB

2022-02-15 21:24:08 | 番外
 「霧」、「塵」、「針」、「縁」、「終」という5つの連作短編集。サッカーのコーチ、人材派遣会社の女性社員、印刷会社社員、通いの家政婦。そして「終」。それぞれの人生の一コマがあり、そこに何だかということが起こったり、救われる気になったり。それが少しづつつながっていく。どこにでもある世界でいて、それぞれの話がつながっていき、ちょっと安心してみたり、心配してみたり。人間というのを、生きるということをちょっと考えてみたくなる。☆☆☆☆。

『ブラック・ジャック・キッド』久保寺健彦 新潮社 LB

2022-02-12 21:14:54 | 番外
 第19回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作。主人公の織田和也。小学校3年生で『ブラック・ジャック』を愛読し、憧れる。将来の夢、ブラック・ジャック。ヘアリキッドとヘアスプレーで髪を固め、黒いコートをみにまとう。そんな小学生の物語。仲間との暮らし、ほのかな思い。4年生の時、母とかつて暮らした町を訪ねる。そして母が消える。5年生で引っ越して転校。新しい世界での違和感。それでもブラック・ジャック。そこで生まれた新しい仲間。子供時代の不思議な世界をもう一度。☆☆☆☆。

『ひと』小野寺史宜 祥伝社文庫

2022-02-12 18:44:29 | 番外
 主人公柏木聖輔、19歳。東京都江東区にある砂町銀座を空腹を抱えて歩く。食べ歩きで有名なこの商店街、一軒の総菜屋の前に。ポケットには55円しかない。コロッケが50円、「コロッケを」という柏木の声にかぶさるように「コロッケとハムカツとアジフライ」とおばちゃんの声。「先、どうぞ」と最後のコロッケを見送った。主人が50円に負けてくれた120円のメンチカツ。財布に「御縁」が残った。そこで働くことにした。大学2年の途中で退学。その前に料理人だった父が交通事故(自損)で亡くなり、それでも大学は法政大。2年の途中、母が突然死していたことを知らされた。そして大学を止めた。総菜屋で働きながら、調理師を目指すことにした。大学の同級生、新たに出会った人、偶然再会した高校の同級生。あやしい遠縁の男。いろいろな出会いの中で、自分の生き方をする中で、また人と出会う。そんな物語。2019年本屋大賞第2位の作品。☆☆☆☆。

『アンダードックス』ロブ・ライアン 文春文庫

2022-02-10 18:22:27 | 洋物
 再読シリーズ。文庫の出版は2000年。シアトルの街に眠る地下迷宮。19世紀末の大火災、現在の街はその上に建てられているという。そこを舞台に少女を誘拐した強盗が逃げ込む。警察、特殊部隊、そしてベトナム戦争でベトコンとトンネル戦を戦った「アンダードックス」が入り乱れる。今、ベトナム時代、時点を変え続く物語。強盗であったり、警察、地下のホームレス、麻薬業者、それぞれのキャラクターが面白く、複雑な物語ではあるが、引っ張ってくる。『不思議の国のアリス』のモチーフを混ぜながらの物語。三部作の第一作で、次作は『クマのプーさん』のモチーフが登場という。☆☆☆☆。