お待ちかね、ディーヴァーの新作でした。舞台は1936年ベルリン。オリンピック開催の地に殺し屋潜入。流石にディーヴァーらしいどんでん返しが続いて面白い。ちょっとまだるっこしかったりもするけれど、主人公のポール・シューマン、相手役のクリポの警視ヴィリ・コール、さらに脇役でオットー・ウェーバーといった連中がいい味を出す。あっちにこっちにひっくり返り、ポールはちょっとしたヒーローで、最後も結構というところで☆☆☆☆といたしましょうか。
『モンキーズ・レインコート』(1987年新潮文庫)は読んだという記憶だけある。これは元ロス市警SWATにしてネゴシエェターから田舎警察署長になった男が主人公。少々じめじめしてなんだかな、という感じ。途中、いくつか意表をつかれたところは○ですね。☆☆☆
ジョン・ガードナーの作品としては1980年というからかなり早い作。ハービー・クルーガー物でも、スパイの家系物でもなく、ボンド・シリーズでも、もうひとつのスパイ物でもないという独立系です。主人公はポール・ファデン。少々SF的な近未来サスペンス。まだまだ洗練されていないけれど、動きはあるのかなというタイプで、ジョン・ガードナーを読むなら読んでおくかという程度にも。☆☆☆。
『殺す警官』の人。前に読んだですね。主人公は二人、元傭兵でボディガードのマックス・アイバーソン、ロンドン警視庁刑事部降格巡査部長のジョン・ギャラハン。この二人それぞれの視点から物語が描かれる。突然の場面展開に始まり、事件が動きながら核心へと迫る。展開は常に意表。謎解モノではない展開が面白いといえば面白い。『殺す警官』の脇役も登場している。結構人間的であっていいが、謎解き好きにはそりゃ…という感もあり。☆☆☆ホかな。
ジョン・ガードナーのもうひとつの三部作。原作は1987年刊、文庫は1993年。『The Secret House』イギリスのスパイ一族、レイルトン一族の叙事詩である。第一作の将軍世代から曾孫となるナルド・レイルトン達の時代となっている。既に第二次世界大戦が終わってしまった。舞台はフランスから始まる。例によって尋問、取調べ、それによる語りと情景描写で綴られる。そこに多くの人々が、一族が、からみあっていく。そこに前作に登場したハービー・クルーガーがかなり活躍し、何とあのカリー・シェパードまで現れる。アメリカではマーティ・フォーマンが登場するし、『ノストラダムス…』から『マエストロ』へと連なるハービー・シリーズとで、大きな流れが生まれているのです。何とも壮大で複雑なること。これに気がつかずに昔から読んでいた。出版に従って読んでいけば、ガードナーの世界はさらに面白いはず。この本自体は☆☆☆☆☆としておこう。少々難もあるが、このシリーズはそうせざるをえない。
ところで、このシリーズの第三作、『The Secret Families』が1989年にイギリスで刊行されている。新潮文庫はどうしてこの第三作を出してくれないのだろうか。新潮文庫の翻訳水上峰雄さんがお元気ならば、是非、是非、この第三作を出してはくれまいか。何とかしてくれ…。
ところで、このシリーズの第三作、『The Secret Families』が1989年にイギリスで刊行されている。新潮文庫はどうしてこの第三作を出してくれないのだろうか。新潮文庫の翻訳水上峰雄さんがお元気ならば、是非、是非、この第三作を出してはくれまいか。何とかしてくれ…。
ジョン・ガードナーの中で、埋もれた三部作の第一作。イギリスでは1985年刊行、翻訳は1987年。THE SECRET GENERATIONS。ガードナーではハービー・クルーガー三部作+マエストロが有名で、最初これしか知らなかった。ところがもうひとつの三部作。イギリスのスパイ一族の大物語があったのですよ。そしてこのシリーズの中には若きハービー・クルーガーが出てくるし、彼を育てたナルド・レイルトンは一族の系図の一番下あたりにようやく出てくる。
ガードナーらしく、話、尋問、込み入った伏線と複雑でとてもとても楽しい。人間の性(さが)が何ともかんとも。ところで、次に書くけれど、新潮文庫は三部作の二作目までで止めてしまった。こんなことってあるだろうか。☆☆☆☆☆
ガードナーらしく、話、尋問、込み入った伏線と複雑でとてもとても楽しい。人間の性(さが)が何ともかんとも。ところで、次に書くけれど、新潮文庫は三部作の二作目までで止めてしまった。こんなことってあるだろうか。☆☆☆☆☆
ハンガリー人が主人公という小説を初めて読んだ。アメリカ人の作家である。パリに住むハンガリー人、貴族の出ということになるか、彼がスパイなのである。時は第二次世界大戦。ハメット賞を受賞ということで、「モラート(主人公)もヘミングウェイと同じように虚無感を抱えている」などと腰巻に書いてある。ちょっと風変わりな小説で、スパイ小説というののあの独特の気分とは少々違うかも。☆☆☆止まり。