カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『熱欲 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2011-12-23 11:26:13 | 和物
 鳴沢了シリーズ第三作。多摩署から青山署へ。今回は生活安全課。自分の居場所じゃないと感じつつ、横山のもとでマルチまがいのK社の事件を追う。そこにアメリカ時代の親友がニューヨーク市警の刑事になってやってくる。その妹も息子を連れて来ていた。この本はミステリーなのだが、警察を舞台としたドラマ。ただ、鳴沢という奴が好きになれない。身勝手な自分だけが正しいと思っているような男。今回の事件もミステリーとしてはなんだこれはという気分なので☆☆ほ。それでも続いているから読むんだろうな。

『夜明けのパトロール』 ドン・ウィズロウ 角川文庫

2011-12-22 20:08:18 | 洋物
 "The Dawn Patrol" が原題。夜明け一番にサーフィンをすること。サンディエゴのサーフィンのメッカ。サンディエゴ市警の元刑事ブーン、今はサーフィンの人生の合間に探偵を。ダウンパトロールの仲間は日系人の刑事ジョーニー・バンザイ、水難救助員のディブ、ミクロネシア系の巨漢ハイ・タイド。サーフショップのハング・トゥエルブ、プロサーファーを目指すサニー。それぞれにとって人生が波、そして仲間。さらに近づいてくる最高の大波。そこに放火事件の証人探しの依頼が舞い込む。とても軽やかに、サーフィンを人生として楽しみながら、生きている。一人、一人の内面が少しずつ明らかに。いい加減でナンパなサーファー探偵?ブーンはサンディエゴ大で犯罪学を学び、ロシア文学を読むとか。証人探しが殺人事件に、さらに不法入国者も絡む問題に。軽さから始まった展開の中で、一人一人に深く入り込み、なかなか楽しめた。☆☆☆☆。

『被弾 刑事・鳴沢了』堂場瞬一 中公文庫

2011-12-21 22:48:42 | 和物
 鳴沢了シリーズ第二作。新潟県警を辞めた鳴沢が警視庁に。多摩署の刑事課で厄介者扱いの日々、資料室で昔の資料を読んで過ごしている。同じ刑事課にもう一人の厄介者。女性刑事の小野寺冴。かつて逮捕時に犯人を射殺、さらに止めを刺したという。二人の厄介者が公園のホームレス襲撃事件を追う。被害者が行方不明。そこに過激派の陰が。鳴沢は大学時代の先輩の世話で、再びラグビーを。小野寺とは似た者として時間を共有するように。このシリーズ、蛍虫を随分前に読んだ。爽快感が無い。このどろどろぐじぐじに堂場を敬遠していた。失踪課高杉のシリーズ中に時折、警視庁刑事鳴沢の話が出てきていたので、読んでみた。やはりぐじぐじ。☆☆☆。重いんだよなぁ。


『波紋 警視庁失踪課・高城賢吾』 堂場瞬一 中公文庫

2011-12-20 20:14:40 | 和物
 失踪課高城シリーズ第六弾。前作の事件で魂を抜かれた室長の真弓。チームとなった失踪課が壊れていく。警務課に異動した法月が残した5年前の失踪事件。それを追う高城たち。それが事件を呼んでいく。ハイテク産業の天才的技術者が失踪、その企業にある闇。六条、森田のキャラは依然として動きのないままだが、この事件が次ぎの事件を呼んでいき、早く次ぎの作品が読みたくなった。☆☆☆ほ。

『仏果を得ず』三浦しをん 双葉文庫

2011-12-19 10:22:58 | 番外
 『まほろ駅前多田便利軒』で直木賞の三浦しをんの青春小説。『風が強く吹いている』で弱小駅伝チームを描いた三浦が今回は人形浄瑠璃の義太夫に迫る。主人公の笹本健は北海道の高校時代に始めて義太夫にとりつかれ研修所に。人間国宝の銀太夫の弟子となり、ラブホテルの一室に住む。師匠の命で兎一郎という職人肌の三味線引きとコンビとなる。健に与えられる課題、そこに挑む姿を見ているだけで、人形浄瑠璃の世界に触れてみたくなる。そこまで凄いのかと。そこに青春(やや主人公のトウがたってはいたが)が描かれ、葛藤があって、とにもかくにも、人形浄瑠璃が見たくなる作品。爽快。☆☆☆☆ほ。


『ソロモンの犬』道尾秀介 文春文庫

2011-12-18 13:22:18 | 和物
 相模原の大学生、秋内静。自転車便のバイトに励む。友人の京也。その彼女のひろ子、ひろ子の友人で秋内が密かに想う智佳。四人の仲間の前で事件が起こる。大学助教授で動物学の間宮が、秋内の相談相手で登場。道尾作品らしいミスリードだが、今回は少々しんどい。最後にまとめてみせてはくれるが、やっぱりシンドイ。☆☆ほ。