カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『暗殺のハムレット ファーシングⅡ』ジョー・ウォルトン 創元推理文庫

2020-12-31 21:08:00 | 洋物
 再読シリーズ。第二次世界大戦でイギリスがナチスドイツと講和したという設定の歴史改変モノ。政治派閥「ファーシング・セット」を巡る物語の第二弾。今回の語りは貴族の娘で女優のヴァイラ・ラーキン。そして第一作から続くスコットランド・ヤードの警部補カーマイケル。徐々にイギリスはファーシング・セットによる自由圧殺の中へ。大陸ではユダヤ人弾圧が進むが、イギリス人にとっては対岸の…。しかし事態はどんどん進んでいる。男女入れ替えての演劇が流行し、ヴァイラはハムレットの役のオファーを受ける。その日に、同じ舞台に上がることになっていた女優が爆死。そこから事態は回り始める。イギリス貴族の世界、アイルランドとの関わり、舞台の世界。いろいろな世界が映像のように伝わってくるのですよ。この本、今、我々が読まなければいけない本ではないか。絵空事、小説の世界の出来事と言っていていいのかなぁ。☆☆☆☆☆。

『英雄たちの朝 ファーシングⅠ』ジョー・ウォルトン 創元推理文庫

2020-12-28 10:44:36 | 洋物
 再読シリーズ。ジャンルは歴史改変物というそうで、第二次世界大戦でイギリスがヒトラーと和平を結び、ドイツ第三帝国は欧州のかなりを支配しソ連と戦う。イギリスではドイツと和平を成し遂げた政治派閥「ファーシング・セット」が力を握りつつある。語り手はファーシング・セットの中心人物子爵夫人の娘でユダヤ人銀行家と結婚したルーシー・カーン。そしてスコットランド・ヤードの警部補カーマイケル。ファーシング・セットで起こった殺人事件、そこにスコットランド・ヤードの刑事が捜査にあたる。続いて起こったルーシーとその父への狙撃事件。そんな中、イギリスはどんどん重苦しい世界へと変わっていく。これを書いたのがウェールズ生まれでカナダを拠点とする作家。イギリスの上流階級の世界が実によく描かれていて、どこか重苦しい雰囲気が漂ってくる。前半、少々展開が遅いのだけれど、後半には、あ、あ、残り少ないのに、どうなるっ、という感じです。☆☆☆☆ほ。続編も続々編も。茂木健という翻訳者の方の注も効いている。

『殺し屋を殺せ』クリス・ホルム ハヤカワ文庫NV

2020-12-20 21:34:03 | 洋物
 2016年刊行で再読シリーズですが、初登録作品。マイクル・ヘンドリクスは殺し屋を専門に狙う殺し屋。標的となった人物に売り込み、殺しの報酬の10倍で請け負う。アメリカ軍の特殊部隊に所属し、事件の後、その世界に。マフィアなどの組織「評議会」がヘンドリクスの暗殺を依頼したのがエンゲルマンというフリーの殺し屋。さらに「ゴースト」としてヘンドリクスの殺人を追っかけていたFBIのチャーリー(シャーロット)・トンプソン捜査官。殺し屋が殺し屋を追い、それを殺し屋が追い、そうした殺し屋をさらに追い。少々湿っぽく、それでも最後の大転換はそいうきかた、という感じでありました。☆☆☆ほ。続編が2019年に出ているが、どうしたものか。

『嗤う猿』J・D・パーカー ハーパーBooks

2020-12-19 22:12:54 | 洋物
 『悪の猿』の続編。シカゴの連続殺人鬼四猿4MK。「見ざる、聞かざる、言わざる」に「悪をしざる」を加えた四猿の異名を持つアンソン・ビショップ。前作で操作に当たったシカゴ警察署の刑事ポーター、ナッシュ、クレア。FBIに事件を奪われたポーターは思い切った行動に。シカゴ署IT担当のクロズはちょっと引き気味ながらいい仕事をし、FBIのプールが新たな役回りを。ビショップを取り逃したままのシカゴで新たな事件。そして事件。4MKとは手口は違うが、何かがある。今回も、視点を次々と変えながら、物語は進むのだが、終盤の怒涛の展開には驚かされる。そして、最後が次作の予告編とちょい見せ。ううむ、早く次作を出してくれ!どうなっちまうんだ!!!☆☆☆☆☆。