カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ゴースト・ライター』キャロル・オコンネル 創元推理文庫

2019-08-15 22:15:55 | 洋物
 キャシー・マロリーのシリーズ。ブロードウェーの劇場の初日、第一幕。暗転した舞台に光が戻ると、人が死んでいる…。連続殺人なのか、はたまた。有名な映画俳優、追い詰められた女優、衣装係、不思議な使い走り。警察組はマロリーに相棒のライカー。チャールズの恋心は相変わらず。そしてルイの友人たち。いつものメンバーがいつものように。この作品だけ読んだならば、筋、展開の難しいものと思うのでは。これがマロリーの世界であって、そのまま楽しむのがマロリー・ファンなのかも。☆☆☆☆。

『I Q』ジョー・イデ ハヤカワ・ミステリ文庫

2019-08-11 20:04:07 | 洋物
 解説を読むまで気が付かなかった。作者は日系アメリカ人。主人公はロスに住む黒人青年、イニシャルからIQと呼ばれる。無認可の私立探偵。普段は評判から様々な依頼が舞い込み、報酬はお金でないことも。それが金が必要ということで、古くからの相棒の口利きでセレブなラッパーの保護を引き受ける。少年時代、そして今、二つの時間軸で物語は進む。IQがどのようにしてIQとなったのか、そしてラッパーの身は。黒人特融のスラングを混ぜて物語は進んでいるのだろうな、と思いつつ。日系人が描いたこの物語、黒人にも受け入れられているようで、大したものです。もう一押し欲しいかなでおまけ気味に☆☆☆☆。

『旅猫レポート』有川 浩 講談社文庫

2019-08-10 19:20:27 | 番外
 元野良猫のナナ(といっても雄猫)と、飼い主となった悟の物語。銀色ワゴンは野良猫ナナのお気に入り。持ち主が追い払ったりしないから、特別に好き。それがあるきっかけで悟と暮らし、そして旅に出ることに。有川さんは猫をよく知っていますね。猫好きの心理もよく知ってますね。ロードムービー、旅の過程で、悟のことが見えてくる。悟が旅で訪れる人たちとの関係から、見えてくる。泣けるのですよ。涙は心を綺麗にしてくれるって聞いたな。☆☆☆☆ほ。

『ゲームセットにはまだ早い』須賀しのぶ 幻冬舎文庫

2019-08-08 00:31:42 | 番外
 野球小説。女性の作家というのは珍しい。野球も社会人のクラブチームというからこれもまた珍しい。名門社会人チームが解散を決める。大学時代にドラフトにかかると言われながら社会人で捲土重来を期していた高階、次の所属先に悩む。そこに新潟のクラブチームから声がかかる。やってきたのは女性マネージャー。プライドを傷つけられ断るが、結局入団テストを受けることに。新潟のかつての企業城下町、そこの町おこしにできたチームは地元の企業も支援に。チェーンスーパーからその町の店に赴任していた安東、失意の中にいたがチームのマネージャとなることに。チームを率いるのは片岡。かつて高校野球に旋風を巻き起こしたが、その後東南アジアに渡り、マレーシアではナショナルチームのコーチに。野球を楽しめ、という信念でチームを作る。新潟の町で社会人野球、チームが解散したがクラブチームに所属し、キャプテンを務める国友…、と様々な人物の視点から語られていく三香田ヴィクトリーの物語。いいのだよな、スポーツって、人の物語があり、ドラマがあり、試合がある。楽しめました。ところどころもう一息もあるけれど、☆☆☆☆ほ。


『マルセイユ・ルーレット』本城雅人 双葉文庫

2019-08-08 00:29:41 | 和物
 スポーツ界が舞台を得意とする本城の作品。今回はサッカー。それも八百長問題。ユーロポール(インターポールのEU版)の村野隼介。サッカーの八百長摘発を任務とする。自身もかつてサッカー選手であったが、ケガで引退した。フランスのマルセイユ、貧困層の地域でサッカーアカデミーを経営する日本人女性。父から受け継いだアカデミーが危機に瀕している。両者の物語が次々と繰り出され、その中で日本人サッカー選手が八百長に引きずり込まれようとしている。ということなのだけれど、話の切り替えが目まぐるし過ぎて、何だか分かりづらいやら、のめり込めないやらで、楽しみには…。☆☆ほ。

『ギャングスター』上・下 ロレンゾ・カルカテラ 新潮文庫

2019-08-06 21:27:07 | 洋物
 再読シリーズ。『スリーパーズ』のカルカテラによるマフィアの世界を描いた作品。再読シリーズ。青年と女性が臨終間近の男のもとに。その二人によって一人の男、ギャングスターの世界が語られていく。登場人物の台詞がひとつひとつ総ていいのだ。切れがあって、ぐさりときて、「他のいい様なんて、あるのか」と言われそう。『スリーパーズ』ほどの凄みは無いかもしれないが、映画化されたのも分かる気がする。観てみたいもの。☆☆☆☆。

『ミレニアム5 復讐の炎を吐く女』上・下 ダヴィド・ラーゲルクランツ ハヤカワ文庫

2019-08-03 11:38:41 | 洋物
 ダヴィド・ラーゲルクランツになって二作目。前作での活躍にもかかわらず、リスベット・サランデルは刑務所に収監されていた。安全な筈の刑務所は悪の支配となっていた。そこで一人の女性が痛めつけられるのを見る。そこから怒涛の展開が。過去と現在を行き来しながら物語は進む。スウェーデンを代表する証券会社の若き頭脳に一体何が起こっているのか。面白いのだけれど、何だか違うリズムというか。もうひとつ物足りないような。☆☆☆ほ。