カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『刑事の誇り』マイクル・Z・リューイン ハヤカワ文庫

2010-05-30 23:38:28 | 洋物
 アメリカ・インディアナポリス警察のパウダー警部補を主人公とするルーインの二作目。前作は『夜勤刑事』。リューインはアルバート・サムスンという私立探偵物で有名だが、こちらのパウダー物が好きだ。第一作は1976年、この第二作は1982年という。昔読んだと思うがすっかり忘れていた。前作で夜勤刑事であったパウダーが今回は昼間の刑事。ただし、失踪人課という所で、午前中だけの秘書にしてコンピューターの達人アグネス、これに車椅子に乗った部長刑事キャロリー・フリートウッドが加わる。多忙を極める。いくつもの事件を同時進行させ、気難しく、ひたすら進む。離婚して大学を中退した息子が一人、突然家にやってくるが、どうも怪しい。裸で自殺しようとした人物、妻が家出したという人物、訪ねてくる筈の姪が行方不明エトセトラ。パウダーがとてもいいのだ。時々、畑仕事に精を出し、夜に部長刑事のところへ押しかけ、ビールを飲みながら仕事を押し付け、それでいて、推理を巡らし、はずれたりもするが、それもいい。☆☆☆☆☆。


『笑う警官』佐々木譲 ハルキ文庫

2010-05-16 22:18:41 | 和物
 再読シリーズ。映画化で話題になっているので、読み直してみた。佐々木譲という人、第二次世界大戦裏話物など作行が広い。これは北海道警の裏金に関連した警察内部物というべきか。主人公の佐伯、彼の周辺の刑事達がなかなかいい。ハラハラ、ドキドキ。男rの絆、北海道警の大いなる闇、警察組織の恐ろしい闇。展開もスリリング、これ映像向きだと思う。最後の辺りは緊迫していて、楽しめた。この後の作品も評判良かったので、文庫化を待っているのだけれど。文庫化にあたって『うたう警官』が『笑う警官』になった。作者もそれについて文庫のあとがきで書いているが、やっぱりこの改題はダメだと思う。『笑う警官』は海外ミステリーにあるし、「うたう」という行為が警官にとって、極めて重大なことなのだからこの小説も成り立っている。なのに改題ってないよな。それ以外は☆☆☆☆ほ。

『中途採用捜査官 SAT、警視庁に突入せよ!』佐々木敏 徳間文庫

2010-05-04 22:18:18 | 和物
 警視庁が突然、テロリストに占拠される。これに立ち向かうのが、捜査二課の団藤課長とその部下達。二課は経済関係が専門、さらに中途採用のコンピューター犯罪捜査官たちが活躍するという物語。かなり綿密に警視庁について調べられているようで、なんだかわくわくして読み始めたが、小説としての作りはいかに。中途採用捜査官二人登場するも、いまひとつその意味が出ず、さまざまなキャラクターを作ろうとするも生きていなくて。ちょっとがっかり。☆☆ほ。


『アキレスと亀』北野たけし監督

2010-05-04 22:07:29 | 番外
 ようやく、DVDを借りてきて観た。観ようと思った時には映画館では終わったばかり、やっと観た。重いのだな。そこそこにおかしみを作るのが北野作品なのだろうか。あまり観てないので、そうかなと思いつつ。芸術って何だろう、あの凄みって何だろう。芸術は一種、行ってしまった世界かと。それと夫婦ってのは…。子供は入れない、夫婦という理解者の世界か。たけしという人は凄いと思う。芸術、とくに現代芸術は人が作る。作り手が作るのではなく、何かが作るんだろうな。監督自身が自分の作品についてもそんなことを思っていそうで、それでいて北野たけしという監督はモノを作るのにのめり込む、その凄みがあの映画を作らせたんだろうな。☆☆☆☆ほ。