カタカナ・ミステリー大全

洋物のミステリーの読書日記。原則は文庫本のみ。

アメリカの警官は、ドーナッツが大好き!

どうぞ、召し上がれ。

『ヨーロッパ最終戦争1998』上・下 ラリー・ボンド

2006-06-30 23:36:49 | 洋物
 再読シリーズ。ラリー・ボンドの戦争シリーズ。今回はヨーロッパが舞台。フランスとドイツが手を組んでヨーロッパの支配を企てる。それを阻止すべく…。という話。例によって、複々線スタイルで話が進む。大統領の友人、ポーランドのパイロット、ハンガリーの警察官、ロシアの大佐、CIAモスクワ支局、アメリカの大尉、ドイツのイイモノの中佐、フランスだけは悪者ばかり。イギリスは完全に脇役。それぞれがそれなりにいい味を出していて、悪役が悪役らしくなると読む方は楽ですね。ヨーロッパの戦場もあちらにこちらにと追いかけるのが大変だけれど、よくまとめるものであります。☆☆☆ほ くらいかと。

『鴉よ闇へ翔べ』ケン・フォレット 小学館文庫

2006-06-15 00:47:31 | 洋物
 ケン・フォレットでは『針の眼』が良かった。あとはどうもいまひとつ。今回、解説によれば「あれこれ迷ったら原点にもどれ」と『針の眼』と同様に第二次世界大戦モノに戻ったフォレットをほめているのだけれど、いまひとつやなぁ。女に冒険小説をまかせるのは間違っとる、とは言えない。『カーラのゲーム』のような傑作もある訳だし。ところが、この女性工作員チームの話は、なんともまあ、ご都合のいいことで。一日、一日と緊迫感のある構成の筈なのだけれど、おいおいって感じなのだ。それはないよ、という感じ。いろいろなキャラクターをそろえて見たものの、生きないのですね。ということで、☆ほ。もう一回読むこたあないな。

『名声のレシピ』シャロン・グラム 新潮文庫

2006-06-03 00:45:33 | 洋物
 一人称小説ってのはあまり好きではないのですが、これは読ませてくれました。次を読みたくさせてくれる。一人のあまり外見は冴えない男。それでもエール大を出て、金融雑誌にコラムを持っているエリートなのだけれど、アメリカはただそれだけではエリートじゃないところも面白い。妻が親友のもとに走ってしまう。残されたのは結婚の時にお祝いにもらった唇形の椅子。親友とは妻をとられた後も、一緒に野球を見、昼にはベーグルを食べる。ふむ。なにせ、小学二年生でベースボールカードを交換した以来の仲なのだから。
 そこにある雑誌から「セレブ社会への潜入取材」の依頼を受ける。セレブに潜り込み、それを記事にするという。さてどうやってというのでたどりついたのが、アメリカン・ビューティ、ハリウッドのセクシーダイナマイトというか人気女優のアレクサンドラ・ウェスト。なかなか魅力的。登場人物がとてもいいですね。展開も面白い。母の味もなかなかでした。ということで☆☆☆☆ほです。あとがきを読んでいて、初めて女性作家だということに気がついた。えらいもんだ。男をよく知っている。ふむ。

『陽気なギャングの日常と襲撃』伊坂幸太郎 祥伝社ノン・ノベル

2006-06-02 00:25:37 | 和物
 続編が出ましたね。前作と同様にテンポが実にいい。メンバーを次々と主人公とした短編が続くスタイルなので、そのテンポがますます冴えるというところですか。それぞれの視点で話が進み、読者だけが全体の把握ができるというのも面白い。伊坂本は少々こ難しいということもありますが、この面々の場合はテンポで一気に読ませてしまう。気楽に読めるのが一番ということで、次、さらに次を期待したくなる。☆☆☆☆ほ。